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アストロサイトの細胞内Ca2+動員機構 (2018年10月12日)
Inositol 1,4,5-trisphosphate receptor type2-independent Ca2+ release from the endoplasmic reticulum in astrocytes
Yohei Okubo, Kazunori Kanemaru, Junji Suzuki, Kenta Kobayashi, Kenzo Hirose & Masamitsu Iino
Glia, in press (DOI: 10.1002/glia.23531)
アストロサイトは、細胞内Ca2+シグナルを介して様々な脳機能制御に関与しています。このCa2+シグナル形成に2型IP3受容体(IP3R2)が主要な役割を果たすと考えられて来ました。実際、IP3R2ノックアウト(KO)マウスではアゴニスト刺激によるカルシウム濃度上昇が強く抑制されます。ところが、IP3R2-KOマウスには目立った生理機能変化が見られない例が報告され、アストロサイトCa2+シグナルの機能的な意義が疑問視されるようになりました。
今回、私たちが開発した小胞体内腔のCa2+濃度測定インジケーター(G-CEPIA1er)を用い、IP3R2-KOマウスのCa2+放出機構を解析したところ、野生型のアストロサイトに比較して放出速度は低下するものの、明確なCa2+放出が起こっていることを明らかにしました。IP3R1あるいはIP3R3を介したCa2+放出が生じていると見られます。さらに興味深いことに、このIP3R2に依存しないCa2+放出はミトコンドリア内のCa2+濃度を効率的に上昇させることがわかりました。小胞体とミトコンドリアが近接構造をとることを考え合わせると、IP3R2-KOマウスでも筋小胞体近傍のCa2+濃度は上昇していると考えられます。
以上の結果は、アストロサイトのCa2+シグナルの意義を解析する際、小胞体近傍のCa2+濃度変化に着目する必要があることが示しています。

研究室メンバーが増員され、研究体制が整備拡充されました。(2018年9月1日)
金丸和典准教授が4月1日に東京大学より着任しました。引き続いて、川嶋佑輔および芹澤和恵 研究協力員も着任し、以前からのメンバー(飯野正光、太向勇、矢部健介)と合わせて、強力な研究体制となりました。