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呼吸器内視鏡

呼吸器内視鏡(気管支鏡:電子スコープまたは気管支ファイバースコープ)は,肺や気管支など呼吸器の病気にかかった患者さんにとって重要な検査方法です。気管支鏡は直径5~6mmの細くて柔らかい管です。口から挿入し,喉,気管を経由して,木の枝のように分かれて胸の奥深くにある肺につながる気管支の内側を,ファイバースコープ先端の電子カメラによって観察します。胃カメラと同じ構造ですが,胃カメラと比べると大変細くできています。気管支は分岐するたびに細くなっていきますが,気管支鏡では通常,直径5mm程度の亜区域気管支と言われる気管支まで内腔を確認できます。その先の肺胞には,鉗子という針金のような器具を用いて,レントゲンで透視しながら到達し,細胞を採取します。

気管支や肺の組織や細胞を採取して正確な診断をつける(気管支鏡検査),気管支が狭くなる病気の治療(気管支鏡下治療)に用いられます。

気管支ファイバースコープ
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気管支鏡で気管支内を観察します。
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気管支鏡で見た気管支内の様子
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(日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡検査 Q&Aより)

気管支鏡検査の実際

組織,細胞などの検体を採取する方法によって以下の検査があります。

  1. 直視下経気管支生検
  2. 肺野末梢病巣生検,擦過細胞診
  3. 気管支洗浄
  4. 経気管支肺生検(TBLB;ティービーエルビー)
  5. 気管支肺胞洗浄(BAL;バル)
  6. 経気管支針吸引生検,細胞診

次のような症状,所見があった時に医師から気管支鏡検査を勧められます。

  1. 痰に血液が混じった場合
  2. 原因不明の咳が続く場合
  3. 胸部レントゲン写真やCT写真で肺に異常な陰影がみられ,肺癌や感染症,炎症などが疑われる場合
  4. 喀痰検査で癌細胞を疑う所見がみられる場合
  5. その他,肺,気管支に異常が疑われる場合。
  6. 誤って気管支に異物(食物や歯など)を飲み込んだ時には,緊急に気管支鏡を施行しそれらを除去します。
  7. 病気のために狭くなった気管支を広げるために,気管支鏡を用いてステントという器具を気管支内に留置します。

検査前には,霧状の麻酔薬を吸入していただき,喉にスプレーをして不快感を取り除くようにします(局所麻酔)。唾液を抑える薬,作用の短い鎮静剤を注射する場合もあります。

当科では年間約400例の気管支鏡検査を施行しています。腫瘍や癌の診断の他に,肺にひろく病変が及ぶ肺炎(間質性肺炎や感染症)の診断,治療方針の決定のためにも行います。

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スコープ肺検査のようす

気管支を洗浄(気管支・肺を生理食塩水で洗う)したり,組織を採ったりしますが痛みはありません。検査中は血圧を測りながら,また呼吸状態を観察しながら内視鏡スタッフが常に傍についておりますので安心して検査を受けてください。咳,出血,気胸などの合併症は,患者さんの状態や病気によって起こりやすい場合があります。医師より事前の検査説明を十分に受けてください。通常は日帰りで可能な検査ですが,疾患によってはあらかじめ,気管支鏡検査のために1日間入院をしていただきます。

最近のトピックス

超音波気管支鏡は,気管支鏡先端の超音波プローブを介して気管・気管支壁内外の病変を観察するものです。超音波気管支鏡は1)肺門部肺癌の進展・浸潤範囲の同定,2) 食道癌,甲状腺癌などの気管の外から気管への浸潤の診断3) 肺門・縦隔リンパ節腫脹,転移の診断4) 縦隔腫瘍の診断5) 末梢肺野病変の組織診断などに有用性が確立されています。当科では超音波気管支鏡を用いて中枢のリンパ節や肺の奥(末梢)の細胞を採取する超音波気管支鏡を施行しており,極めて安全でかつ正確な診断が可能となっています。

COPDと呼吸機能検査

COPD (Chronic obstructive pulmonary disease, 慢性閉塞性肺疾患) とは,『タバコ煙を主とする有害物質を長期吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患』とされています。

炎症が肺の細気管支,肺胞,肺血管に生じて,慢性進行性の気流制限 (閉塞性換気障害) を認めることを特徴としています。症状は,徐々に進行する体動時の息切れや,咳・痰であり,日本人の有病率は8.6%,40歳以上で530万人,70歳以上では210万人の患者さんが存在するといわれる疾病です。

診断には呼吸機能検査が必要ですが,COPDの診断には『まず疑うこと』が最も大切と考えています。咳・痰や体動時の息切れは,年齢や風邪のせいと見過ごされることが多いからです。病気は進行してからではなく,早期発見が肝要であると我々呼吸器科は考えています。

症状に気づかれ受診される患者さんには適切な診断と治療を行い,原因となる喫煙には,必要に応じて禁煙外来での治療も行います。また,プライマリ・ケア医の先生方とは,紹介・逆紹介を目的とした『循環型連携』の構築を念頭におき,当診療科部長を中心に診療を進めてまいりたいと考えております。

日常診療では,COPDの診断・管理における指針として,IPAG (International Primary Care Airways Group) ハンドブックにある質問票も有用です。日本語版は,日本呼吸器学会HP(PDF形式)より無料ダウンロードできます。また,COPDの診断手順を図でここでは簡単にお示し致します。

COPD診断の手順

最後に,当院の呼吸機能検査室の紹介をしたいと思います。呼吸機能検査室では,検査に精通した臨床検査技師と呼吸器専門医師とが連携して,精度の高い検査と,検査結果の判読や異常所見の指摘を一貫体制のもとで実施しております。

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呼吸機能検査室

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気道過敏性検査装置

検査内容は,一般肺機能検査,気道過敏性検査,気道可逆性検査,運動負荷心肺機能検査,呼気ガス分析,基礎代謝率測定,終夜睡眠ポリグラフ(睡眠時無呼吸の検査)など,年間約17,000件にも及びます。

呼吸器疾患(気管支喘息・COPD・間質性肺炎・睡眠時無呼吸症候群など)の診断や治療など,専門医師を含めた判断が必要であれば,ぜひプライマリ・ケア医の先生方からのご紹介をいただき,医療連携に基づいた情報提供に努めたいと考えています。

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呼吸器内科部長 橋本 修

診療科から

呼吸器疾患の症状は,咳,痰,呼吸困難,胸痛,などありふれた症状ですが,診断に苦慮することもあります。

当科は,全国の医療機関の中で第一位の呼吸器専門医数を揃え,気管支喘息,COPD,肺感染症(肺炎,肺結核),間質性肺炎・肺線維症,肺癌,睡眠時無呼吸症候群,など呼吸器疾患全般にわたって診療できる体制を整えております。

初診を除いて予約制を取っており,出来る限り待ち時間を少なくするように務めております。

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