日大医学雑誌

マンノース結合レクチンが各種病態にあたえる影響
―維持血液透析患者を中心に―

総説

著者

里村 厚司  藤田 宜是  松本 紘一
日本大学医学部内科学講座腎臓内分泌内科部門

はじめに

血清マンノース結合レクチン (MBL) はヒト血清レクチンの 1 つで,ウイルスや細菌の種々の病原体の表面にあるマンノースや N-アセチルグルコサミンに結合してオプソニン化や補体経路の活性化をする.MBL による補体活性化経路をレクチン経路という.遺伝子変異によるMBL 機能不全はオプソニン化能を低下させ,時には感染等を繰り返すリスクファクターである.ヒトの生体防御に関わる MBL とさまざまな病態との関連性を示唆する報告があり,MBL 遺伝子型の決定や血中濃度の測定は免疫関連検査として期待されている.また MBL は,感染過程において急性相反応蛋白の一つとしての性格を併せ持つ.MBL は,C 反応性蛋白 (CRP) ほど鋭敏でないが急性相反応蛋白と同様の経過を示すとされている.CRP は,健常人と同様に血液透析患者において重要な予後の予測因子の一つといわれている.MBL も血液透析患者において重要な予後の予測因子の一つと期待されている.

keyword

mannose-binding lectin, chronic renal failure, hemodialysis, innate immunity, CRP
マンノース結合レクチン,慢性腎不全,血液透析,初期免疫,C 反応性蛋白