研究部門紹介

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研究1:脳のつながりをしらべる(脳ネットワーク研究)

日本大学板橋病院放射線科ではMRI(核磁気共鳴画像診断法)を用いて、脳のつながり(ネットワーク)を研究しています。
脳のネットワークを調べる方法は主に2種類あります。
ひとつは脳血流を測定する機能MRI(functional MRI:fMRI)を用いる方法で、安静時(resting state:rs)の脳血流をある一定時間測定し、時間経過の中で血流の変化が同調する領域が機能的につながっているとする機能的脳ネットワークという考え方(rs-fMRIを用いた機能的結合性:functional connectivity)です。もう一つは拡散テンソル画像を用いる方法で、脳内の神経路(脳内で神経細胞が存在する灰白質の間の連絡路:白質)を描出する構造的脳ネットワークという考え方です(構造的結合性:structural connectivity)。
通常、MRIの画像診断は脳の形(腫れている:腫大、痩せている:萎縮)や色(MR信号:白い・黒い)など人の目で見えるもので判断していますが、これらの手法は画像の中から目で見えない情報を取り出しネットワークとして数学的に解析し、病気の診断や治療効果の判定に役立てようとする研究です。
世界では様々な脳疾患、とくに脳の形状やMR信号での診断が難しいことが多い機能的脳疾患と呼ばれる病態(認知症や精神疾患など)で有用性が報告されています。日本大学板橋病院放射線科では、神経内科や口腔外科との共同研究でパーキンソン病や口腔灼熱症候群(舌痛症)などを対象として”脳のつながり”を研究しており、これらの疾患の病態解明に取り組んでいます。

図1は、安静時の機能MRI(rs-fMRI)から作成した脳の機能的ネットワークを示しています。
図2は、拡散テンソル画像から作成した脳の構造的ネットワークです。

(図1)脳の機能的ネットワーク : 安静時機能MRI(rs-fMRI)から作成


 





(図2)脳の構造的ネットワーク : 拡散テンソル画像から作成。

 

臓器・病変の硬さを調べる

3TMRI装置を用いた肝臓のエラストグラフィ

エラストグラフィとはelasticity(硬さ)をgraphic(画像化)する手法です。
“硬さ”はその臓器の状態を知るのに重要なバイオマーカーの一つです。例えば肝臓は本来柔らかい臓器ですが、ウイルス感染やアルコールによる慢性的な障害により肝硬変に移行するにつれて硬くなってきます。肝硬変になると肝臓の機能が低下するだけでなく、肝臓癌のリスクが高くなります。また、肝臓の腫瘍では良性腫瘍は柔らかいものが多く、悪性腫瘍は硬いものが多いことが知られています。
これまで臓器の硬さを知るには体表から触診するか、あるいは手術開腹時に直接触るかしか方法がなく、また触った人によって感じ方も違う上に「前回と比べてどれくらい硬くなったか」「他人と比べて硬いか・柔らかいか」を示す絶対的な指標がありませんでした。  近年MRI装置の発達に伴い、体外から振動を与えるバイブレーターを用いることで、体内臓器の硬さを画像化できるようになってきました。MRエラストグラフィでは体表から針を刺す生検などの侵襲的な行為を行わずに、通常のMRI検査で臓器の硬さを絶対的な数値で評価することができます。また、肝腫瘍の診断では従来のMR画像に加えてMRエラストグラフィで腫瘍の硬度を評価することが腫瘍の良性・悪性を鑑別する一助となります。
当科では内科・外科と協力⇒連携しながら、正常・病的肝臓実質および肝腫瘍の硬さの測定を行い、その臨床的有用性の検討や病気のメカニズム解析を行っています。

(図3)MRエラストグラフィの画像 
左上:MRI画像、
右上:体内を伝わる振動を画像化したもの、
左下:振動を解析し臓器の硬さをカラー表示したもの、
右下:最終的な測定画像

(図4) MRエラストグラフィ検査の実際
外部加振装置で発生させた振動を腹部に装着したパッドで肝臓に伝え、肝臓内の振動の伝播をMRIの位相変化量として検出、組織の相対的な硬さ(弾性)を測定する。



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