教 育 的 業 務

 

1.インフォームド・コンセント

患者が自分自身の医療内容を知る権利を尊重する近代医療の基本的考えの浸透および輸血に伴ういろいろな副作用が広く社会的に認識され,輸血医療をおこなうに当たっては患者に十分な説明をおこない,同意を得る必要がある。従来,当病院では輸血申し込み用紙の一部に輸血承諾の印を患者からもらっていたが,現在では主治医を中心として十分に輸血の持つ長所ならびに短所を説明し,対等な立場で患者から同意を得る必要がある。ここで問題になるのは主治医の負担を増加させず,いかに十分の情報を提供できるかである。輸血療法検討委員会を中心に同意書の再検討が行われている。この問題に関連して輸血拒否患者への輸血の対応が社会的にも大きく取り上げられている。日本大学が輸血拒否患者への対応として昭和63年度に作成された輸血承諾書および基本ガイドラインを示した。平成5年には東京都立病院・産院協会が作成した輸血拒否息者へのガイドラインが発表になったが,今後,これらを参考にしながらさらに優れた指針を作ることが望まれる。

輸血に関する説明書

輸血同意書

 

2.院内の教育(医師,検査技師,看護婦等)

輸血学の進歩に沿った院内スタッフへの教育は欠かすことが出来ない。輸血療法検討委員会を中心に定期的な会合を持ち,新しい輸血の進歩や院内に生じた問題点を中心に討議し院内教育の基礎としている。しかしながら,委員を中心にした情報提供のみでは当然,病院の実務組織に対しては不十分であり,輸血室スタッフが中心となったきめ細かな教育の必要性がある。この方法として輸血申し込みの時点でチェック機構を働かせ,適正な輸血製剤使用に関し主治医と話し合いを持つよう努力している。研修医には研修開始時点に病院オリエンテーションの一環として輸血に関し説明する が,将来的に第一線を担う研修医を十分に指導するのが最も有効である。また,看護部や検査技師に関しては勉強会を通じ啓蒙に努力している。

赤血球製剤の適正使用基準

血小板製剤の適正使用基準

新鮮凍結血漿の適正使用基準

 

3.社会との対話

輸血室が直接に社会と深い関連を持つ問題として輸血拒否患者への対応がある。宗教的信条から輸血を拒否する集団として工ホバの証人は有名である。最近の医療の基本的考え方として患者本人の意志を尊重することから,輸血においても医療従事者は患者,家族の説得に努力することは当然であるが,患者本人の意志が堅い場合は最終的には患者の基本的人権を尊重する考え方が主流になると考えられる。これらの問題に関し,常日頃,社会の動向を的確に掴みながらコンセンサスが得られるように努力する必要がある。

 

4.輸血療法検討委員会

病院長直属の常置委員会として平成4年4月に設置され活動を続けている。構成は、委員長、副委員長、診療科医師、薬剤部、輸血室、看護部などで構成され、毎月一回開催されている。輸血血液製剤使用状況、血漿分画製剤使用状況、廃棄血状況、輸血問題点、輸血事故報告、最新輸血情報などを議題とし、討議された改善点や決定事項を病院長に上申し各部門への通達を計っている。