EDの症状と治療【日本大学医学部 泌尿器科】

ED

はじめに

性行為を完遂するためには性欲があり、陰茎が勃起し、膣内挿入も射精も可能で オーガズムも十分あることが必要で、これらのいずれが欠けても、不十分でも 「満足な性行為」は不可能であると考えられます。いいかえると、いろいろな 原因で「うまくいかない」事があるということです。

この性機能障害は、しばしばインポテンスと混同して 用いられてきました。インポテンスは、性交時に有効な 勃起が得られないために満足な性交できない状態と定義されます。

インポテンスは impotenia というラテン語に由来し、im=not potentia=power で 不能(症)を意味し、性的不能症という言葉が差別的用語であり、近年では ED( erectile dysfunction )を用いるようになっています。

前置き(雑学)が 長くなりましたが、EDの原因、分類より述べさせていただきます。

ED原因、分類

EDは機能性、器質性混合性(機能性+器質性)に分類されます。

従来、EDの大半が機能性(心因性)と考えられていましたが、鑑別診断法の 進歩にしたがい、むしろ器質性混合性EDが多いことが判明しました。

器質性ED要因のうち糖尿病性血管性(動脈硬化性)が大半を占めます。

さらにEDと冠動脈疾患は、リスクファクター、病因あるいは疾患の進行など がオーバーラップします。主要な心血管系疾患のリスクファクター は、年齢、男性、高血圧症、糖尿病、肥満、喫煙、高脂血症、座りがちな ライフスタイルなどであります。生活習慣病の一つと考えて間違いないと 思われます。

心因性EDには、「初めてがうまくいかない」例や、新婚ED (ハネムーンインポテンス、結婚後の妻とはうまくいかない)なども含まれます。

EDの診断

EDの診断は通常以下のように進められると考えられます。

1、問診、診察(含む外陰部)、血算、生化学、(ホルモン検査)、心電図、血圧

2バイアグラテスト(PDE5選択的阻害薬を投与し反応を見る)

・反応良好  ・反応不良 → 4

3バイアグラ禁忌、または希望せず →NPT(夜間陰茎勃起現象)反応

・反応良好  ・反応不良 → 4

4PGE1テスト(プロスタグランディン陰茎内注射)血流測定(超音波カラードプラ)

・反応良好  ・反応不良 → 血管性(カラードプラ)

どんな病気でも同じでありますが、問診が診療の基本であり極めて大切であります。

主訴や現病歴の聴取と共に、性機能以外の疾患(特に循環器疾患、精神疾患、糖尿病など)、 服用中の薬の内容、既往症などを漏らさず確認する事が重要です。

EDの治療

PDE5選択的阻害薬がED治療の第一に選択されることが通常です。

硝酸剤や一酸化窒素供与剤を 投与中症例など、この薬剤の絶対禁忌例(絶対に使用できない場合、ニトログリセリンなど 硝酸剤が投与されている患者さん)を除外する事は比較的容易であり、泌尿器科医が判断に 迷うのは、心血管系障害を有するなど、性行為が不適当と考えられる症例の見極めであります。

ある程度の運動が出来れば、性行為中の虚血のリスクは少ないと報告されており、 慣れたパートナーとの性行為は、ゴルフやきつい家事と同等の負荷であるなどの知識が 役立つと考えます。

心因性ED症例には、PDE5選択的阻害薬投与に加え、カウンセリング や他の内服(漢方、抗うつ剤)の併用なども試みられます。

PDE5選択的阻害薬無効例に 対しては、陰圧式勃起補助具、陰茎内プロスタグランディン注射、手術(血管手術、プロステーシス) などが、行われる場合があります。

ED以外の性機能障害

早漏に対する薬物療法の効果が実証されつつあります。

うつ病やパニック障害に用いる 選択的セロトニン再取り込み阻害薬投与により、射精までの時間の延長が期待できます。

性機能障害の原因になる疾患として、陰茎持続勃起症が重要です。外傷に引き続き発症する 事が多く痛みが軽度の動脈性流入過剰型持続勃起症と激しい痛みを伴う静脈閉塞性持続勃起症に 大別されます。特に静脈性は緊急の対応が必要です。

男性更年期障害

男性更年期は、女性の更年期におけるエストロゲン(女性ホルモン)による急激な変化とは 異なり、加齢に伴い男性ホルモンが徐々に低下することに起因しており、「更年期」と いう用語は必ずしも適当でないと思もわれます。

学会などでは PADAM( partial androgen deficiency in aging male )という言葉が使われる事も ありますが、PADAMに対する適当な日本語がないため、一般には「男性更年期障害」が 用いられています。男性ホルモンの低下が根本にあり、生活の質の明らかな変化や、 多くの臓器に悪影響をもたらすと考えられます。

男性更年期障害の症状、診断

  1. 精神・心理症状
    抑うつ、いらだち、不安、神経過敏、無気力、精神的疲労感
  2. 身体症状
    体調不良、腰・背部痛、関節痛、筋力低下、発汗・ほてり、睡眠障害、 ひげの伸びが遅い、肉体的疲労感
  3. 性機能症状
    性欲低下、勃起障害、射精障害、オーガズム障害

などに分けられます。

我が国の特徴として、うつ病、うつ症状との合併頻度が高いことが指摘されています。
これらの症状を時にはスコア化し、血中の男性ホルモン濃度などの検査結果と併せ、診断を進めます。

【男性更年期障害に対する治療】

精神・心理症状、身体症状、性機能症状に、それぞれ有効で患者に受け入れられやすい 治療法を選択することになります。泌尿器科では性機能症状を訴える患者さんの治療の機会 が多くなります。性欲低下、勃起障害、射精障害、オーガズム障害などに対し、治療が進められ、 この時必要に応じて男性ホルモン補充療法が併用されます。

現在、日本での男性ホルモン投与は、 注射薬による方法が一般的です。2〜3週間に1回筋肉注射されます。

副作用としての 前立腺癌、多血症、睡眠時無呼吸症候群、肝障害などの危険性を十分認識する必要があります。

【メタボリックシンドロームと男性更年期障害】

メタボリックシンドロームは、内臓肥満あるいはインスリン抵抗性を基盤として、 高血圧、脂質代謝異常(高中性脂肪あるいは低善玉コレステロール血症)、耐糖能異常が 合併した病態であり、心筋梗塞症など動脈硬化性疾患の発症危険度が増加すると考えられています。

最近の検討では、男性ホルモン低下に伴い善玉コレステロール低下、中性脂肪増加、 インスリン抵抗性、内臓脂肪蓄積といったメタボリックシンドロームの構成要素が出現する ことが指摘されています。すなわち、メタボリックシンドロームと男性更年期障害は 関連した病因、病態であると注目されています。


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