腎細胞癌の症状と治療【日本大学医学部 泌尿器科】

腎細胞癌

1、疫学

血液をろ過して尿をつくる腎実質に発生する尿細管由来の悪性腫瘍で、50-60歳台の男性に多い病気です。 1998年の日本での罹患者数は9727人と報告され、2000年では年間2583人が亡くなられています。 年々増加し2020年には約6000人の方が腎細胞癌で亡くなられることが危惧されています。 一般に男性が女性に比べて約2倍、この病気に罹りやすいとされています。

2、症状

以前は血尿と疼痛と腫瘤が3大症状とされていました。 しかし最近では症状が無いのに、人間ドックなどで発見される偶発癌が 過半数を占めるようになりました。しかしなかには腫瘍随伴症候群として発熱、 貧血、高血圧、高カルシウム血症、肝機能障害、エリスロポエチンによる 赤血球増多症を示すものもあります。肺転移、骨転移、脳転移などの 転移部位の症状が先行することもあります

3、病気(T分類)

T分類 T1a 最大径が4cm以下で、腎に限局
T1b 最大径が4cm以上7cm以下で腎に限局
T2  最大径が7cmをこえ腎に限局
T3a 副腎、腎周囲脂肪組織に浸潤するがGerota筋膜をこえない
T3b 腎静脈、または横隔膜下までの下大静脈に進展
T3c 横隔膜をこえる下大静脈に進展
T4 腫瘍はGerota筋膜をこえて浸潤する

腎細胞癌

4、手術治療

抗がん剤や放射線療法では、治療に抵抗するため手術での治療が主体です。

  • 腎部分切除術
    腫瘍のサイズが小さく(T1a)、腎臓の外側に突出している場合は腎部分切除術、 あるいは腫瘍核出術の適応です。マイクロ波を用いて腫瘍周囲を凝固することで、 腎動静脈の血流を遮断することなく出血のコントロールが可能です。言い換えれば、 腎臓・腎機能に優しい手術方法といえるでしょう。また生存率なども腎臓全体を 摘出する腎摘除術と変わらない成績がでています。
  • 腎摘除術
    T1aで腫瘍が腎臓内側に存在する場合、もしくはT1b以上の場合は腎臓全体を摘出いたします。 転移病巣がある場合でも、積極的に原発巣の腎臓を摘出いたします。

5、治療成績

手術の成績

日本大学病院で、腎細胞癌の診断で腎臓を摘出した252例中、偶発癌144例の5年、 10年生存率はそれぞれ93.1%です。また腫瘍径が4cm以下85例の5年、10年生存率はそれぞれ94.8%です。

なお摘出した腎臓について病理組織学的に腫瘍被膜外への進展、腎静脈に癌細胞を認める症例について、 術後補助療法としてインターフェロンを用います。インターフェロンが登場するまでは抗がん剤を 用いていましたが、その5年、10年非再発率は各々51.9% 、51.9%でした。

インターフェロンを 使用することで5年、10年非再発率は81.7% 75.9%と、その成績が向上することがわかります。

手術後の再発転移について

癌が腎臓にとどまっている、いいかえれば手術で癌は取りきれた150例について、 術後再発転移についてみると、150例の5年、10年非再発率は各々81.2%,74.7%。28例に再発が 認められ、肺9例、骨5例、肝臓2例、対側腎6例、その他6例で、再発までの期間は2-193ヶ月でした。

転移病巣への治療

  1. サイトカイン(インターフェロン・インターロイキン-2)、抗がん剤を用いた治療では 3/17例(17.6%)に治療効果を認めています。転移病巣がすべて消失し12年経過したかたもいられます。
  2. 肝転移、腰椎などへの転移は、単に病巣を摘除するという面からだけではなく、 転移症状を軽減するためにも可能であれば、外科・整形外科とも連携し、転移病巣を摘出いたします。
  3. 残った1つの腎臓に再発した場合、状況が許せれば腫瘍を切除いたします。 その際もマイクロ波を用いて腫瘍周囲を凝固することで、腎動静脈の血流を遮断することなく 出血のコントロールが可能です。
    10年経過しても残った腎臓に、再発を認めない方もおられます。

日本大学医学部 泌尿器科学系泌尿器科学分野

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