エクソソーム/ナノチューブを介した細胞間コミュニケーションの解析
多細胞生物である私たちの細胞は、常に近隣のまた遠く離れた他の細胞と情報交換をして恒常性を保っています。よく知られている神経系や内分泌系の情報伝達システムに加え近年新しい情報伝達システムがあることがわかってきました。
異なる細胞同士の共培養と遺伝学的手法、そして顕微鏡を用いた可視化技術を駆使することで、情報を発信している細胞と受け取る細胞を可視化することができるのではないかと考えました。実際に、細胞小器官やタンパク質を蛍光ラベルすることによって、これまでは調べることができなかった興味深い現象の詳細を明らかにすることができます。
特に、エクソソームを使った遠隔的な細胞間情報伝達や、ナノチューブを介した近距離での細胞間伝達に注目しています。次の写真は、蛍光色素で細胞質を緑に、ミトコンドリアを赤に染めた羊膜上皮細胞が近隣の細胞にミトコンドリアを分配する現象を捉えたものです。

また、以下の写真は、羊膜上皮細胞hAECsのミトコンドリアに遺伝学的ツールで赤色蛍光タンパク質を安定発現させて、隣接する別種の細胞にミトコンドリアを移す瞬間や、移ったミトコンドリアがどのような挙動を取るかを解析する実験結果の一部です。

このように、蛍光ラベルや可視化技術を使った基礎研究と、これを細胞移植に応用する研究から、細胞間情報伝達に関する様々な新規発見と医療応用を目指しています。