医学部長からご挨拶
創設100周年を迎え、総合大学の力で教育・研究の新時代を拓く

日本大学医学部は、2025年3月31日に創設100周年という大きな節目を迎えました。1925年(大正14年)3月、日本大学専門部医学科として駿河台の地に開設され、1935年(昭和10年)5月には板橋病院が開設されました。これまで医学部を支えてくださった卒業生の皆様をはじめ、在校生、保護者、教職員、そしてすべての関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
医学部の教育理念は「醫明博愛(いみょうはくあい)」です。医学・医療に光をあて、病める人々に真摯に向き合う姿勢を表しています。現在、板橋病院と日本大学病院の2つの大学病院をはじめ、関連施設も多数整備され、板橋キャンパスでは未来を見据えた「キャンパス整備構想」が進行中です。
この「キャンパス整備構想」は、日本大学全体の取り組みとして進められています。板橋病院は、高度な医療を担う特定機能病院としての役割を果たすと同時に、学生や若手医師の学びの場でもあります。このプロジェクトは単年度計画ではなく、毎年見直しと改善を重ねながら、次の100年を見据えた持続的な発展を目指しています。
今後の板橋病院は、教育・研究機能と医療機能が一体となった施設として、質の高い医療提供を目指します。特に、学生や研修医、若手医師が安心して学び成長できる環境整備に力を注いでいます。さらに、新病院は高度急性期医療を担う特定機能病院であると同時に、地域住民を守る災害拠点病院の役割も果たします。日本大学病院もまた、特徴ある高度医療の推進に取り組んでまいります。
21世紀は「ライフサイエンスの世紀」と言われています。医学のみならず、人文・社会科学や自然科学など、さまざまな学問領域との連携を深め、新たな「総合知」を創造することが重要です。各分野の専門家が集い、活発な議論や研究、技術開発ができる場を整備し、国内外へ研究成果を発信する国際的な研究拠点を目指します。総合大学の強みを活かし、他分野との協働を通じた社会貢献にも一層努めてまいります。
医学部が目指す組織像は、以下の三つです。
1. 常に前向きな発想で学び続ける組織(新たな価値の創出)
2. 志を共にし、調和と共感を大切にする組織(持続可能な繁栄の実現)
3. 多様性を尊重し、各自が能力を発揮し自律する組織(ダイバーシティの推進)
医学部の使命は、「良き臨床医」「優れた医学研究者」「熱意ある医学教育者」の育成にあります。そのために、高度な診療・研究・教育の3本柱を堅持し、実践し続ける決意です。
次の100年に向け、日本大学医学部は教職員一丸となって邁進してまいります。
これからもご支援を頂けますようよろしくお願い申し上げます。
日本大学医学部長
木下 浩作
救急医学系 救急集中治療医学分野 教授