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医局のご紹介

教授ご挨拶

本学の糖尿病代謝内科の教授となって、満9年があっという間に過ぎました。これからの1年は、2029年度末までの任期の前半のまとめの時期ということになります。


この1年の最大の出来事といえば、日大板橋病院の建て替えが決定されたことでしょう。詳しい工程は、まだ知らされていませんが、すべてが完成するまでには5年以上7−8年はかかると思われます。かなり先のように感じますが、新たな方向へ進んでいくエネルギーが、日々の活動の力を与えてくれ、発展につながると思います。


また、新専門医制度の開始も決定されました。10月からは登録開始です。1年目にあたる現在卒後2年目の先生を中心に、不安に思っている人も多いでしょうが、私も本学の内科専門研修の統括責任者として、しっかりと準備を進めています。これから紆余曲折が予想されますが、3年間、とにかく頑張れば無駄なことにはならないと思います。将来必ず、有意義な時間であったと思いかえされると信じています。


本年は、学位論文提出9月末日締め切りの大学院生がいなかったこともあり、9月11−15日に開催された欧州糖尿病学会に6年ぶりに参加してきました。開催都市はポルトガルのリスボンでしたが、6年前も同じリスボンでした。欧州糖尿病学会も大きくなりすぎて、リスボンやベルリンなど、5−6か所を順番にまわさざるを得なくなっているということだと思います。以前は、プラハやエルサレムなどもありましたが、規模と安全確保が課題のようです。そのリスボンですが、この2−3年、観光に力を入れているということで、欧州各国や米国、中国などから観光客が多く来ているようでした。


この数年やってきた仕事を発表し、最終日の夕食を留学中の恩師であるWollheim ご夫妻とこちらも家内を連れてきていたので、4人で一緒に過ごしました。Wollheim教授は、現在Geneve大学とLund大学でアドバイサーのような立場で、研究を続けており、中堅のPI(principal investigator)を交えて、今後の共同研究の相談をしました。GeneveでWollheim 教授の後継者となっている留学中の同僚であるMaechler教授とは、やはり気心が知れているので、率直にいろいろ頼むことができます。学会そのものも勉強になりましたが、このような機会を持てたことが、最大の収穫でした。


リスボンであった研究者の間でも、flash glucose monitoringや、smart insulinは話題になっていましたが、糖尿病診療だけでなく、医療全体がこれから10年でさらに大きく変わると予想され、怖い感さえあります。AIの導入が確実に進むでしょう。放射線診断学などは、かなりの部分をAIがやれるようになると予想されます。一方、糖尿病診療のような患者の性格や嗜好性を考えながらあたる診療は、AIは苦手のようです。糖尿病診療は、医師の人間力が最も重要です。難敵?である患者をうまく手繰らないとなりません。強く引っ張りすぎても切れて飛んで行ってしまいますし、もちろん放置してはダメです。患者がどのような性格か、それも現在はどのような状況なのか、よく聞き感じながら、医学的知識から選択し、細かく指導していくことが何より大切だからです。糖尿病の診療は、まだまだ奥が深く、そう簡単にはうまくいかないだろうと思います。


2017年9月 石原 寿光



PROFILE

1963
埼玉県浦和市生まれ。浦和高校を経て、1988年、東京大学医学部医学科卒業。
東京大学医学部第三内科および朝日生命成人病研究所付属病院医員

1998
ジュネーブ大学医学部臨床生化学教室研究員

2001
帰国。東北大学病院糖尿病代謝科医員・助手・講師

2008
日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野主任教授に就任。