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放射線科とIVR

放射線科の業務は,大きく分けると,画像診断(超音波検査やMRIなどは放射線を用いないので,放射線診断からこの呼び名が一般的になりました)と放射線治療から成り立っておりますが,画像診断を治療に応用するインターベンショナルラジオロジー(IVR)が,患者さんに低い侵襲性で最大効果をもたらすために登場してきました。IVRの種類は多岐に亘っておりますが,今回,皮膚の上から治療する血管病変,その中でも,静脈性血管奇形という血管病変の治療をご紹介致します。

静脈性血管奇形の硬化療法

表在性に青みがかった皮膚の盛り上がりがあり,触ると軟らかく凹んでしまうがまた膨らんでくる,息んだり低い位置に下げると膨らみ,高い位置に挙げると膨らみが減るような病変です。よく触ると硬いコリコリとした静脈結石というものを指先に感じることもあります。これは,血液の流れが緩やかな血管病変の中にできるもので,血栓(血のかたまり)ができそれが核になって次第次第に結石のようになるとも説明されております。単純X線写真で,中心部が抜けている結石として認められます。血液の流れが速い動静脈奇形ではみられません。

具体例でお示し致しましょう。症例1(図A)は,下口唇右側の近くにやや青みがかった軟らかい皮膚の膨らみがあり,頭を下げて仕事すると膨らみが増しややおおぼったい感じがするという症状で受診されました。

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症例1(図A)

MRIを撮りますと,これはT2強調像というものですが,病変は真っ白(高信号)な腫瘤で,よくみるとさらに小さな房のような構造物が集まっている多房性)ようにみえます。典型的は静脈性血管奇形であり,動脈造影を行なっても映らないことが殆どで,皮膚の上から翼状針という短く細い注射針を病変に刺して造影剤という薬剤を注入して造影することによって,病変の内容(静脈腔の構造と血液の流れの速さも)が分かります。造影剤は長い時間停滞しております。血液がゆっくり戻ってくることを確認した後に,血をかためる液体の物質(塞栓物質)をゆっくり注入して圧迫固定して様子をみるというのがこの治療法です。

多房性の静脈奇形であれば,複数の箇所を穿刺して治療することになります。実際はそのことの方が一派的であります。

症例2(図B)は,とくに,頭を低く下げると,左頬がふくらむという症状で受診されました。左の頸静脈を圧迫すると左頬がゆっくりとふくらんでおります。

この患者さんに対しても,口の中(口腔)から直接長い細い注射針を刺して造影して診断と造影剤の流れを確認した後,血をかためる薬剤を注入して治療を終えました。この患者さんは,一本の頸静脈への血液の流れが確認されたので,手指で圧迫して血流をコントロールしながら,薬剤を注入しました。直接穿刺で造影することで造影剤のクリアランスを観察することができます。

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症例2(図B)

治療数週後,外来受診時,左頸静脈を圧迫しても左頬は膨らんでくることはなく,1回の治療で治癒することができました。

血管病変は,生下時には気付かれることが少なく,血管内皮細胞の増殖により急速に増大して,6-8歳頃に自然に消えてしまう血管腫と,血管内皮細胞は正常で異常血管から構成され,消えることはなく成長とともに増大する血管奇形に分類されます。

血管奇形は,動脈,静脈,毛細血管,リンパ管などから構成されるもので,血流の速いものと遅いものに分けられます。正確な診断が重要で,血管病変と血管腫の鑑別,血流の速さ(血管奇形の病態)など,正確な診断が大切です。

血をかためる薬剤(液体塞栓物質)にもさまざまな種類があります。症例によっては,皮膚科,形成外科,整形外科,小児科,整形外科,麻酔科などの間でのデスカッションも必要となります。

日本IVR学会では,サテライト研究会として血管腫血管奇形研究会が毎年開催されております。また,血管腫血管奇形を持たれる患者さん友の会もございます。

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放射線科部長
阿部 修

診療科から

 

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