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顔のケガ、顔面骨骨折の治療

顔面は、交通事故、転倒、スポーツ、暴力などの様々な原因により若年者から高齢者まで幅広い年齢層でケガをすることの多い部位です。顔面のケガによるキズアトや変形は、見た目の問題にとどまらず心理的にも大きな苦痛となります。さらに、顔面の骨折を伴う場合は、変形に加えて、顔面のしびれや開口障害(口が開きにくい)、咬合不全(かみ合わせが悪い)、複視(ものが二重に見える)などの後遺症をもたらすことがあります。

1. 顔面皮膚軟部組織損傷(顔のケガ)

顔のケガの場合は表面のキズアトをいかに目立たなくさせるかということが重要です。さらに、神経や涙・唾液の通り道などの深い部分の損傷に対しては、初めから適切な処置が施されなければ思わぬ後遺症を残すことになるので注意が必要です。当科ではどのような損傷に対しても適切に対応を行い、また術後のアフターケアも万全に行う体制をとっています。

2.顔面骨骨折(顔の骨折)

当科では、顔面骨骨折の治療について独自の新しい手術方法や技術を開発し、良好な治療成績が得られることを学会や学術誌に報告してきました。これらの新しい方法は、学会で定める診療の指針となるガイドラインでも有効性が認められるに至っています。

  • 鼻骨骨折(鼻の骨折)
    鼻骨の骨折は顔面骨の骨折の中で最も多い骨折です。受傷してから2~3週間以内であれば皮膚に傷をつけずに治療することが可能です。原則的には、入院して全身麻酔による治療を行います。当科では、骨折の整復の状況(治り具合)を手術中に超音波診断装置を用いて評価することで、正確な治療を行っています。整復後は、鼻腔内にガーゼを詰めて、外側はプラスチック樹脂製のガードで固定を行います。受傷から1ヶ月以上経過した陳旧例では骨を切って整復する必要があります。その場合も鼻腔内の切開から行い表面には傷をつけずに行いますが、骨移植などを要することもあります。

  • 眼窩骨骨折(眼の周りの骨折)
    眼球は、薄い眼窩骨により周囲の副鼻腔と隔てられています。眼窩に急激な衝撃が加わった場合に周囲の副鼻腔に吹き抜けるように骨折を起こすことがあり、「眼窩吹き抜け骨折、ブローアウト骨折」といわれています。眼窩吹き抜け骨折の症状としては眼球運動障害による複視(物が二重に見える)、眼球陥凹(眼がへこむ)、頬部の知覚障害(しびれ)などが挙げられます。治療は、まぶたの縁を切開して骨折部を露出して整復します。一般的には骨折の整復後に肋軟骨、腸骨(腰の骨)や吸収性プレートで骨の失われた部分を補填する方法が広く行われています。当科では、骨折の状態や症状によって、内視鏡を使用して鼻と口の中から副鼻腔内にバルーン(風船)を留置して、骨折の整復と固定を行う方法を選択しています。留置したバルーンは、6週間後に外来で麻酔を必要とすることなく抜去できます。バルーン法は、顔の表面に傷が残らず、骨の移植などが不要である利点を有し、低侵襲(体に負担の少ない)な手術方法です。入院期間も4日程度であり従来の方法と比較して短期間となります。

  • 頬骨骨折(ほおの骨折)
    頬骨は頬(ほお)部に突出した骨で、頬に加わった力により骨折を来します。症状としては頬部の平坦化、眼球運動障害による複視(物が二重に見える)、頬部の知覚障害(ほおやくちびるのしびれ)、開口障害(口が開きにくい)などがみられます。治療は偏位した頬骨の整復と固定が原則で、眉毛外側、下眼瞼縁および必要に応じて口腔内に皮膚切開を加えて骨折部を露出し、直視下に整復してプレートで固定するのが一般的です。当科では、骨折の状態や症状によって、手術中に超音波診断装置を用いて整復の状況(治り具合)を評価して固定する手術方法を行っています。この方法では、皮膚の切開を眉毛外側の小さな切開のみに限定することができます。固定は、眉毛部の1箇所のプレート固定とワイヤーによる固定を行います。ワイヤーは、術後6週間程度で外来にて5分程度で抜去します。顔面のキズと骨の周囲の剥離(手術の操作)を最小限にするため低侵襲(体に負担の少ない)であり、術後の腫れが少なく、入院期間も短縮できる手術方法です。

  • 多発顔面骨骨折(顔の複雑骨折)
    顔貌の正確な復元はもちろん、咬合(かみ合わせ)の復元も大切です。また、術後の呼吸管理など集中治療が必要となる場合もあります。当科では術前に3次元CT検査による画像シミュレーションなどで検討を行った上で手術を行っています。また、咬合調整、歯科矯正などが必要となる場合は、歯科口腔外科と共同で治療に臨みます。また、頭蓋骨に及ぶ骨折がある場合には、脳神経外科とも協力して治療を行います。

診療科から

顔面外傷は、専門外来以外でも随時治療をお受けしていますので、お電話でご相談ください。
最初に受診した医療施設で骨折が疑われて紹介で受診する場合には、レントゲンやCT検査の資料をご持参いただくと、診療がスムーズになります。

眼瞼下垂症

眼瞼下垂症とは、上瞼(うわまぶた)が下がってきて、物が見えにくくなってくる状態のことをいいます。それには、生まれつきの先天性眼瞼下垂症と後天性の眼瞼下垂症があります。後天性の眼瞼下垂症のほとんどは、加齢性眼瞼下垂症といって、年齢とともに上瞼の皮膚がたるんだり、上瞼をもち上げる筋肉が伸び切ったり、固定部がゆるんだりするのが原因です。頭痛・目の奥の痛み・肩こり・首筋の張りの原因ともなります。

治療

その原因によって、たるんだ皮膚を切除したり、ゆるんだ腱膜や筋肉を固定しなおします。

麻酔と手術時間

手術は局所麻酔で行います。片方で約45分、両方で1時間半ほどです。

入院は?

術後の腫れを最小限とするために、術後の創部の圧迫と冷却を行いますので、基本的に1泊入院で行っています。高齢者や抗凝固薬を服用している人では数日の入院が必要な場合もあります。保険が適応となります。

経過

瞼の腫れの予防に術後数時間は冷却します。抜糸は1週間目にします。3~4週間は瞼が腫れますので、淡い色のサングラスをかけることをすすめています。キズアトや腫れが完全に落ち着くには4~5ヶ月ほどかかります。

結果

見える範囲が広がり見えやすくなります。また、頭痛や肩こりがあった人では改善することがあります。外見的には、ひたいの皺が目立たなくなり、上瞼がのびていた人では短くなります。

合併症

血が止まり難い人や高齢者では、術後に皮下内出血で瞼が暗紫色になることがありますが、3週間ほどで自然に消えます。ある期間、ドライ・アイという眼の乾きを訴える人がありますが、そのような人では慣れるまでは目薬をさします。その他、顔つきが若返った感じがしますが、眼つきが厳しく見える方もいます。また、ひたいの皺が目立たないぶん、瞼の内側や鼻根の小じわが目立ってくることがあります。

診療科から

形成外科外来にお電話で受診日をご相談下さい。治療が必要かどうか、また、どのような治療法が良いかは実際に診察させていただき、相談して決定致します。

難治性皮膚潰瘍(治りにくいキズ)に対する複合治療法

感染、血管障害、知覚障害などの要因により治り難い潰瘍状態になったキズを「難治性皮膚潰瘍」と呼びます。その原因には、外傷、糖尿病、放射線治療、動脈硬化症や静脈うっ滞といった末梢血管病変、膠原病(リウマチなど)などがあります。また、時として皮膚癌を認める場合がありますので注意が必要です。血行が他の部位と比べて不良であるため下腿や足が難治性皮膚潰瘍の好発部位となります。

検査

キズの状態を評価するだけでなく、キズが治りにくくなった原因を調べる必要があります。糖尿病、膠原病や血流障害などの有無を内科医や血管外科医などと協力して全身の検索を行います。その際に、採血、MRI、CT、皮膚組織灌流圧(SPP)などの検査を行います。

治療

まず潰瘍の原因や治癒を妨げる因子を検査などにより見つけて除去することにあります。それに並行して潰瘍の局所治療(保存的軟膏治療)を行うことも大切です。保存的治療でも治癒しない場合は外科的治療が必要になります。

1. 保存的治療

(1)軟膏治療

キズの状態を見ながら、(1)壊死状態(血行が悪く死んだ組織)の除去(2)感染(化膿)のコントロール(3)肉芽形成(肉が盛り上がる)、(4)上皮化(皮膚が生えてキズが閉じる)の時期により適切な軟膏療法を行います。

(2)細胞増殖因子を用いた潰瘍治療

難治性皮膚潰瘍が治る過程では、細胞の増殖による皮膚の再生が不可欠です。当科では、皮膚の再生(上皮化)を促進する細胞増殖因子である塩基性線維芽細胞増殖因子を含む製剤を用いた治療を積極的に行っています。従来では、長期間を要していた治療も細胞増殖因子を用いることで治療期間の短縮が図れます。

(3)局所陰圧閉鎖療法

難治性皮膚潰瘍が大きい場合や深い場合には、局所陰圧閉鎖療法をおこなうことがあります。局所陰圧閉鎖療法は、フィルムとスポンジで創部を密閉し陰圧環境を保ってキズを管理する方法です。この治療は、キズから出る浸出液に含まれる生理活性物質を陰圧吸引しながら有効活用し、キズを早く小さくする方法です。吸引によりキズに肉の芽が盛り上がって浅くなり面積も小さくなるので、その後は軟膏治療で治るか、手術が必要な場合でも小さな手術で済むことが期待できます。原則として入院治療が必要ですが、キズの状態によっては、通院で局所陰圧療法を行うことも可能です。

2. 外科的治療(手術)

保存的治療で治癒が難しい場合には手術が必要になります。骨や腱組織の露出がない浅い潰瘍に対しては皮膚移植術、深くて大きい潰瘍に対しては皮弁術を行います。当院では、足の切断が選択肢ともなる糖尿病性足潰瘍に対して、遊離皮弁移植術(脂肪や筋肉をつけた血行の良い組織をマイクロサージャリーの技術を駆使して血管を吻合して移植する方法)を行い、歩行機能を守る治療を積極的に行っています。

難治性潰瘍では治った後の管理も大切です。
糖尿病性潰瘍や全身疾患を伴う潰瘍は再発しやすいので、小さなキズができていないか、毎日治った部位をよく観察する必要があります。さらに保湿や刺激からの保護に配慮することは重要です。特に下腿の場合、長時間の立ち仕事を避けることや、弾性ストッキングの装着、足の挙上により血液のうっ滞を避けるなど日常の生活も改善することが必要です。治癒しないキズや潰瘍ができた場合、できるだけ早めの受診をお願いします。

診療科から

キズ・キズアト外来以外でも随時受け付けています。事前に形成外科外来にお電話で受診日をご相談ください。

胸郭変形(漏斗胸・鳩胸)

漏斗胸とは、胸の中央部のみぞおちあたりを中心として凹んでいる変形のことで、日本では約800人に1人に生じると言われており、生まれつきわかる場合と、成長とともに目立ってくる場合とがあります。多くは無症状ですが、胸の凹みの程度によっては、肺活量が少ない、心臓から送り出される血液量が少ない等の機能的な障害が認められることもあります。また、見た目にも気になるようになり、精神的に内向的になってしまうこともあります。見た目の整容的改善の希望がある場合や心肺機能障害がみられる場合には手術の適応となります。逆に胸が突出してしまう変形として鳩胸変形があり、整容的改善希望があれば手術の適応となります。

治療

写真:漏斗胸術前

従来は、胸を大きく切開して凹んだ胸郭を修正するため、手術後に長いキズアトを残す手術方法でした。これに対し、1999年より、アメリカで前胸部に傷を付けない手術が登場しました。陥没している部分の、肋骨も肋軟骨も胸骨も切ることなく、正面からは見えない脇の小さな傷から金属製の装具を入れることにより矯正し、3年後にその金属を抜く手術方法です。

麻酔と手術期間、入院

手術は全身麻酔で行います。手術時間は程度によりますが1時間半ほど、入院期間は約10日間必要です。手術して3か月は原則として運動は禁止です。3ヶ月してからは格闘技などを除けば原則として運動制限はありません。

キズとキズアトに対する保険適用外治療

キズとキズアト専門外来では,ケガや手術(美容外科手術を含む)などによる後遺障害をはじめとして,様々な原因による体表面の変形,欠損,醜状による悩みに対応しています。それらの中で下記に示すものは,健康保険による治療の適用となりませんので自費診療となります。治療費については専門外来でご相談ください。

眼瞼
上眼瞼 重瞼術,たるみ取り,他院修正
下眼瞼 たるみ取り(ハムラ法)
斜鼻矯正,鞍鼻矯正,鷲鼻矯正,異物除去
外傷性耳垂裂,ピアス穴あけ
乳房
豊胸術(脂肪注入),乳房縮小術,乳房異物除去
臍突出症

瘢痕切除,刺青除去,巻爪ワイヤー治療,しみ、脱毛などのレーザー治療

自費手術料金表(PDF形式:133KB)pdf

診療科から

事前に形成外科外来にお電話で受診日をご相談ください。

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