低侵襲手術(Minimally invasive surgery : MIS)への取り組み

当科では、根治性とともに安全で、合併症の少ない手術を最優先事項と考えています。 その中で、積極的に低侵襲手術を取り入れて、患者さんの体に負担の少ない手術を行っ ています。

胆石やヘルニアなどの良性疾患のみならず、全国的に多くの消化器がんの手術が腹腔鏡によって行われており、症例数は増加傾向にあります。特に大腸がんの腹腔鏡手術の件数は非常に多く、最近では開腹手術よりも多く選択されております。また、肝臓がんや膵臓がんにおいても腹腔鏡手術の件数が徐々に増えております。しかしながら肝胆膵領域の腹腔鏡手術は難易度が高いため、限られた専門施設でしか行われていないのが現状です。

大腸癌・腹腔鏡率 (%)

大腸癌・腹腔鏡率

肝癌・腹腔鏡率 (%)

肝癌・腹腔鏡率

MISは高画質映像による拡大視効果が最大のメリットになります。その他には、傷が小さく痛みが軽い、社会復帰が早い、出血が少ないなどが挙げられます。しかし一般的には技術的に難しく、手術時間が長くなる傾向があり、手術操作における動作制限などのデメリットもあります。

当科における腹腔鏡下手術の割合は、着実に増加しております。2021年は手術件数486件のうち腹腔鏡手術は161件(33.1%), 2022年の手術件数585件のうち腹腔鏡手術318件(54.4%)でした。また2021年以降、肝胆膵領域にもMISの導入に力を入れており、年々増加傾向にあります。しかし、がんに対する腹腔鏡手術の適応は慎重に判断する必要があり、症例ごとに安全で質の高い手術を追求しております。 近年では、専門施設におけるロボット支援下手術の導入が拡がっており、当科でも直腸がんや肝癌で導入いたしました。今後は結腸切除、膵体尾部切除においてロボット手術を導入する予定です。

腹腔鏡手術 (3D)

腹腔鏡手術 (3D)

ロボット支援下手術

ロボット支援下手術