身内の方が日大医学部で司法解剖となったご遺族様へ
- 医学系研究に関する情報及びご協力のお願い -
臓器・体液からの遺伝子多型検出に係わる新規分析法の開発と個人識別への応用
法医学の重要な役割のひとつに、身体から採取された試料から身元を特定する作業や犯罪捜査や大規模災害の現場で採取された組織や体液が誰のものかを判別する作業などの個人識別があります。個人識別にはさまざまな方法がありますが、遺伝子鑑定(DNA鑑定)が最も信頼性が高い方法と言われ、既に実用化されています。DNA鑑定とは、個人を特徴づけるDNA配列の違い(遺伝子多型)が存在する部位を検出し、その特徴をデータベースなどと比較する識別法です。近年、ONT社より、ナノポアテクノロジーを用いた新しい遺伝子解析(シークエンス)技術が開発されました。この新技術は今後の遺伝子解析の中心的役割を担うと期待されており、法医学の個人識別にも応用できる可能性があります。
研究実施機関
日本大学医学部社会医学系法医学分野
研究代表者
奥田 貴久 (おくだ たかひさ)
研究の目的
正確性、コスト、迅速性、簡便性などの観点から今後の遺伝子解析の中心的役割を担うと期待されている第3世代シークエンス技術をDNA鑑定に応用できるか検証し、新規分析法を開発することを目的とします。
研究試料とさせていただく対象
本学で行われる法医解剖(司法解剖や死因・身元調査法解剖)で採取された臓器・体液を対象とします。身内の方を本学で解剖させていただいており、その採取保存試料や情報が研究対象となっているか否かをお知りになりたい場合や、研究の対象として欲しくない場合は、お手数ですが下記問い合わせ先にご連絡下さい。
個人情報の取り扱い
本研究において、死者及びご遺族や関係者のプライバシー保護、人権の擁護に最大限配慮致します。特に、個人が特定されるような情報は発表致しません。また、この発表によって警察の捜査や裁判に影響を与えることはありません。本研究を学会や論文などで発表する際の倫理規定に関しては、日本法医学会の見解として「法医学研究の発表における個人情報等の保護に関する指針」を遵守して行っております。さらに、「日本大学医学部倫理委員会」にて「臓器・血液からの遺伝子多型検出に係わる新技術の開発と個人識別への応用」に関する倫理的配慮の方途が審議され、承認を得た後に行っております。
研究協力の任意性と撤回の自由について
本研究へのご協力についてはご遺族様の意思を尊重し、ご遺族様が不利を被ることなくいつでも同意を取り消すことができます。お申し出があった場合に限り、研究対象として選定しないようにいたしますので、以下の連絡先にご連絡下さいますようお願い致します。
問い合わせ先
日本大学医学部社会医学系法医学分野
担当者:奥田 貴久
電話番号:03-3972-8111(内線2277)
FAX番号:03-3972-8860
URL: https://www.med.nihon-u.ac.jp/department/medicolegal/optout.html
法医解剖の事例報告について
私ども日本大学医学部社会医学系法医学分野にて施行しております法医解剖は死因を究明し、捜査を助けるために行われています。一方で、その解剖は医学の進歩、公衆衛生、社会の治安維持に貢献し得る貴重な事例でもあります。そのため稀ではありますが、学会、医療界、社会に還元する意義が特に大きいと判断した事例は、学会や学術専門雑誌に「事例報告」として、事例の概要、解剖所見、検査結果などを研究成果として発表することがあります。
研究実施機関
日本大学医学部社会医学系法医学分野
研究代表者
奥田 貴久 (おくだ たかひさ)
研究の目的
本学で実施した法医解剖時の肉眼所見、検体の一部を用いた検査及び分析結果等の症例に関する情報を、「医療・行政(社会)・福祉・法曹分野等へフィードバックする」ために、「学術研究会や学術専門誌に発表すること」を目的とします。
研究試料とさせていただく対象
本学で行われる、及び過去に本学で行われた法医解剖(司法解剖や死因・身元調査法解剖)のご遺体の検査結果や事故などの情報を対象とします。身内の方を本学で解剖させていただいており、その採取保存試料や情報が研究対象となっているか否かをお知りになりたい場合や、研究の対象とはして欲しくない場合は、お手数ですが下記問い合わせ先にご連絡下さい。
個人情報の取り扱い
本研究において法医解剖の事例報告を行う際には、死者及びご遺族や関係者のプライバシー保護、人権の擁護に最大限配慮致します。特に、個人が特定されるような情報は発表致しません。また、この発表によって警察の捜査や裁判に影響を与えることはありません。本研究での事例報告を行う際の倫理規定に関しては、日本法医学会の見解として「法医学研究の発表における個人情報等の保護に関する指針」を遵守して行っております。さらに、「日本大学医学部倫理委員会」にて法医解剖の事例報告に関する倫理的配慮の方途を審議され、承認を得た後に行っております。
研究協力の任意性と撤回の自由について
本研究へのご協力についてはご遺族様の意思を尊重し、ご遺族様が不利を被ることなくいつでも同意を取り消すことができます。お申し出があった場合に限り、研究対象として選定しないようにいたしますので、以下の連絡先にご連絡下さいますようお願い致します。
問い合わせ先
日本大学医学部社会医学系法医学分野
担当者:奥田 貴久
電話番号:03-3972-8111(内線2277)
FAX番号:03-3972-8860
URL: https://www.med.nihon-u.ac.jp/department/medicolegal/optout.html
miRNA発現パターンと病理所見に基づく機械学習による冠状動脈硬化症のクラスター化
私たち日本大学医学部社会医学系法医学分野では、死因究明や犯罪捜査などのために法医解剖を行っています。それと同時に科学の進歩に従い、より正確にこれらの業務を遂行するために、様々な解剖の実例から研究も求められます。その研究を行うにあたり、様々な原因でお亡くなりになった方の試料で、間違いなく死因と関係ある検査が出来ることを証明することが大変重要です。私共の施設で司法解剖が行われた場合、ご遺体の解剖に引き続いて行われるアルコール濃度検査や病理組織の顕微鏡の検査等のために血液や諸臓器の一部を検査試料として採取・保存しております。実際には、再度検査が必要になった際に備えて試料は多めに保存しております。その残量に余裕がある場合には、その一部を私たちの研究に使用させていただきます。
この情報公開は、私たちが行っている研究をご遺族様にご理解いただくための説明書です。
研究実施機関
日本大学医学部社会医学系法医学分野
研究代表者
鉄 堅(てつ けん)
研究の説明の前に
冠状動脈硬化症(CAD)およびアテローム性動脈硬化性心血管疾患は、放置すると死に至らしめる病気です。アテローム性動脈硬化症は数十年以上にわたって発症し、プラークの発生と進行を促進する内皮細胞、平滑筋細胞、マクロファージ間の慢性炎症環境と細胞間相互作用を促進する細胞メカニズムの複雑な相互作用によって媒介されます。これまで治療の進歩はありましたが、アテローム性動脈硬化症を治療する包括的なアプローチは未解決なままです。
ところで、ほとんどの病気は、生まれながらの体質(遺伝的素因)と,病原体・生活習慣などの影響(環境因子)の両者が組合わさって起こります。複数の遺伝子の発現を同時に制御する小さな非コードRNAであるMicroRNA(miRNA)は、多面的な疾患の強力な臨床バイオマーカーおよび治療標的として浮上しています。われわれは、アテローム性動脈硬化症を制御する最も影響力のあるプロセスの調節における治療標的として、また、疾患の重症度を反映している可能性がある臨床バイオマーカーとして、miRNAの潜在的な役割に対する最近の研究成果に注目しています。miRNAは、心血管生理学および病態生理学に関連し、心肥大、血管緊張の維持、および血管損傷への応答に役割を果たす短い非コードRNAです。2000年の発見以来、アテローム性動脈硬化症を含む多面的な疾患の治療標的および臨床診断バイオマーカーとして注目されてきました。これまでのin vitroおよび前臨床試験では、多数のmiRNAが主要な心血管細胞タイプにわたって複雑な細胞プロセスを制御する可能性があることが示唆されています。
心臓性突然死と私たちの挑戦
動脈硬化は、さまざまな心臓疾患と関連して自身の動脈硬化の程度を把握していないうちに多くの人々が亡くなってしまいました。法医解剖だけではなく、臨床医学においてもより簡単で確実な診断方法の開発が期待されています。法医解剖では死因を明確に判断できない事例が少なくないですが、その際に動脈硬化と心疾患を排除することが非常に重要です。miRNAと動脈硬化や様々な心疾患との関連性が徐々に明確になってきていますが、私たちの研究でより確実に究明できれば、種々の方法を組み合わせた新たな検査法の開発を提案できると考えています。
研究の目的
本研究は、法医解剖が行われたご遺体の組織・血液を対象とし、死体血中の循環miRNAを網羅的に解析し、実際の冠状動脈病理所見と紐付け、機械学習による統合的な分析を加えることで、CADの発症・重症化に影響を及ぼしうる「miRNAクラスター」を明らかにすること目的とします。近年、血中に存在するmiRNAが様々な心疾患の発症や重症化に関連することが示唆され、単一のmiRNAのみでは全ての病態を説明できません。本研究では、複数のmiRNAの発現パターンによって動脈硬化病変の発症・進行のパターンをmiRNAクラスターとして分析することで、miRNAに立脚した疾患診断の指標とすることを目指しています。
対象とするmiRNAと研究方法
保存された試料からこの研究に使用する分の試料を小分けにし、お名前や住所ではなく別の符号を付けて研究を進めていきます。お名前と符号との対応は台帳に記録しますが、その台帳は研究には日大医学部の情報管理者である学部次長が個人情報管理者として保管し、実際に研究に従事する私たちが勝手に見ることはできません。お一人のみの試料ではなく複数の方の試料を同時に扱って、考案した新たな検査法により先に示したようなmiRNAが実際に確認できるか否かを検討します。対象は先行研究より心臓疾患に関連があると考えられる計74種のmiRNAとします。
- コレステロールの恒常性と逆コレステロール輸送に関係(15種):
miR-24、miR-122、miR-185、miR-223、miR-486、miR-10b、miR-20a/b、miR-23a/b、miR-30e、miR-33a/b、miR-92a、miR-101、miR-144、miR-148、miR-302a。 - アテローム性動脈硬化症のプラークに関係(25種):
let-7g、miR-17-3p、miR-31、miR-146a、miR-155、miR-181a-3p/-5p、miR-181b、miR-221、miR-222、miR-22、miR-27a/b、miR-33、miR-34a、miR-155、miR-33、miR-155、miR-23a-5p、miR-27、miR-34、miR-212、miR-590、miR-758-5p、miR-1、miR-21、miR-143/145。 - アテローム性動脈硬化症プラーク破裂(6種):
miR-21、miR-29b、miR-124-3p、miR-133b、miR-181b、miR-362。 - アテローム性動脈硬化症のプラーク血管新生(11種):
miR-17-92 cluster、miR-21、miR-31、miR-126、miR-720、miR-1、miR-29a、miR-143、miR-145、miR-214、miR-221/222。 - 肥大型心筋症に関係(5種):
miR-133、miR-21、miR-199a-5p、miR-27a、miR-29a。 - 致死性不整脈(5種):
miR-155、miR-1a、miR-133a、miR-499-5p、miR-208a。 - 拡張型心筋症(4種):
let-7a-5p、miR-142-3p、miR-145-5p、miR-454-3p。 - 心筋梗塞・心不全(3種):
miR-150-5p, miR-29a-3p, miR-30a-5p。
研究試料とさせていただく対象
本学で行われる法医解剖のご遺体から採取された血液や心臓の一部を対象とします。もし身内の方を本学で解剖させていただいており、その採取保存資料が研究対象となっているか否かをお知りになりたい場合や、研究の対象とはして欲しくない場合には、お手数ですが下記問い合わせ先にご連絡下さい。なお、死因調査解剖の場合にはご遺族様の承諾をいただいた上で研究に使用させて頂きます。
解析結果の公表と知的財産権
研究成果を公表する際には、故人やご遺族様が特定されるような形では公表しませんので、それによって不利益を受けることはありません。
バイオマーカーを解析する研究の結果として特許権などの知的財産権が生ずる可能性がありますが、その権利は日本大学に属します。
研究方法に関して更に知りたい場合
この研究に関する詳しい内容をお知りになりたい場合には、下記問い合わせ先にご連絡下さい。死因調査解剖の場合には承諾の手続きの際にその書類をお送りしておりますのでご確認下さい。
故人のmiRNA情報や解剖所見等に関して知りたい場合
研究で得られた故人のmiRNA情報については、それがどなたの情報なのか私たち自身では知る術がないのでお伝えすることが出来ませんが、研究成果については公表した学会名や雑誌名をお伝えすることが可能です。なお、死因や解剖所見等のこの研究そのものには関係しない事柄に関するお問い合わせについても、お答えすることはできません。ご了承下さい。
個人情報の取扱い
名前や住所など故人やご遺族様を特定できる情報は本研究では使用しません。前述のように別途新たに符号をふって、その符号を用いて研究を進めていきます。お名前と符号との対応は日大医学部次長が管理する台帳に記録し、私たち実際の研究に従事する者が勝手に見ることはできません。研究成果は学会や学術雑誌で発表されますが、その際にも故人やご遺族様を特定できる情報等が明らかになることはありません。
研究協力の任意性と撤回の自由について
本研究へのご協力についてはご遺族様の意思を尊重し、ご遺族様が不利益を被ることなくいつでも同意を取り消すことが出来ます。お申し出があった場合に限り、個人情報管理者より対応する符号を受け取って、資料や既に得られたデータがあればそれらを破棄します。以下の連絡先にご連絡ください.
試料の取り扱いと他の研究への利用について
本研究で使用した血液や臓器の一部の残りについては、将来、法医学的な別の遺伝子解析研究のために使われることがあります。今後の法医学的な研究に使用して欲しくない場合には、下記問い合わせ先にその旨ご連絡下さい。そのような場合、本研究終了後の他の研究のために使用することはありません
問い合わせ先
日本大学医学部社会医学系法医学分野
住 所:〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30番1号
電 話:03-3972-8111(内線2277)
担当者:鉄 堅(てつ けん)