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身内の方が日大医学部で司法解剖となったご遺族様へ
- 医学系研究に関する情報及びご協力のお願い -

ヒト組織・臓器及び血液からの遺伝子多型の検出及び法医学的な応用

私たち日本大学医学部社会医学系法医学分野では、犯罪捜査などに応用されているDNA鑑定をより簡便で正確に実施できるよう研究を進めております。その研究を行うにあたり、様々な原因でお亡くなりになった方の試料で、間違いなく検査が出来ることを証明することが大変重要です。私共の施設で司法解剖が行われた場合、遺体解剖に引き続いて行われるアルコール濃度検査や顕微鏡の検査等のために血液や諸臓器の一部を検査試料として採取・保存しております。実際には、再度検査が必要になった際に備えて試料は多めに保存しております。その残量に余裕がある場合には、その一部を私たちの研究に使用させていただきます。
この情報公開は、私たちが行っている研究をご遺族様にご理解いただくための説明書です。

研究実施機関

日本大学医学部社会医学系法医学分野

研究代表者

鉄 堅(てつ けん)

研究の説明の前に

遺伝子とは人間の身体をつくる設計図に相当するもので、身体を構成する約60兆個の細胞の核には遺伝子が含まれております。遺伝子は約3万個のDNAによって構成され、その中には顔つきや身体的特徴など身体の構造に関係した部分がある他に、病気の発症やなりやすさに関する部分、病気や身体の構造には関係しない部分があります。病気や身体の構造に関係しない関係部分の中には、ABO式血液型でいうA型、B型、O型、AB型のようなタイプ分けが可能で、かつ親から子に遺伝する部位があります。そしてこの部分はとても細かくタイプ分けが出来るのが一般的です。このような病気や身体の構造には関係しない部分の本当の役割はまだ不明ですが、生まれてから死ぬまで変化しないとされております。犯罪捜査や個人識別、親子鑑定で行われているDNA鑑定では、この部分のDNAを検査しています。中国残留孤児の個人識別や東日本大震災での身元不明者の個人識別でもこのDNA鑑定の技術が応用されています。

現在のDNA鑑定の問題点と私たちの挑戦

このような遺伝子は、身体を構成している全ての細胞の核に含まれていますので、血液の中の白血球細胞や、唾液の中の口腔内細胞、毛根の毛母細胞からでも検査することが出来ますので、血痕や唾液斑、髪の毛、或いは精液を用いてDNA鑑定は行われています。しかし実際には、犯行現場が屋外だったためにそれらが長時間紫外線に曝されたり、細菌が繁殖したり、酸やアルカリの影響を受けていたりして、DNAが破壊されてしまっている場合があり、必ずしも有用な結果が得られるとは限らないのです。私たちは、このようにして破壊されたDNAの有用な修復技術の開発と、破壊されたDNAからでも有効で且つ短時間で判定できるような鑑定が行えるよう、種々の鑑定法を組み合わせたたり新たな検査法の開発を試みています。

研究の目的

前述のように、実際の犯罪現場から採取された各種試料を用いたDNA鑑定をより正確に行えるような検査法を開発することです。また、それに合わせてより簡便な方法を検討・開発します。犯罪捜査や治安の維持、日々の生活の安寧に大きく寄与する研究です。

対象とする遺伝子と研究方法

対象とする遺伝子は、主に常染色体におけるSTR(Short tandem repeat)多型のD8S1179、D21S11、D7S820、CSF1PO(Human c-fms proto-oncogene for CSF-1 receptor gene)、D3S1358、TH01(Human tyrosine hydroxylase gene)、D13S317、D16S539、D2S1338、D19S433、vWA(Human von Willebrand factor gene)、TPOX(Human thyroid peroxidase gene)、D18S51、D5S818、FGA(Human alfa fibrinogen)、Y indel、DYS391、D2S441、D22S1045、SE33、D10S1248の 計22座位、DIPs(Deletion/Insertion polymorphisms)、SNPs(Single Nucleotide Polymorphisms)および細胞核内のミトコンドリアDNAで、法医学領域で実際に応用されている座位です。STR多型とは、遺伝子内に存在する4塩基の基本配列の繰り返し構造を持ち、その繰り返す数の違いで比較する分類です。検査方法は主にキャピラリー電気泳動法という方法を使用します。このやり方の最大のメリットは、型判定を人による目ではなく解析ソフトで数値的に判定することです。誤判定のリスクが低く最も公平な客観的検査法と言えます。更には、4塩基と短い基本配列を対象とするために腐敗などの影響も受けにくく、低コストで、検査時間が短いことなどがメリットとして挙げられます。DIPsは検査方法がSTRと類似しているが、使用するテンプレート量が少なく、劣化DNAの検査には使用する価値があると考えています。SNPsはDIPsより短いDNAテンプレートの検査ができるが、多型性はSTRとDIPsより低く、より多くの遺伝子座の検査が必要です。この研究ではSTR多型システム、DIPs及びSNPsという既に市販されている検査キットを用い、検討を行います。ミトコンドリアDNAは、コピー数が多く陳旧試料から検出しやすいため、われわれはミトコンドリアDNAを詳細に読み込む新しい機器を用いて検討を行います。

保存された試料からこの研究に使用する分の試料を小分けにし、お名前や住所ではなく別の符号を付けて研究を進めていきます。お名前と符号との対応は台帳に記録しますが、その台帳は研究には情報管理者である日本大学医学部社会医学系法医学分野教授の奥田貴久が個人情報管理者として保管し、実際に研究に従事する私たちが勝手に見ることはできません。お一人のみの試料ではなく複数の方の試料を同時に扱って、考案した新たな検査法により先に示したような遺伝子座位が実際に確認できるか否かを検討します。

研究試料とさせていただく対象

本学で行われる法医解剖(司法解剖や死因調査解剖)遺体から採取された血液や臓器の一部、及び過去に本学で行われた法医解剖遺体から採取された血液や臓器の一部を研究の対象とします。もし身内の方を本学で解剖させていただいており、その採取保存資料が研究対象となっているか否かをお知りになりたい場合や、研究の対象とはして欲しくない場合には、お手数ですが下記問い合わせ先にご連絡下さい。なお、死因調査解剖の場合にはご遺族様の承諾をいただいた上で研究に使用させて頂きます。

解析結果の公表と知的財産権

研究成果を公表する際には、故人やご遺族様が特定されるような形では公表しませんので、それによって不利益を受けることはありません。
遺伝子を解析する研究の結果として特許権などの知的財産権が生ずる可能性がありますが、その権利は日本大学に属します。

研究方法に関して更に知りたい場合

この研究に関する詳しい内容をお知りになりたい場合には、下記問い合わせ先にご連絡下さい。死因調査解剖の場合には承諾の手続きの際にその書類をお送りしておりますのでご確認下さい。

故人の遺伝子情報や解剖所見等に関して知りたい場合

研究で得られた故人の遺伝子情報については、それがどなたの遺伝子情報なのか私たち自身では知る術がないのでお伝えすることが出来ませんが、研究成果については公表した学会名や雑誌名をお伝えすることが可能です。尚、死因や解剖所見等のこの研究そのものには関係しない事柄に関するお問い合わせについても、お答えすることはできません。ご了承下さい。

個人情報の取扱い

名前や住所など故人やご遺族様を特定できる情報は本研究では使用しません。前述のように別途新たに符号をふって、その符号を用いて研究を進めていきます。お名前と符号との対応は日大医学部次長 相澤 信 が管理する台帳に記録し、私たち実際の研究に従事する者が勝手に見ることはできません。研究成果は学会や学術雑誌で発表されますが、その際にも故人やご遺族様を特定できる情報等が明らかになることはありません。

研究協力の任意性と撤回の自由について

本研究へのご協力についてはご遺族様の意思を尊重し、ご遺族様が不利益を被ることなくいつでも同意を取り消すことが出来ます。お申し出があった場合に限り、個人情報管理者より対応する符号を受け取って、資料や既に得られたデータがあればそれらを破棄します。以下の連絡先にご連絡ください.

試料の取り扱いと他の研究への利用について

本研究で使用した血液や臓器の一部の残りについては、将来、法医学的な別の遺伝子解析研究のために使わせていただきます。今後の法医学的な研究に使用して欲しくない場合には、下記問い合わせ先にその旨ご連絡下さい。そのような場合、本研究終了後の他の研究のために使用することはありません

問い合わせ先

日本大学医学部社会医学系法医学分野
住 所:〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30番1号
電 話:03-3972-8111(内線2277)
担当者:鉄 堅(てつ けん)


miRNA発現パターンと病理所見に基づく機械学習による冠状動脈硬化症のクラスター化

 私たち日本大学医学部社会医学系法医学分野では、死因究明や犯罪捜査などのために法医解剖を行っています。それと同時に科学の進歩に従い、より正確にこれらの業務を遂行するために、様々な解剖の実例から研究も求められます。その研究を行うにあたり、様々な原因でお亡くなりになった方の試料で、間違いなく死因と関係ある検査が出来ることを証明することが大変重要です。私共の施設で司法解剖が行われた場合、ご遺体の解剖に引き続いて行われるアルコール濃度検査や病理組織の顕微鏡の検査等のために血液や諸臓器の一部を検査試料として採取・保存しております。実際には、再度検査が必要になった際に備えて試料は多めに保存しております。その残量に余裕がある場合には、その一部を私たちの研究に使用させていただきます。
 この情報公開は、私たちが行っている研究をご遺族様にご理解いただくための説明書です。

研究実施機関

日本大学医学部社会医学系法医学分野

研究代表者

鉄 堅(てつ けん)

研究の説明の前に

冠状動脈硬化症(CAD)およびアテローム性動脈硬化性心血管疾患は、放置すると死に至らしめる病気です。アテローム性動脈硬化症は数十年以上にわたって発症し、プラークの発生と進行を促進する内皮細胞、平滑筋細胞、マクロファージ間の慢性炎症環境と細胞間相互作用を促進する細胞メカニズムの複雑な相互作用によって媒介されます。これまで治療の進歩はありましたが、アテローム性動脈硬化症を治療する包括的なアプローチは未解決なままです。
ところで、ほとんどの病気は、生まれながらの体質(遺伝的素因)と,病原体・生活習慣などの影響(環境因子)の両者が組合わさって起こります。複数の遺伝子の発現を同時に制御する小さな非コードRNAであるMicroRNA(miRNA)は、多面的な疾患の強力な臨床バイオマーカーおよび治療標的として浮上しています。われわれは、アテローム性動脈硬化症を制御する最も影響力のあるプロセスの調節における治療標的として、また、疾患の重症度を反映している可能性がある臨床バイオマーカーとして、miRNAの潜在的な役割に対する最近の研究成果に注目しています。miRNAは、心血管生理学および病態生理学に関連し、心肥大、血管緊張の維持、および血管損傷への応答に役割を果たす短い非コードRNAです。2000年の発見以来、アテローム性動脈硬化症を含む多面的な疾患の治療標的および臨床診断バイオマーカーとして注目されてきました。これまでのin vitroおよび前臨床試験では、多数のmiRNAが主要な心血管細胞タイプにわたって複雑な細胞プロセスを制御する可能性があることが示唆されています。

心臓性突然死と私たちの挑戦

動脈硬化は、さまざまな心臓疾患と関連して自身の動脈硬化の程度を把握していないうちに多くの人々が亡くなってしまいました。法医解剖だけではなく、臨床医学においてもより簡単で確実な診断方法の開発が期待されています。法医解剖では死因を明確に判断できない事例が少なくないですが、その際に動脈硬化と心疾患を排除することが非常に重要です。miRNAと動脈硬化や様々な心疾患との関連性が徐々に明確になってきていますが、私たちの研究でより確実に究明できれば、種々の方法を組み合わせた新たな検査法の開発を提案できると考えています。

研究の目的

本研究は、法医解剖が行われたご遺体の組織・血液を対象とし、死体血中の循環miRNAを網羅的に解析し、実際の冠状動脈病理所見と紐付け、機械学習による統合的な分析を加えることで、CADの発症・重症化に影響を及ぼしうる「miRNAクラスター」を明らかにすること目的とします。近年、血中に存在するmiRNAが様々な心疾患の発症や重症化に関連することが示唆され、単一のmiRNAのみでは全ての病態を説明できません。本研究では、複数のmiRNAの発現パターンによって動脈硬化病変の発症・進行のパターンをmiRNAクラスターとして分析することで、miRNAに立脚した疾患診断の指標とすることを目指しています。

対象とするmiRNAと研究方法

保存された試料からこの研究に使用する分の試料を小分けにし、お名前や住所ではなく別の符号を付けて研究を進めていきます。お名前と符号との対応は台帳に記録しますが、その台帳は研究には日大医学部の情報管理者である学部次長が個人情報管理者として保管し、実際に研究に従事する私たちが勝手に見ることはできません。お一人のみの試料ではなく複数の方の試料を同時に扱って、考案した新たな検査法により先に示したようなmiRNAが実際に確認できるか否かを検討します。対象は先行研究より心臓疾患に関連があると考えられる計74種のmiRNAとします。

  • コレステロールの恒常性と逆コレステロール輸送に関係(15種):
    miR-24、miR-122、miR-185、miR-223、miR-486、miR-10b、miR-20a/b、miR-23a/b、miR-30e、miR-33a/b、miR-92a、miR-101、miR-144、miR-148、miR-302a。
  • アテローム性動脈硬化症のプラークに関係(25種):
    let-7g、miR-17-3p、miR-31、miR-146a、miR-155、miR-181a-3p/-5p、miR-181b、miR-221、miR-222、miR-22、miR-27a/b、miR-33、miR-34a、miR-155、miR-33、miR-155、miR-23a-5p、miR-27、miR-34、miR-212、miR-590、miR-758-5p、miR-1、miR-21、miR-143/145。
  • アテローム性動脈硬化症プラーク破裂(6種):
    miR-21、miR-29b、miR-124-3p、miR-133b、miR-181b、miR-362。
  • アテローム性動脈硬化症のプラーク血管新生(11種):
    miR-17-92 cluster、miR-21、miR-31、miR-126、miR-720、miR-1、miR-29a、miR-143、miR-145、miR-214、miR-221/222。
  • 肥大型心筋症に関係(5種):
    miR-133、miR-21、miR-199a-5p、miR-27a、miR-29a。
  • 致死性不整脈(5種):
    miR-155、miR-1a、miR-133a、miR-499-5p、miR-208a。
  • 拡張型心筋症(4種):
    let-7a-5p、miR-142-3p、miR-145-5p、miR-454-3p。
  • 心筋梗塞・心不全(3種):
    miR-150-5p, miR-29a-3p, miR-30a-5p。

研究試料とさせていただく対象

本学で行われる法医解剖のご遺体から採取された血液や心臓の一部を対象とします。もし身内の方を本学で解剖させていただいており、その採取保存資料が研究対象となっているか否かをお知りになりたい場合や、研究の対象とはして欲しくない場合には、お手数ですが下記問い合わせ先にご連絡下さい。なお、死因調査解剖の場合にはご遺族様の承諾をいただいた上で研究に使用させて頂きます。

解析結果の公表と知的財産権

研究成果を公表する際には、故人やご遺族様が特定されるような形では公表しませんので、それによって不利益を受けることはありません。
バイオマーカーを解析する研究の結果として特許権などの知的財産権が生ずる可能性がありますが、その権利は日本大学に属します。

研究方法に関して更に知りたい場合

この研究に関する詳しい内容をお知りになりたい場合には、下記問い合わせ先にご連絡下さい。死因調査解剖の場合には承諾の手続きの際にその書類をお送りしておりますのでご確認下さい。

故人のmiRNA情報や解剖所見等に関して知りたい場合

研究で得られた故人のmiRNA情報については、それがどなたの情報なのか私たち自身では知る術がないのでお伝えすることが出来ませんが、研究成果については公表した学会名や雑誌名をお伝えすることが可能です。なお、死因や解剖所見等のこの研究そのものには関係しない事柄に関するお問い合わせについても、お答えすることはできません。ご了承下さい。

個人情報の取扱い

名前や住所など故人やご遺族様を特定できる情報は本研究では使用しません。前述のように別途新たに符号をふって、その符号を用いて研究を進めていきます。お名前と符号との対応は日大医学部次長が管理する台帳に記録し、私たち実際の研究に従事する者が勝手に見ることはできません。研究成果は学会や学術雑誌で発表されますが、その際にも故人やご遺族様を特定できる情報等が明らかになることはありません。

研究協力の任意性と撤回の自由について

本研究へのご協力についてはご遺族様の意思を尊重し、ご遺族様が不利益を被ることなくいつでも同意を取り消すことが出来ます。お申し出があった場合に限り、個人情報管理者より対応する符号を受け取って、資料や既に得られたデータがあればそれらを破棄します。以下の連絡先にご連絡ください.

試料の取り扱いと他の研究への利用について

本研究で使用した血液や臓器の一部の残りについては、将来、法医学的な別の遺伝子解析研究のために使われることがあります。今後の法医学的な研究に使用して欲しくない場合には、下記問い合わせ先にその旨ご連絡下さい。そのような場合、本研究終了後の他の研究のために使用することはありません

問い合わせ先

日本大学医学部社会医学系法医学分野
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電 話:03-3972-8111(内線2277)
担当者:鉄 堅(てつ けん)

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