寄附講座

臨床試験管理学分野(寄附) 株式会社4DIN

わが国の臨床試験研究推進のための取り組みにおいて、臨床試験研究効率化の大きな柱として、データ交換様式の標準化とデータの電子化収集の促進(IT化)及び、その臨床情報管理と研究応用があげられている。また、それに付随する人材育成と啓蒙活動についても述べられている。日本大学医学部の臨床情報システムは、過去15年間以上の臨床情報が蓄積され、その情報管理作業環境も整備されている。その大きさ、利用環境を含め、日本屈指の大規模な医療情報統合データベースが構築され、疾患および治療の実態調査や薬剤の有効性・安全性調査や疫学研究などが効率的に行えるようになり、治療効率や経営効率の向上に寄与するデータが入手できるようになっている。本講座は、以下の3つの目的のために設立されている。

  1. 臨床情報の研究応用
  2. 臨床情報管理者、生物学的統計家を育成するための教育プログラムの開発
  3. 臨床情報の産業界への有効利用

生活習慣病解析科学分野(寄附) フェノジェン・メディカル株式会社

本邦において高血圧、脂質異常症、糖尿病をはじめとする生活習慣病の罹患者数は非常に多く、国民医療費をひっ迫させる要因である。また、これらの疾患は長年の生活習慣の影響を受けながら徐々に悪化し、日本人の3大死因に含まれる脳血管疾患や虚血性心疾患の重要なファクターとなる。したがって、生活習慣病をコントロールすることで、将来起こりうる予後不良イベントの発生リスクを予測し、予防・進行抑制を目指すことは重要である。

さて、今日利活用されている医療情報は健診情報、レセプト情報、カルテ情報の3つに大別される。健診情報は受診者の臨床検査値や生活習慣の情報は得られるが、生活習慣病発症までに長期間を要し、処方薬物に関する情報も限定的であることから生活習慣病の発症・進行の予測には不向きである。レセプト情報に関しては診断情報や処方情報は充実しているが、臨床検査値が欠如していることから、生活習慣病のコントロール状況が不明瞭である。他方、患者の診療情報であるカルテ情報は患者の臨床検査値、診断、処方情報がすべて揃っている。すなわち、カルテ情報は生活習慣病の発症・進行を診断情報や検査値からモニター可能である。

ある患者が生活習慣病を発症すること、もしくはある生活習慣病患者の病状が悪化することを予測するためには、生活習慣病の発症・悪化に至るまでの過程における患者の経時的な生活習慣(BMIや検査値コントロール)や投薬状況に関する情報を解析に盛り込む必要がある。コンピュータ処理速度の向上や機械学習アルゴリズムの発明により、近年では疾患発症リスクの予測に人工知能技術の1つである機械学習が利用されつつある。さらには機械学習アルゴリズムは多数の変数間の関係を考慮することが可能であるため、生活習慣病のような複数のリスク因子が複雑に影響する現象を取り扱うにはおあつらえ向きである。

本寄附講座では、経時的なデータを取り扱うことができる機械学習アルゴリズムを開発し、電子カルテ情報の集積体である日本大学医学部臨床情報ウェアハウス(NUSM’s CDW)と組み合わせることで生活習慣病の発症・進行の予測が可能なシステムの開発に取り組んでいる。

日本大学医学部
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