研究プロジェクト
AMED
利活用を目的とした日本疾患バイオバンクの運営・管理
日本大学で構築済みの臨床情報データベースについて、BBJが構築する臨床情報データベースとの連携を進める。またBBJ試料・情報の利用者からの依頼に対応して、研究実施に必要な臨床情報の提供を行う。2013年以降から臨床情報の収集が中断していたが、臨床情報の定期的な更新と検索、データ抽出が可能な体制を構築するため、臨床情報分析支援プラットフォーム(SIMPRESEARCH)、統合診療支援プラットフォーム(CITA)の導入・連携をすすめ、電子カルテ情報とのシームレスな連携が出来る環境を構築する。さらにCOVID-19関連臨床情報の後方視的調査(感染の有無や重症化、薬剤の効果など)を行う。
大規模疾患コホート・アカデミア連携を基盤とするオミックス解析・サーベイランス体制の整備による新興感染症重症化リスク因子の探索
日本大学で構築済みの250万人20年間の患者臨床情報データベースにおいて、本学のBBJ協力患者を中心にBBJが構築する臨床情報データベースと血清情報やゲノム情報のシームレスな連携進めるプロジェクトが進行している。本プロジェクトはBBJ参加者を中心にCOVID-19関連臨床情報の後方視的調査(感染の有無や重症化、薬剤の効果など)やサンプル採取などを行い、COVID-19のより詳細な病態解析、ワクチン開発に寄与貢献する所存である。
科研費
- リアルワールドデータの解析に基づく副作用機序の解明と疾患治療標的の発見
KAKEN (科学研究費助成事業データベース) - 発達期脳多元自発活動の数理モデルとその学習理論の構築
KAKEN (科学研究費助成事業データベース) - 機械学習アプローチによる薬物性肝障害の発症に寄与する未知の薬物間相互作用の検出
KAKEN (科学研究費助成事業データベース)
その他
薬剤の臨床効果と疾患の発症・進行の機械学習解析
薬剤の臨床効果と疾患の発症・進行の関係を機械学習を用いて従来法を超えた精度で解析し、新たな知見を得ることに成功している [1] 。また、臨床薬剤疫学研究に必要とされる機械学習は最先端レベルでもまだ全然十分に発展しておらず、ガウス過程・モンテカルロ法等の方法論を基盤として新たな理論と方法を構築しつつある[2] 。
- "Benzodiazepine-related dementia risks and protopathic biases revealed by multiple kernel learning with electronic medical records" (under review)
- 近日arXiv公開予定
リカレントニューラルネットワークの理論的解析
近年神経回路を用いた機械学習が理論・実践両面で発展しているが、リカレント神経回路は取り扱いの難しさが指摘されてきた。このような中、リカレント神経回路を確率論的に記述する新たな理論を構築し [3] 、これを用いて学習の理論的な理解を深めることに成功した [4] 。また機械学習の理論をベースに、実験生理学者と数学者と共同で発達期動物脳の理解をすすめる科研費プロジェクトが採択されている [5] 。
- "Spontaneous and stimulus-induced coherent states of critically balanced neuronal networks" Physical Review Research (2020)
- 2022年度生理研研究会 「第4回 力学系の視点からの脳・神経回路の理解」12月3日 招待講演
- 日本学術振興会 科研費 学術変革領域(B) 22H05095
機械学習を用いた薬物の肝および腎機能障害への影響に関する研究
薬物の代表的な副作用として肝及び腎機能障害がある。この薬物性肝・腎機能障害はほとんどの薬物で認められ、そのリスクが相対的に高い薬物もあればそうでない薬物もある。薬物の体内からの消失は肝臓による代謝と腎臓による排泄が関与することから、これら組織の機能障害は薬物動態ないし投与量や投与間隔に直接影響を及ぼすことが懸念される。さらに海外では、薬物性肝障害のリスクが高い薬物を複数併用するとそのリスクが相乗的に増加するという研究結果も示されている。すなわち薬物性肝・腎機能障害のリスクを薬物毎に評価することに加え、これら副作用のリスクを相乗的に高めるような薬物の組み合わせにも注意しなければならない。この組み合わせの探索には、多重ロジスティック回帰分析のような従来の統計学的手法がしばしば用いられているが、この手法は解析したデータセットに過剰適合(over-fitting)する傾向があり、未知のデータに対しては脆弱である。これらの事情を踏まえ、臨床で蓄積された医療ビッグデータと機械学習を組み合わせることで、肝・腎機能障害のリスクを相乗的に高めるような薬物の組み合わせを探索している。
低ナトリウム血症を起こしにくい抗うつ薬の同定
抗うつ薬は副作用として低ナトリウム血症を引き起こすことが知られているが、各抗うつ薬のリスクについては統一見解が得られていない。そこで本研究では、本学の匿名化臨床情報データベース(NUSM’s CDW)を用いて、各抗うつ薬が血清ナトリウム値に与える影響を評価する。加えて、その薬剤疫学データと薬力学データを統合することにより、抗うつ薬誘発低ナトリウム血症の分子メカニズムの解明を試みる。
疾患モデル研究
当研究室では、ゲノムワイド関連解析(genome wide association study:GWAS)により治療抵抗性高血圧症の疾患感受性遺伝子としてDisks large-associated protein 1 (DLGAP1) 遺伝子を同定した。神経シナプスの裏打ち構造タンパク質であるDLGAP1 の遺伝子欠損マウスを用いて表現型解析を行うとともに、治療抵抗性高血圧症におけるDLGAP1の機能解析を進めている。