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医局のご紹介

教授紹介

現在までの研究概要とその特色

東京大学付属病院内科研修中にインスリノーマのために低血糖を来たす患者を担当したことを契機として、東京大学第三内科に入局しました。その後、糖尿病研究室に所属して、糖尿病の成因と治療への応用に関する研究を開始し、今日まで一貫してこの分野の研究を続けてきております。特に糖尿病発症における膵島障害の分子機構の解明とその成果をもとにした治療薬の開発・再生医療への応用を目指した研究を行っております。

入局後の初期には、当時糖尿病研究室で精力的に進められていた糖輸送担体の解析を行いました。そして、膵β細胞に発現する糖輸送担体を検討する目的で、β細胞株MIN6の生理化学的特徴を解析し、さらにインスリン分泌機構の解析を行いました。同時期にヒトにおいてインスリン分泌機構に重要なグルコキナーゼの遺伝子異常が糖尿病を発症することを見出しました。次に、インスリン分泌顆粒の開口放出過程に重要と考えられるフォスファチジルイノシトール4リン酸5キナーゼcDNAのクローニングとインスリン分泌における役割の検討を行いました。

1998年より3年間、ジュネーブ大学臨床生化学教室(スイス)に留学しました。留学の前半では、ピルビン酸の膵島に対する作用を解析し、運動誘発低血糖症の病態解明に貢献しました。留学の後半では、α細胞からのグルカゴン分泌抑制においてβ細胞からインスリンとともに放出される亜鉛が重要な働きを担うことを発見し、膵島におけるα・β細胞クロストークの概念と2型糖尿病に認められるグルカゴン過剰分泌の分子機構を提唱しました。

帰国後、東北大学病院糖尿病代謝科において、2型糖尿病に認められるβ細胞アポトーシス亢進のメカニズムの研究を開始しました。この目的のために糖尿病を発症するWolfram症候群のモデルであるWfs1ノックアウトマウスを樹立し、β細胞数減少の分子機構の検討を行いました。その過程で、小胞体ストレス応答経路と細胞増殖シグナル経路が相互に関連することを見出しました。現在では、β細胞数減少の分子機構の検討とともに、糖尿病の再生医療に向けたβ細胞の再生機構の解析も行っております。

研究実績資料(PDFダウンロード)

研究分野

膵ランゲルハンス島の生物学

研究職歴

1990-1991
東京大学医学部第三内科

1991-1991
熊本大学医学部細胞遺伝学教室

1991-1998
東京大学医学部第三内科

1998-2001
スイス・ジュネーブ大学臨床生化学教室

2001-2008
東北大学医学部附属病院糖尿病代謝科

所属学会

2002-
アメリカ糖尿病学会

1999-
ヨーロッパ糖尿病学会

1991-
日本内分泌学会

1991-
日本内科学会

1991-
日本糖尿病学会