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診療科トピックス 血管外科


当科は主に,四肢末梢血管・腹部大動脈疾患,静脈血栓症,下肢静脈瘤の診断,治療を行っています。この分野は古くから,外科医が診断から治療を行い,治療は手術だけでなく,カテーテルを用いた血管内治療も行っています。

腹部,胸部大動脈瘤は症状がなく,気がつかないうちに大きくなっていきます。破裂した際初めて,激烈な腰痛,腹痛とともに,急な貧血のため,意識が遠くなります。緊急手術が唯一救命の方法です。破裂するまで症状がないため,ほとんどの患者さんは健診か,他疾患で検査中偶然発見され,紹介状を持って来院されます。瘤径が5cm前後で破裂する頻度が高くなるため,手術,ステントグラフト内挿術を行うべきです。併存症,年齢を考慮し,治療法,麻酔法が決まります。担当医に相談してください。

腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術

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当院は腹部・胸部ステントグラフト実施認定施設で,2005年から開始しています。解剖学的に適応があり,重い併存症をお持ちの患者さんに行います。 解剖学的に適応があるかどうかは,当院の3次元CTで診断します。

ステントグラフト内挿術は両側太ももの付け根の大腿動脈から,カテーテルに内挿された人工血管を病変の先に送り込み,大動脈瘤に流れこむ血流を遮断し,破裂を防ぐ手術です。3cm程の切開で済みます。ご高齢,手術困難な患者さんには体に優しい治療法です。ステントグラフト内挿術には特別な技術が必要なため,資格が必要となります。当院には指導医1名,実施資格を有する医師5名が常時治療にあたっています。

胸部ステントグラフト内挿術

胸部下行大動脈瘤のみが適応となります。腹部と同じく,3次元CTで適応の診断をします。上行大動脈,弓部大動脈瘤は心臓外科が担当になります。 血行障害は当初,足の指の冷感から始まります。やがて,歩くとふくらはぎが痛み,休むと再び歩くことができる。また,ふくらはぎが痛む,を繰り返す症状すなわち,間歇性跛行がでます。ほとんどの方はただの筋肉痛と考え,来院が遅れます。

下肢動脈血行障害は動脈の拍動を触診することにより,血行障害の診断は可能です。血行障害の疑いと診断された場合は上肢/下肢の血圧を器械で測定し,虚血肢の重症度を診断します。次にMRI,3D—CT,血管造影を行い,責任病変を診断・評価した後,適切な治療法(バイパス手術,血管内治療,薬物治療)を選択します。間歇性跛行期では,運動療法,薬物療法で症状の進行を食い止めることができますが,治癒はバイパス術か血管内治療が必要となります。担当医に相談してください。安静時に痛み(正座を長時間行った時の痛み)がある場合,足の指の色が青白く変色し,冷感がある場合は緊急な外科的処置が必要です。早急に受診してください。診断,評価,治療(バイパス,血管内治療,薬物療法)を一貫して血管外科で行い,再び歩行が可能になるように治療します。お尻から大腿部の疼痛は整形外科疾患の可能性が高いため,整形外科受診をお勧めします。

深部静脈血栓症は下肢の静脈にさまざまな理由から血栓ができ,静脈血還流が悪くなるため,足ソーセージのように赤身をおびて腫れてきます。放置することにより,肺動脈に血栓が飛び肺動脈塞栓血栓症で命を落とす事もあります。早急に治療を必要とします。当院では血液検査と超音波検査で1時間以内に診断を行い。発症からの時間,血栓の進展部位を評価の上,カテーテルを用いた血栓溶解治療か薬物療法かを行います。元来欧米人に多いとされていましたが,2000年以降本邦でも発症例が多くなり,社会的な問題となっています。特に罹りやすい方は妊婦さん,手術後の患者さん,長時間同じ姿勢をとった方(飛行機等)は注意が必要です。部分的に足が痛い(膝,足関節等)むくんだ足を押すとへっこむ場合は血栓症でない可能性があります。

血管内治療について

1996年から骨盤内血管病変に対して,バルーン(風船),ステントを用いた血管内治療を開始しました。血管内治療は細い管を主に太ももの大腿動脈から病変へすすめ,病変部を風船(バルーン)で拡張したり,再狭窄を防ぐため金属製の内張(ステント)を張ります。手術と同等の効果が得られ,入院期間が短縮できます。患者さんへは侵襲が少ない治療方法です。しかし,すべての患者さんに適応できる訳ではありません。MRI,3D—CT,血管造影等の検査で病変の長さ,硬さを評価して,適応を決めます。患者さん個々に合ったできるだけ体に優しい治療を目指しています。しかし,適応外のカテーテル治療は必ずしも,体に優しい,低侵襲治療とは限りません。

緊急手術

破裂性腹部動脈瘤,急性動脈閉塞症は生命・肢切断の危険があるため,24時間体制で,手術を行います。

閉塞性動脈硬化症,バージャー病に対する自家骨髄細胞移植療法(高度先進医療)

下肢血管が閉塞・狭窄し,薬物療法,外科治療が困難で,効果がなく,肢が壊死に陥りかけた患者さんに対して,自分の骨髄から採取した細胞を下肢筋肉に注射し,新しい血管を再生させる治療を開始しました。現在保険診療は適応されていません。また,副作用を避けるために,すべての患者さんに適応できません。

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血管外科部長 前田 英明

診療科から

かかりつけ医から当院へ診療情報提供書をもらい,血管外科外来(月—土曜日,9:00-11:00受付)受診し,担当医に相談ください。かかりつけ医がいない場合は直接ご来院ください。

外来診療担当

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