研究領域と専門外来

耳鼻咽喉科は頭頸部の内科・外科に相当する両面を扱う分野であり、研究領域としては味覚・聴覚・平衡覚などの感覚器領域、頭頸部癌の基礎や分子生物学領域、顔面神経障害などの幅広いジャンルの研究をおこなっています。また、日本大学病院では音声障害に関する臨床研究もおこなっており、各ジャンルで興味のある研究領域を推進していける環境が整っています。一般市中病院では経験できない、総合大学の大学病院ならではの基礎教室や他学部との連携が可能で、生理学教室・薬理学教室・解剖学教室・病理学教室や実績のある学外機関と共同で多彩な研究領域を選択できることにも魅力があります。

電子顕微鏡
研究中

おもな研究領域

味覚研究領域:
当科は世界で初めての味覚障害専門外来を1976年に開設しました。長年にわたる臨床研究に加えて、基礎研究として生理学教室などと共同で舌乳頭における味覚受容体遺伝子の発現の検討など分子生物学的探求もおこなっています。体内亜鉛動態と味覚治療の臨床研究等もおこなっており、味覚障害の発生機序から診断、治療の検討までをおこなっています。
音声喉頭研究領域:
各種発声機能検査の解析を進めています。主機器を米国より輸入し当大学で製作した声帯観察用超高速撮影検査を用いて声帯動画解析研究を行っています。喉頭腫瘍とウィルスの関連について研究しています。
聴覚研究領域:
耳鳴りの機序解明のため薬理学教室と共同で行動薬理学的手法を用いた耳鳴りモデルラットを作成し、耳鳴り治療手段の検討を目指しています。電子顕微鏡による内耳の形態学研究もおこなっています。
平衡めまい研究領域:
健常人および前庭疾患患者の前庭眼運動系や平衡障害に関する検討をおこない、JAXA(日本宇宙航空研究開発機構)の協力を得て無重力飛行実験なども用いて基礎研究の臨床応用化を目指しています。
顔面神経障害研究領域:
顔面神経麻痺へのウイルスの関与をPCR法を用いて検討するほか、顔面筋の回復過程の検討を歯科口腔外科との共同研究で明らかにする研究もおこなっています。
頭頸部腫瘍・癌研究領域:
扁平上皮癌組織の癌遺伝子発現に関してgene chipを用いた研究を病理学教室と共同でおこなっています。学外では東京農業工業大学分子病態治療学教室と共同で癌の分子生物学的研究や、新薬の開発研究もおこなっています。

専門外来

当教室は非常に多くの専門外来を有しており、耳鼻咽喉科医に必要な研修領域のほぼ全域をカバーしています。

さまざまに多様化している耳鼻咽喉科疾患をより深く自然に勉強することが可能であるばかりでなく、臨床症例から基礎研究への探求と、スペシャリストとして基礎研究から臨床へのフィードバックの場にもなっています。

板橋病院の専門外来(曜日順・→板橋病院ホームページより)
耳管外来
耳管とは中耳と咽頭(のど)をつなぐ細い管で、ふだんは閉じています。これがずっと開いてしまうと自分の声や呼吸の音が響いてしまいます。このような状態を耳管開放症といいます。
詳細な問診、鼓膜・咽頭所見、いろいろな機能検査の結果を踏まえて総合的に耳管開放症を診断した上で治療を行います。生理食塩水点鼻療法など保存的治療のほか、重症例では耳管ピンによる治療も行います。
中耳外来
中耳炎による難聴や耳漏などの診断・治療を行っています。原因疾患は慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎・中耳奇形・耳硬化症など多岐に及びます。治療は保存的治療から手術的治療まで疾患とその状態に合わせ選択しています。中耳炎手術は約10日間の入院で行っていますが、慢性中耳炎では鼓膜穿孔の大きさに応じて日帰り手術や2~3日の短期入院手術も行っています。
腫瘍外来
耳、鼻、口腔、咽頭(のど)、頸部(くび)の悪性腫瘍の診療を行っています。多くの頭頸部癌の治療前の精査や入院手術加療後の経過観察も行っています。外来通院での放射線化学療法なども含めて、臓器・機能温存によるQOL・生存率向上を目指しています。
顔面神経外来
顔面神経麻痺の診断と治療を行っています。ステロイド剤と抗ウイルス剤との併用療法をプロトコール化して治療を行っています。重症例や頭部外傷による顔面神経麻痺に、手術的治療も行っています。顔面痙攣に対するボツリヌス毒素注射治療も行っています。
めまい外来
難治性や診断困難な耳鼻科的めまい患者さまの診断・治療を行っています。良性発作性頭位眩暈症に対する頭位変換運動療法やアドバイスを行うとともに、難治性メニエール病や内耳疾患に対する鼓室内薬剤注入療法や聴神経腫瘍の診断と治療方針の決定も行っています。
味覚外来
世界で初めての味覚障害専門外来として1976年に開設されました。味覚障害の原因としては体内に微量に存在している亜鉛などの微量元素欠乏や他の疾患で服用されている薬剤によるものなど様々です。味覚障害の程度を調べる各種味覚検査を行って原因を探り、治療を行います。
アレルギー外来
花粉症・アレルギー性鼻炎の診断と治療を行っています。内服・点鼻薬による治療のほか・難治性の花粉症・アレルギー性鼻炎の患者さまに対しては減感作治療やレーザー治療も行っています。
副鼻腔外来
さまざまな鼻炎、副鼻腔疾患の患者様の診察をおこない、手術適応の決定、術前術後の診療を行っています。
慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎、術後性嚢胞、鼻中隔彎曲症、肥厚性鼻炎など多岐に及ぶ疾患への対応に加えて、鼻粘膜のバリアー機構から免疫制御系に至る基礎研究をおこない、臨床とのリンクを実施しています。
長引く鼻炎、鼻づまり、副鼻腔炎や鼻中隔彎曲症などで手術をご希望の患者様はまず一般外来を受診していただき、副鼻腔外来への予約を取得していただくこととなります。
感音難聴・補聴器外来
感音難聴患者さまの診断・治療を行っています。高度難聴患者さまへの人工内耳手術適応診断、および人工内耳の埋め込み手術、新生児聴覚スクリーニング後のフォローや乳幼児難聴・遺伝性難聴の診断も行っています。
また、難聴患者さまに対してよりよい補聴器の適合を行ったり、難治性耳鳴り患者さまへのTRT ( TCI )治療も行っています。
日本大学病院(御茶ノ水)の専門外来(曜日順)
音声喉頭外来
音声喉頭外来を初めて受診される患者さんには、まず声の検査を行います。声の検査とは、音声症状を客観的に検査する目的で行い、空気力学的発声機能検査、発声能力検査、声域検査、音響分析検査などがあります。全担当医による診察により、患者さんと相談して薬物療法、手術療法、発声訓練などの治療法を決定します。声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯などでは数日の短期入院で内視鏡下微細手術を行います。
反回神経麻痺に対しては披裂軟骨内転術、甲状軟骨形成術、声帯内注入術などの音声改善術を積極的に行っております。また、日帰り手術も行っております。
めまい外来
めまい、と一言にいっても様々な原因とタイプがあります。いろいろな病院を受診したもののいまだにはっきりとした診断が判らない、という患者様も多いようです。当めまい専門外来には、これまでいろいろな科にかかったものの釈然としないという難治性の慢性的なめまい患者様も多く受診されています。
受診には、まず一般外来を受診していただき諸検査の予約とともに当外来への予約を取得していただくことになります。患者様の病状によっては、一人一人の患者様への診察時間が長くかかることもあり、予約でもたいへんお待たせすることがありますがどうかご容赦ください。
中耳・顔面神経外来
専門スタッフで行なっています。慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、耳小骨連鎖離断や耳硬化症などの中耳の疾患を中心に診察しています。顔面神経麻痺疾患では積極的に入院治療を行っており、必要に応じて顔面神経減荷術にも対応しております。
睡眠時無呼吸外来
睡眠時のいびきや呼吸障害がある患者さんには、まず検査機器貸出による自宅での簡易睡眠検査を行います。この解析結果により、1泊2日の入院で脳波、眼球運動、呼吸運動、体位などを含めた精密検査である終夜睡眠ポリソムノグラフィーを行います。いびき症,睡眠時無呼吸症候群の歯科的治療法を含めた保存的治療、外科的治療に対応します。
専門家によるその他の外来
アレルギー性鼻炎の患者さんにはその原因を調べた後に、薬物療法、非特異的減感作療法、手術療法などを行っています。日本アレルギー学会専門医が対応いたします。味覚障害の患者さんには、味覚検査による診断を行い、治療を開始します。鼻副鼻腔疾患ではCT検査による診断を行い、長期薬物療法や手術療法を行います。めまいは患者さんには、各種めまい検査やMRI診断を総合的に判断して治療を行っています。

→日本大学医学部研究情報