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医局のご紹介

教授ご挨拶

2008年9月1日にこの教室へ、初代の専任教授として赴任し、とうとう満10年がたちました。自分の描いていた教室運営には、正直遠く及ばない状況ですが、まだ10年あるので、燃え尽きるまで頑張る所存です。良き臨床医を育てるという本学の目標をストレートに達成するには、日々の臨床活動に100%力を注ぐことが早道ですが、大学は教育機関でもあります。研究もしなければ大学と言えるのか?最新の論文を読んで、新たな情報を吸収しないで、大学にいる意味があるのか?と、いろいろ考えます。一方で、働き方改革への対応はどうするか?、新専門医制度の課題、難しい問題は山ほどあります。


一昨年から、地域の先生方に医局の様子を紹介する会を行っています。私自身は、近隣の多くの先生にお会いする機会が少なくないのですが、医局の実働部隊と接していただくことにより、より身近に感じてもらえるようになったと思います。患者さんの紹介・逆紹介の数も増やすことができました。まだまだ、区西北部が中心ですが、多摩北部から埼玉の中央南部あわよくば西部の地域で、糖尿病で困ったら日大糖尿病代謝内科と思い至ってもらえるように、教室を盛り上げたいと思います。本年6月より、渡邉健太郎が准教授に昇進し、体制も整いましたので、十分可能だと考えています。


当科の年間の新入院患者数は、2009年、兄弟医局である消化器肝臓内科の先生方の助けをかりて開始した当時約180名でしたが、その後徐々に増えて、2012年には250名となりました。さらに、現学部長の強いリーダーシップにエネルギーを得て320名前後となり、本年は350名をこえようとする勢いであります。こうした中で、興味深い症例にも出会えるようになりました。新たな糖尿病の遺伝子異常も見つけることができ、基礎的な研究へも展開しています。


糖尿病臨床は、SGLT2阻害薬の臨床応用の進展とflash glucose monitoring法の登場で、一段と質的な進歩が遂げられました。糖尿病患者の原尿では、近位尿細管でブドウ糖を再吸収する際に、同時にナトリウムも再吸収してしまう結果、ヘンレ係蹄へ腎血流量に不相応に低いナトリウム濃度が伝えられているという、異常が存在します。この点に光を当てたのが、SGLT2阻害薬であるとも言えます。糖尿病という名前が、この疾患の本質を表してはいないのではないかという意見を時々耳にします。尿に糖が多いことよりも、血管内の糖が多いことがより重要であるとの考えからです。しかし、SGLT2阻害薬による糖尿病の合併症抑制が示され、原尿のブドウ糖制御異常が発する病態が明らかになり、糖尿病という疾患名が正しいことを示したと言えるかもしれません。このような新たに明らかになりつつある病態の知識を取り入れ、若い医師にも伝え、より良い糖尿病診療を実践していきたいと思います。


生命活動の基礎であり、病態を形成する基礎単位である我々の細胞に対する解析のメスは、年々鋭くなっています。進歩する武器をどんどん取り入れて、教室での研究を発展させたいと思います。20年前以上に研究を始めて、こんなことができるようになれば面白いのに、と思ったことができるようになっています。また、それらを応用すべき対象として、iPS細胞が開発され、臨床に直結してまいりました。診療も研究も、ますます面白くなりそうなこれからですが、医局員と力を合わせ、邁進してまいりたいと思います。


2018年9月 石原 寿光



PROFILE

1963
埼玉県浦和市生まれ。浦和高校を経て、1988年、東京大学医学部医学科卒業。
東京大学医学部第三内科および朝日生命成人病研究所付属病院医員

1998
ジュネーブ大学医学部臨床生化学教室研究員

2001
帰国。東北大学病院糖尿病代謝科医員・助手・講師

2008
日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野主任教授に就任。