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医局のご紹介

教授ご挨拶

2023年度の終わりは、桜が咲きそうで咲かない、肌寒い毎日となっています。2月の中旬に暖かい日が続いた時には、一気に春がきて、あっという間に夏が来るのかと思いましたが、自然の巡りは予想が付きません。


昨年11月から、木下学部長のもとでの新たな体制が始まり、私も執行部の一員となり、企画・広報担当を拝命いたしました。同時に、3年間務めた看護専門学校の校長職は、耳鼻咽喉・頭頚部外科学分野の大島教授にバトンタッチをいたしました。医療の一翼を担う看護師を目指す学生たちとその学生たちを指導する先生方との活動は、私の医療者としてのcarrierだけでなく、人生の経験として非常に貴重なものでした。入学式、卒業式や戴帽式で告示を述べさせていただいたことは、とりわけ良い思い出となりました。折角なので、医療の基本について考えていることを正直に述べさせてもらいました。


さて、糖尿病・代謝診療には、新たなうねりが起きつつあるようです。インクレチンであるGLP-1、GIPに加えて、GLP-1と兄弟であるグルカゴン遺伝子産物オキシントモデュリンの構造を基本とし、GLP-1受容体とグルカゴン受容体の両者に作用する薬剤が、間もなく臨床現場に登場します。すでに登場した抗肥満作用を示す薬剤とともに、新たな展開が期待できると思います。当科では、日本大学病院で、藤城准教授が中心となって、肥満診療にも取り組んでいますが、今後は板橋病院でも肥満診療に力を入れたいと思います。また、CGM関連のデバイスの発展も目覚ましいものがあります。このような新たな戦略を積極的にとりいれた診療も進めていきたいと思います。


昨年から始めたブタ膵島の研究は順調に進行しています。これまで扱ってきたマウス膵島と全くことなる特徴もあり、興味深く取り組んでいます。一方、従来から行っている遺伝子操作を積極的に応用したインスリン分泌機構の研究も、一つ二つと成果が出ています。これらを統合した研究を展開していきたいと思います。


人類は、コロナ禍で貴重な経験を積みました。多くの犠牲を思うと、簡単に前だけを向いて進むというものではありませんが、より自由な活動が再開された今、医局員一同団結して、教室の診療・研究・教育に邁進していきたいと思います。ご指導・ご鞭撻のほど、宜しくお願い申しあげます。


2024年3月



PROFILE

1963
埼玉県浦和市生まれ。浦和高校を経て、1988年、東京大学医学部医学科卒業。
東京大学医学部第三内科および朝日生命成人病研究所付属病院医員

1998
ジュネーブ大学医学部臨床生化学教室研究員

2001
帰国。東北大学病院糖尿病代謝科医員・助手・講師

2008
日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野主任教授に就任。