精巣腫瘍の症状と治療【日本大学医学部 泌尿器科】

精巣腫瘍

はじめに

精巣にも悪性腫瘍が発生します。精巣は精子を形成する胚細胞から成るために、悪性で あっても医学的には精巣癌と呼ばず、精巣腫瘍といいます。精巣腫瘍の種類には、胚細胞 から発生する胚細胞腫瘍、血液疾患である悪性リンパ腫、特殊な悪性腫瘍である肉腫 などがあります。

発生頻度は10万人に2〜3人で、1〜2歳と20〜40歳にピークが あります。また悪性リンパ腫の場合は中高年男性に生じることもあります。通常は 痛みを伴わないで精巣が腫れてくることで発見されます。

早期診断・早期治療が大事!
年齢的に働き盛りの人が多いこと、陰部であり羞恥心があることなどを理由に かなり進行した状態ではじめて来院されるケースもまれではありません。しかし ながら、早期に発見し、早期に治療すれば予後のよい病気ですから、早め受診 されることをお勧めします。

精巣や陰のうが腫れるその他の病気

良性の病気でも精巣や陰のうが腫れることがあり、精巣腫瘍と鑑別する必要があります。

  • 陰のう水腫・・・精巣を包む膜に水が溜まる病気です。針で水を抜く処置を すれば軽快しますが、繰り返す場合は手術が必要になることもあります。 小児の場合は自然に治癒することもあります。
  • 精巣上体炎・・・尿道から細菌が入り、精管(精子が通る管)を上行して精巣の脇に ある精巣上体に感染する病気です。熱や痛みが出ることが多いですが、症状が乏しい こともあり、精巣腫瘍と鑑別が必要です。
  • 精巣炎・・・おたふく風邪のウィルスが精巣に移行して精巣が腫れる病気です。 成人になってからおたふく風邪に感染すると精巣炎になることがあります。熱が出ることが多いです。
  • 精巣捻転・・・精巣が急に成長する思春期に多い病気で、精巣自体が陰のうの 中で回転し、血管がねじれて血液が精巣に行かなくなることで痛みが生じます。 発症から数時間内にねじれを解除する必要があり、緊急手術になることが多い病気です。 発見が遅れると精巣を摘出せざるを得ないことがあります。
  • 鼠径ヘルニア・・・いわゆる脱腸と呼ばれるもので、精巣の血管が通る鼠径管という筋肉の 膜でできたトンネルから腸の一部が顔を出す病気です。陰のうが腫れるまで腸 が下にさがることがあります。痛みが強い場合は緊急手術になる場合があります。

精巣腫瘍の診断と治療

精巣腫瘍は触診と超音波検査で診断され、手術により精巣を摘出します。進行する スピード早いので、手術が先行されます。摘出された精巣は病理検査によって どのようなタイプの腫瘍か診断します。リンパ節や肺、その他の臓器に転移している 可能性があるのでCT検査で転移の有無を調べます。以下の病期(ステージ)によって 手術後の治療方針が決定されます。

臨床病期分類(日本泌尿器科学会分類)
ステージ1:腫瘍は精巣のみで転移を認めない。
ステージ2:横隔膜より下のリンパ節に転移がある。
ステージ3:リンパ節以外の臓器に転移を認める。

また精巣腫瘍(胚細胞腫瘍)のタイプによっては血液中の腫瘍マーカーが 上昇することがあり、診断や治療効果の判定に用いられます。

精巣腫瘍(胚細胞腫瘍)のタイプ

  1. セミノーマ(精上皮腫)…放射線治療の効果がある腫瘍で、血液中の LDH(乳酸脱水素酵素)が上昇することがある。また一部の腫瘍では HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が上昇する。
  2. 胎児性癌…血液中のAFP(α-fetoprotein)が上昇することがある。
  3. 卵黄嚢腫…血液中のAFP(α-fetoprotein)が上昇することがある。
  4. 奇形腫…特異的なマーカーはない。
  5. 絨毛癌…血液中のHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が上昇する。

※以上の5つの組織型が混ざっている場合と、単一の組織型の場合があります。 一般的にセミノーマのみで構成される単一組織型をセミノーマ(広義)、それ以外の 単一組織型やセミノーマ以外の成分が混ざっているものは、セミノーマの成分が 含まれていてもノンセミノーマと称します。一般的にはノンセミノーマのほうが 予後不良であることが多いです。

治療方針

ステージ1:手術のみ。その後は経過観察(定期的な腫瘍マーカーの採血検査とレントゲン検査) が必要です。またセミノーマの場合は特異的な腫瘍マーカーがないこと、放射線感受性が 高いことにより予防的な放射線治療を勧めることがあります。

ステージ2以上:抗がん剤による化学療法を行います。3週間で1コースの化学療法を 3〜4回行います。化学療法を行った後にリンパ節や他の臓器に腫瘍が残存している 場合は手術で摘出し、治療の効果を確認することがあります。


日本大学医学部 泌尿器科学系泌尿器科学分野

〒173-8610 東京都 板橋区 大谷口上町30-1
TEL 03-3972-8111(代表) FAX 03-3972-0027


日本大学医学部 泌尿器科

東京の泌尿器の専門医

日本大学医学部 泌尿器科学系 泌尿器科学分野

この ホームページは、Web標準準拠で制作 されております。

xhtml

css