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研究について

更新日 : 2023. 2. 16
医局風景

当教室の研究活動は, それぞれの専門分野において第一線で活躍している臨床医によって行われています。それぞれのサブスペシャリティチームは, 臨床現場で抱いた疑問を研究により解決し, 疾患への理解を深めるとともに, 得られた知見を積極的に臨床に還元しています。こうして得られた知見は, 教育の場においても積極的に取り入れられ, 次世代の医療・医学研究を担う後進の探求心, 知的好奇心を育むために役立たれています。

チーム同士も活発に交流しており, 一部の医局員は複数のチームで活動しています。各医局員が興味を持つ領域に自由に取り組めること, また, 鈴木教授を中心とした経験豊富なスタッフが十分に研究をサポートする体制が整っていることが当教室の特徴です。それぞれが得意とする研究手法や培ってきたノウハウを共有し, 医局員が一丸となって精神科臨床に役立つ新たな知見の創出に取り組んでいます。現在活動している研究チームは以下の通りです。

1. 気分障害

時間生物学的治療, 疫学研究, 気分障害の睡眠研究を中心に様々な角度から研究を行なっています。時間生物学的治療としては, 抗うつ効果の高さと効果発現の早さが再注目されている覚醒療法(断眠療法)の臨床応用に関する研究を行っています。また, 高照度光療法や暗闇療法(dark therapy)など光環境操作による治療についても積極的に取り組んでいます。疫学研究としては大規模な全国調査を行い, 病前性格, ストレス, 生活習慣, 睡眠など多様な要因とうつ病との関連を疫学的な手法を用いて検討し, 多くの知見を研究論文として発表してきました。睡眠については, うつ病の病態解明, 診断法・治療法開発の上で重要な役割を担っていると考え, 両者の関係を睡眠脳波, 神経栄養因子, 遺伝子など様々な側面から検討しています。

2. 睡眠医学

医局風景

睡眠医学研究は, 内山前教授の時代から当教室が特に注力してきた領域であり, 鈴木教授に代わってからも重点的に取り組んでいます。睡眠障害患者を対象とした臨床研究, 睡眠センターと連携した睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査を用いた研究, アクチグラフィを用いた生体リズム測定, 神経栄養物質などのバイオマーカーを用いた研究, 疫学研究など, 多彩な研究を行っています。


3. 加齢精神医学・器質性精神疾患

近年, 高齢者や器質性精神障害患者の眼球運動に関する研究を行い,加齢や認知機能低下と関係する眼球運動特性を明らかにしました。現在は, 東京都健康長寿医療センターと共同で, 地域在住高齢者を対象とした認知症発症の予測因子を探索する縦断研究を行なっています。さらに, 認知症をはじめとした器質性精神疾患について,脳波や機能画像を駆使し, 症例検討を基礎とした臨床指向の研究を行っています。

4. 統合失調症

これまでは, 探索眼球運動測定による認知科学的なアプローチを行い,診断装置を開発しました。現在は, 睡眠脳波計を用いた統合失調症患者の睡眠構築特性の検討や, 抗精神病薬や睡眠薬の睡眠構築への影響を調べる臨床薬理学研究を行なっています。さらに, 統合失調症の陰性症状に関連した認知機能特性を意思決定の観点から調べています。