日本大学医学部附属板橋病院 臨床研究推進センター

当病院における治験や臨床研究への取り組み

厚生労働省に提出しました平成23年度治験拠点病院活性化事業実績報告書に準じて,平成23年度の治験への取り組みをご紹介させていただきます。

平成18年〜20年度における体制整備等の進捗状況の報告(ポスター)(PDF・728KB)
治験拠点医療機関として実施状況の総括報告 2012.2(ポスター)(PDF・2.5MB)

1.治験等実施体制の整備と強化

(1)日本大学医学部附属3病院:治験・臨床研究に関する情報ネットワークの形成

日本大学医学部附属3病院(板橋病院,駿河台日大病院,練馬光が丘病院)の治験担当者連絡会を通じて,治験や臨床研究関連情報の共有,書式や契約書の統一による業務の簡素化および症例集積性の向上を図り,日本大学として治験・臨床研究関連窓口の一元化およびネットワークの形成に向けた継続的な検討を行っています。

(2)共同治験審査委員会(共同IRB)の設置と運営

TV通信を活用した共同IRB

治験審査の充実と効率化を目的として,日本大学医学部附属3病院の病院長が,平成23年4月1日付で板橋病院内に「日本大学医学部附属病院共同治験審査委員会(共同IRB)」を設置しました。また本共同IRBにて,附属3病院だけでなく他施設での治験審査も受託できますよう,平成23年5月に整備を行いました。(写真①)

(3)臨床研究に関する事務局業務体制の充実

臨床研究に関するデータベースを構築する等,臨床研究に関する事務局の実施体制を充実させました。

(4)臨床研究審査委員会における審査の充実と効率化

迅速審査に関する既定を追加するなど臨床研究審査委員会の業務手順書を改訂し,適正かつ迅速な審査方法を構築したことで,より効率的に審査を行えるようになりました。

(5)臨床研究に対するCRC等による業務支援

一部の臨床研究に対してCRCおよびデータマネジャー(DM)が業務支援を行っています。

(6)治験拠点医療機関等のネットワークの活用

治験中核病院・拠点医療機関間のネットワークを活用して,治験・臨床研究関連情報の共有を図り,問題解決に向けた取組みを行っています。

(7)受託治験数や症例集積性および治験実施率向上のための取組み

受託治験数や症例集積性および治験実施率を向上させるために,以下のような取組みを行っています。

責任医師候補者への聞取り調査

①治験依頼者が効率的に治験実施医療機関の選定作業を行えるよう,治験管理室のホームページ上に施設選定に必要な治験実施体制等に関する情報を公開しています。

②治験依頼者からの施設調査に対し,治験管理室が窓口となって,各診療科の責任者への聞き取りや被験者スクリーニングシステムの活用により,実施可能性(実施可能症例数)について迅速で確度の高い回答を提供しています。

③治験促進センターから送信される「新たな企業治験の紹介」が届いた際,その対象疾患を扱う診療科の責任者に対して,治験管理室員が治験受託の可能性を調査し,「可能」との回答を得た場合は積極的に応募しています。

平成23年度に治験促進センターから募集された13件(1件は既に受託中,1件は以前の選定調査時に断念)の「新たな企業治験」について,9件の応募を行い,5件が選定され,3件が不選定,回答待ちが1件でした。選定された5件のうち1件は詳細な選定調査待ち,4件は詳細な選定調査が行われ,結果的に3件が受託に至りました。

院内に掲示した被験者募集ポスター

④治験管理室のホームページや院内に被験者募集ポスターを掲示し,治験の啓発および症例集積性の向上に努めています。平成23年度もこれら被験者募集ポスターを見た患者やその家族から問い合わせを受け,数名の患者が治験の参加に至りました。

⑤契約症例数を満了した治験において,登録期間に余裕がある場合は,治験責任医師と相談の上,積極的に症例追加の依頼を受入れています。 拠点医療機関になった平成19年度以降の治験(製造販売後臨床試験を含む)終了時の実施率および契約症例数を満了した後の症例追加件数は以下の通りです。

年度19年度20年度21年度22年度23年度
件  数11件20件20件14件24件
症例追加件数3件7件5件6件7件
実 施 率83.7%*85.3%78.3%92.8%84.9%

*19年度は同意取得を1例カウントとしています。

(8)人材の確保とキャリアアップの充実

臨床薬理学会:認定CRC証

治験・臨床研究を適切に実施する上で必要な人材を確保することを目的として,平成23年度にCRCおよびDMとして薬剤師2名,臨床検査技師1名を増員しました。

また,希望するCRCには日本臨床薬理学会のCRC認定取得に向けた教育および研修を受講させ,平成23年度に1名のCRCが日本臨床薬理学会のCRC認定を取得し,平成24年3月現在で日本臨床薬理学会の認定CRCは7名です。(写真④)

(9)審査資料の電子化に関する検討

IRBおよび臨床研究審査委員会における審査資料の電子化に関して,今後の実現化に向けて検討を行っています。


2.治験や臨床研究に関与する人材の教育・育成

(1)治験や臨床研究に関する集中的な養成研修の実施

他施設を含めた医師や医療スタッフおよび倫理審査委員会(IRBを含む)委員を対象として,以下の「臨床研究・治験セミナー」を開催しました。

第7回臨床研究・治験セミナー

開催日時:平成23年6月30日(木)18:00~19:30

テーマ:臨床研究を開始する前に~臨床研究に関する倫理指針の留意点~

参加人数:135名

第7回臨床研究・治験セミナー

第8回臨床研究・治験セミナー

開催日時:平成24年2月23日(木)18:00~19:30

テーマ:国際共同治験におけるFDA査察に備える~FDA査察の動向をキャッチしよう!

参加人数:190名

第8回臨床研究・治験セミナー

(2)他施設CRCや医療系学生の研修や実習の受入れ

薬学部学生実習の受入れ

他施設CRCや医学部,薬学部および臨床検査技師専門学校等の学生実習を受入れ,治験や臨床研究に関する座学,インフォームドコンセントのロールプレイングおよびCRC業務の見学を通じて,治験や臨床研究に関与する人材の教育・育成を行いました。


(3)治験管理室ニュースの発行

治験やGCP等に関する解説,治験管理室の活動および各診療科の治験実施状況などを盛り込んだ「治験管理室ニュース」を定期的に発行し,院内の全ての部署に配付して,院内職員に対する治験や臨床研究に対する啓発活動を行っています。

(4)診療部長会での治験受託・進捗状況の報告

病院内の診療部長会において,病院長が定期的(3ヶ月に1回)に治験の受託・進捗状況を報告し,治験や臨床研究の啓発に努めています。

(5)治験管理室CRCの定期勉強会の開催

治験管理室の勉強会

治験管理室のCRC(薬剤師,看護師および臨床検査技師)が順番に講師となって,治験や臨床研究および疾患・看護・医薬品・検査等に関する勉強会を定期的に開催しています。

今年度は合計6回の勉強会を開催し,3職種のCRCが,職種を超えた知識を習得することができました。


3.国民への治験や臨床研究に関する普及啓発

(1)治験や臨床研究に参加しやすい環境の整備

治験管理室のホームページ上や院内に「現在実施中の治験一覧」や「被験者募集中の治験ポスター」を掲示し,また臨床研究(試験)情報検索ポータルサイトを紹介することで,希望する患者が治験や臨床研究に参加しやすい環境の整備を行いました。

(2)治験関連展示ブースの設置とアンケート調査の実施

医学部学園祭での治験普及啓発活動

平成23年11月5日~6日に開催された日本大学医学部学園祭において,治験関連展示ブースの設置,クイズやアンケート調査の実施,およびクイズ等の参加者へのノベルティグッズの提供による治験の普及啓発活動を行いました。

両日で286名の一般市民および医学部/看護学校の学生が本ブースに立寄り,クイズやアンケート調査に参加しました。


(3)患者向け相談窓口の設置

治験管理室が治験や臨床研究に関する「患者向け相談窓口」となって,患者や一般市民からの治験や臨床研究に関する相談や質問に対応しています。

(4)院内患者閲覧用テレビでの治験啓発ビデオの放映

院内での治験啓発ビデオの放映

院内に設置されている患者閲覧用テレビで治験啓発ビデオを放映し,来院患者やその家族に対して普及啓発活動を行っています。


4.治験の効率的実施と企業負担の軽減

(1)治験実施医療機関情報の公開

日本医師会:治験促進センターが構築している治験実施医療機関情報入力システムを採用して,治験管理室のホームページ上に公開しています。また治験管理室のホームページ内に,以下の治験依頼者向け施設情報を積極的に公開しています。

①当病院における治験や臨床研究への取組み

②治験実施体制等に関する情報や組織

③治験の申請や契約手続きに必要な書類(書式)や業務手順書

④治験の申請手順や流れ

⑤治験審査委員会の予定開催日時や申請書類の提出締切日

⑥当院における治験の実績

⑦治験受託可能な対象疾患

⑧治験薬や検体の管理方法

⑨直接閲覧予約状況

⑩その他

(2)治験関連窓口の一元化

治験関連窓口の一元化

医療機関における治験関連情報を治験管理室で一元管理し,治験依頼者からの問い合わせや関連部署への連絡および業務調整に関して,治験管理室員が一括して行っています。

また,治験依頼者が治験責任医師候補者に面会して要件調査や治験受託可能性の相談を行う際に,治験管理室員が医師のアポイントを取得して,面会の際に可能な限り同席して支援を行っています。


(3)治験担当医師等の履歴書の一元管理

過去に治験を担当したことのある医師の履歴書を治験管理室で一元管理し,新たな治験を受託する際,担当医師の指示の下,治験管理室において履歴書(英語版も含む)の新規作成や更新および捺印入手などの支援を行っています。

また,医師以外のCRCや臨床検査技師および治験薬管理者等の履歴書に関しても治験管理室で一元管理し,治験依頼者の求めに応じて提供を行っています。

(4)治験申請関連文書の作成支援

治験責任医師が作成すべき治験申請関連文書(同意説明文書,治験分担医師・治験協力者リスト,重篤な有害事象に関する報告書,治験実施状況報告書および治験終了報告書など)の案を治験管理室員が作成支援し,治験責任医師が確認・修正した上で提出しています。

(5)第三者による治験薬搬入の受入れ

第3者による治験薬搬入受入れ

第三者(運搬業者など)による治験薬の搬入を積極的に受入れています。


(6)一斉送信メールによる業務手順書改訂等に関する情報提供

治験依頼者側の担当者のメールアドレスを治験管理室にて管理し,業務手順書の改訂,IRB委員の交代および治験関連手続き方法の変更などの情報を一斉送信メール(BCC)にて提供しています。

(7)治験経費の適正化

治験依頼者が原資料を直接閲覧する際の経費に関して,平成23年4月より実施毎の算定を行わないこととし,治験経費の適正化に向けて契約書の改定を行いました。また治験関連経費について,マイルストーンペイメントの採用を現在検討中です。

以 上