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診療科トピックス 救命救急センター

得意とする診療技術の名称

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血管内治療,脳低温療法,重症外傷治療,脳卒中治療,急性心筋梗塞治療,高度心肺蘇生,高度集中治療,災害医療

得意とする医療技術内容の要約

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当救命救急センターは,重症外傷,脳卒中,急性心筋梗塞,急性腹症,心肺停止など,高度の救急・集中治療を必要とする重症患者さんの治療に対応しています。

当センターは,緊急に搬送された患者さんに対して,いつでも使用できる救命救急センター専用の血管内治療室を有しています。血管内治療とは,細いカテーテルを腕や股の血管(動脈)から挿入して血管を通じて病変部位に到達させ,カテーテルを介して薬液や医療器具を用いて病変の治療を行う高度な専門的手技です。当救命救急センターでは,年間400件以上のカテーテルを用いた血管内治療を行っています。状態の悪い患者さんに対しては,救急医が救命治療を行い,同時進行で各専門医が連携して診療にあたります。

このようなカテーテル治療はわたしどもの得意とする治療分野であり,具体的な血管内治療は下記の通りです。

心臓を栄養している血管(冠動脈)が血栓で狭窄・閉塞すると急性心筋梗塞を起こします。このような場合,緊急で閉塞した冠動脈を再開通させることで心筋が壊死に陥ることを防ぎます。当救命救急センターでは,循環器科専門医が24時間体制で診断・治療にあたり,必要に応じていつでも血管内治療を行うことのできる体制をとっています。

交通事故や墜落・転落などにより,肝臓や脾臓などの腹腔内臓器損傷や,骨盤骨折,顔面外傷など,命に関わる大出血をきたす重症患者さんが搬送されます。以前にはこのような場合,すべて緊急外科手術が行われていましたが,近年は,細いカテーテルを出血している部位まで挿入し,血管の中から出血を止める高度な手技が行われるようになりました。当救命救急センターでも多く行われています。

くも膜下出血などの頭蓋内出血の患者さんでは,全身麻酔による,開頭手術が行われることがあります。しかし,救命救急センターには,脳傷害の場所が悪く開頭手術困難な場合や全身状態が不良で手術ができない患者さんが多く搬送されます。その場合に血管内治療の技術を駆使して出血原因の処置を行い救命率を高めています。

トピックス:心肺蘇生術と低体温療法

近年,心筋梗塞や不整脈が原因で心肺停止になり,心臓の動きは戻っても,その後に意識不明状態が続く患者さんに対する低体温療法の有効性が示されました。1993年当時は,低体温療法は,世界でもほとんど行っている施設がありませんでしたが,当救命救急センターでは,「病院外心停止後で心臓の拍動は戻ったけれども,意識のない患者」に対して数多くの低体温療法を施行してきました。

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しかし,全例がよい結果になるのではなく,心停止に至ってから心臓が動き出すまでの時間が長くかかった患者さんに対する低体温療法による社会復帰率はとても低いのが現状です。これには,心停止から心肺蘇生術(心マッサージ)を開始するまでの時間と,自己心拍が再開(心臓が動き出すまで)するまでの時間が最も強く関係しています。心停止から心臓マッサージをするまでの時間が12分以上かかるとその患者さんを助けることすらできず,さらに心臓が動き出すまでの時間が,25分以内であった心肺停止患者の社会復帰率が58%(低体温療法を施行しなかった症例での社会復帰率は,21%)であったのに対して,自己心拍再開まで25分以上を要した患者には低体温療法を行っても社会復帰した患者さんが存在しなかったとの報告もあります。これらのことから,心肺停止に至った傷病者に対して,倒れたところを目撃した人が,その場ですみやかに心肺蘇生術を行い,その後も引き続いて高度医療が展開しなければ,全体としての社会復帰率の改善には繋がりません。

日本大学医学部附属病院救命救急センターでは,地域との医療連携にも力を入れています。現在は,定期的に心肺蘇生術に関する講習会として医療従事者に対しては,月1回程度,一般市民に対しても地域医師会等と協力して開催しています。

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救命救急センター部長
木下 浩作

診療科から

救命救急センターは,救急車で搬送される重症患者さんを収容する3次救急医療機関です。救命救急センターへの搬送は,医師や救急隊が判断します。患者さんの緊急性が高い場合,最も近い救命救急センターに搬送されるため,患者さんご自身やご家族が救命救急センターを個別に選ぶことはできません。

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