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血糖コントロール

糖尿病は,血糖を低下させるホルモンであるインスリンの分泌が少なくなって起きる病気です。大きく1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。1型糖尿病は,突然インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまっておこるものであり,その原因は不明です。一方,2型糖尿病は,運動不足や食べすぎで,β細胞を過剰に使いすぎるために徐々にβ細胞が弱ってしまって起こる病気です。インスリンの分泌が少なくなる結果,血糖値が上がるわけです。

この糖尿病ですが,単に血液中の糖分が多くなり尿に糖が混じるようになるだけの病気ではありません。血液中に糖が多くなる結果,血管が砂糖漬けになって蝕まれていく病気です。しかし,幸いにも,糖尿病の大部分を占める2型糖尿病の進行は非常にゆっくりです。早いうちに発見し,適切な治療・管理を行えば,健常な人と同様の生活を送ることができます。一方,1型糖尿病の場合には,急速に血糖値が上昇する場合があるので,注意が必要です。しかし,この場合も糖尿病専門医としっかりタッグを組んで,治療をしていけば恐れることはありません。糖尿病の医療も日々進歩しています。

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そうはいっても,健康診断等を受けることなく気づかずに発症し,進行してしまったり,治療の途中で投げ出してしまったりすると大変です。糖尿病は全身の血管が侵される病気です。特に,眼の網膜の血管や腎臓の血管がやられやすくなります。血糖コントロールがうまくいかないまま数年から10数年たってしまうと,失明や人工透析になることもあります。また,血糖値が高いことは,病原菌にとっては栄養分が多いという好都合な条件です。糖尿病の患者さんでは,病原菌は増えやすく傷が治りにくく,ひどい場合には足壊阻などになることもあります。

糖尿病の典型的症状は,のどの渇き,頻尿などです。症状は全くないのに,健診などで血糖値が高いため,病院への受診を勧められるという方もいると思われます。どちらの場合にも,当科を受診してください。

糖尿病の治療には(1)食事療法,(2)運動療法,(3)薬物療法の3つの柱があります。

食事療法,運動療法については,栄養士,糖尿病療養指導士とともに,患者さんにわかりやすく指導いたします。毎週水曜日に行っている糖尿病教室に参加することは,大変役に立つと思います。

また,薬物療法には,経口の糖尿病薬(飲み薬)と注射を用いるインスリン療法の2つがあります。まず,飲み薬による治療の話をさせてください。血糖コントロールのための飲み薬には,これまで4種類があり,2009年12月からもう1種類の薬が加わりました。これらの飲み薬は,2型の糖尿病であまり進行していない患者さんが主な対象です。私たちの外来では,個々の患者さんに合わせてきめ細かくこれらを選択し,治療していきます。まず従来からある4種類の飲み薬ですが,これには,インスリン分泌促進薬,αグルコシダーゼ阻害薬,ビグアナイド薬,チアゾリジン薬があります。それぞれ,次のような特徴を有しています。

1)インスリン分泌促進薬 スルホニル尿素薬とグリニド薬

膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進し血糖降下作用を発揮します。β細胞からのインスリン分泌能が比較的保たれているが,食事療法,運動療法によっても十分良好な血糖が得られない場合に使用します。グリニド薬は,スルホニル尿素薬と異なり,短時間作用性インスリン分泌薬であり,服薬後速やかにインスリン分泌が促進され,しかも作用が短いため低血糖がおこりにくい薬剤です。

2)αグルコシダーゼ阻害薬

小腸からの糖分の吸収を遅らせて,食事による血糖値の上昇を抑制する薬剤です。この薬剤自体には血糖値を低下させる作用はなく,単独で用いても低血糖はきたしません。

3)ビグアナイド薬

肝臓は,さまざまな役割を持っていますが,食間や睡眠中に糖分を体中に供給する役目ももっています。糖尿病の患者さんでは,この肝臓の働きがかえって強くなってしまい,血糖値が高くなります。ビグアナイド薬は,この肝臓からのブドウ糖の放出を抑制する薬剤です。

4)チアゾリジン薬

チアゾリジン薬は,筋肉や脂肪組織でのインスリンの効果を高め,ブドウ糖の消費を増加させます。また,脂肪細胞の性質を改善して,体全体をインスリンが効きやすい状態にすることによって,血糖コントロールを良好にします。

以上の4種類の飲み薬は組み合わせることで,血糖降下作用が増強されるので,しばしば数種類の薬を組み合わせで使用いたします。

これらに加えて,インクレチン増強薬という5種類目の飲み薬が登場しました。この薬は,インスリンを出させるとともに,肝臓からのブドウ糖の放出を抑制することもできます。新しい薬なので,体に合わない人もいるかもしれないので,少しずつ使われていくと思われます。

インスリン注射

2型糖尿病で,薬だけでは血糖コントロールが不十分な患者さんや1型糖尿病の患者さんに用いられます。インスリンの分泌が少なくなってしまった患者さんに,インスリンそのものを補う治療法です。

現在では,ペン型インスリン注射器を用い,持ち運びも手軽でやりやすくなりました。とはいっても,“注射するのは痛そうだし,消毒とか面倒そうだ,低血糖という言葉を聞くが,怖いものらしい”と不安に思う患者さんも多いでしょう。私たちは,看護師や糖尿病療養指導士とともに,丁寧にインスリン注射療法を指導いたします。入院治療が難しい患者さんにおいては,外来にてインスリン治療への変更も行っております。

栄養指導予約開始について

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糖尿病・代謝内科部長
石原 寿光

診療科から

月曜から土曜日の11時までに糖尿病代謝内科外来へお越しください。

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