輸 血 検 査

 

 1.ABO血液型

 2.ABO変異型の検査

 3.Rh0(D)血液型

 4.不規則抗体検査

 5.直接抗グロブリン試験

 6.抗体解離試験

 

交差適合試験

緊急検査

 
1.ABO血液型
  1)オモテ試験
 抗A血液型判定用抗体および抗B血液型判定用抗体と被検赤血球との反応を見る。
  2)ウラ試験
   A1血球およびB血球と被検血清との反応を見る。
 

       ABO血液型判定






 
  血液型
 
オモテ試験:血球側         ウラ試験:血清側
  抗A   抗B  A1血球  B血球
   A
   B
   O
  AB
   +    −
   −    +
   −    −
   +    +
   −    +
   +    −
   +    +
   −    −





 
  3)オモテ試験とウラ試験不一致の原因と血液型判定を誤る原因
   @技術的な誤り
    a.検体の取り違え
    b.検体や試薬の細菌汚染や劣化
    c.試験管の汚れ           
    d.試薬と血球濃度が不適当
    e.反応の温度と時間  
    f.遠心の強さ     
    g.溶血反応の見落とし 
    h.フィブリンの析出  
   A血球側の原因
    a.赤血球の抗原が極度に弱いか,欠如している
    b.自己抗体によって血球が感作されている
    c.後天性の抗原低下や抗原獲得
    d.汎血球凝集反応
    e.異型輸血後
   B血清側の原因
    a.血清中にA型,B型物質が異常に増加している
    b.血清中の抗A,抗B抗体が低下または欠如している
    c.血清中に不規則抗体が存在する
    d.寒冷凝集反応,連戦形成など
    e.母親由来の抗A,抗B抗体が存在する
    f.高分子の血漿増量剤,薬剤の使用
 
2.ABO変異型の検査

  1)血球側の検査

@抗A,抗Bとの反応の再検査
ヒト由来,動物由来およびモノクロ−ナル抗体の抗血清を用い,凝集の強さ,凝集時間の延長,フリ−赤血球の有無などを確認する。
A抗A1(Dolichosレクチン)との反応
型より弱い凝集を示すA型変異型は抗A1レクチンに反応しない。
B抗H(Ulexレクチン)との反応
Bombay型,para-Bombay型は抗Hに反応しない。
C抗AB(O型血清)との反応
型,B型はO型血清に比較的よく反応する。
DAB型血清(不規則抗体を保有しないこと)との反応
E抗A,抗B,抗Hに対する被凝集価
抗A,抗Bに通常より弱い反応を示す変異型では,被凝集価を測定する。
F抗A,抗Bの吸収試験
G抗A,抗B,抗Hの吸着解離試験
H直接抗グロブリン試験
I混合した血球を分離して型判定を行う
  2)血清側の反応
   @抗A,抗B正常抗体は認められるか
   A不規則抗体はないか
   B自己抗体はないか
   C免疫グロブリンは正常か
   D血清中にA型,B型物質は認められるか
   EA型,B型糖転移酵素は認められるか
  3)唾液の検査(血液型物質)
唾液中の型物質は非分泌型(約20%)では検出されないので,全てに有効な検査ではない。
  4)家系調査
3.Rh0(D)血液型
   抗D血液型判定用抗体と被検血球との反応を見る。
          Rh(D)血液型判定



 
  抗D Rh-Hrコントロ−ル     判定
   +
   −
   +
     −
     −
     +
 D陽性
 WeakD
またはD陰性
 判定保留



 
 
  1)D variantsの検査
   @ヒト由来,ポリクロ−ル,モノクロ−ル抗体との反応を見る
   A抗Dに対する非凝集価
   B抗Dの吸着解離試験
   CRh系の表現型検査
   D直接抗グロブリン試験
   E家系調査
 
4.不規則抗体検査
抗A,抗B抗体以外の赤血球抗原に対する抗体をいう。不規則抗体検査は輸血前検査には欠くことの出来ない検査であり,幾つかの方法を組み合わせて実施することで広範囲の抗原に対する抗体を検出できる。
  1)抗体スクリ−ニングの方法
    @主として完全抗体(IgM)を検出する方法
     生理食塩水法
    A主として不完全抗体(IgG)を検出する方法
血清法,ブロメリン法,フィシン法,アルブミン法,ポリブレン法,低イオン強度溶液(LISS)法,ポリエチレングリコ−ル(PEGクームス)法,間接抗グロブリン法
  2)検体準備と留意点
   @血液型と交差適合試験に用いる検体は同一であってはならない
   A採血後72時間以内の検体を用い,血清は不活性化してはならない
    また溶血した検体は使用しない
   B検体(患者血液,供血者血液)は血清と血球に分離してしばらく保存しておく 
   C検査法の長所,短所をよく把握する
   D凝集の強さは抗体の種類によって差があるため,判定時は試験管を強く振らない
   E日本人特有の抗原が含まれるパネル血球を入れる(Diego等)
  3)抗体の同定
 検査はスクリ−ニングと同様であるが,通常数種類のパネル血球を用いて行う。同定を効果的かつ正確にするため,次のような基礎的知識を必要とする。
   @患者の情報
 病名,輸血歴(副作用の有無),妊娠歴(回数,流産,新生児溶血性疾患の有無),投薬(血圧降下剤,抗生物質,免疫グロブリン製剤等)に関する情報は,結果の解釈を行う上で有意義な情報となる。
   A抗体の血清学的性質
    a.至適反応温度
    b.各メディウム,検査法における反応態度
    c.凝集力,凝集塊のくずれ方
    d.補体結合性,補体存在下での溶血能
 
   B抗原の分布と個体差
    a.血液型抗原の頻度
    b.水溶性血液型物質の分布と量
    c.量的効果
    d.保存により抗原性の低下する抗原
 
             不規則抗体陽性患者への輸血
  選択する抗原群
 
 Rh,Kell,Duffy,Ss,Diego,Pk,p,I(allo),Jr
  選択しない抗原群

 
 Le*,P,N,Xg,Bg,St,JMH,JMH-like
 *試験管内で溶血を示す場合は陰性血を選択する
  反応性によって選択を考慮する抗原群
 
 Le,M
  間接抗グロブリン試験が陽性,または試験管内で溶血を示す場合は陰性血を選択する

 

5.直接抗グロブリン試験
 生体内ですでにIgG抗体(あるいは補体)が赤血球に結合しているかどうかを証明する目的で行われる。
 
 1)直接抗グロブリン試験陽性の意義
   @自己免疫性溶血性貧血
   A新生児溶血性疾患
   B発作性寒冷血色素尿症
   C寒冷凝集素症
   D全身性エリテマト−デス
   E悪性リンパ種,癌などに続発した溶血性貧血
   F血液型不適合輸血
   G薬剤起因性免疫性溶血性貧血
a.薬物吸着(ペニシリン,セフェム系)
b.膜の修飾(セファロスポリン)
c.免疫複合体(フェナセチン,キニジン,スティボフェン,ヒドラジット)
d.赤血球自己抗体(α-メチルド−パ,メフェナム酸)
   H稀に健常人
 
6.抗体解離試験
  1)IgM抗体の解離に適するもの
   熱解離法
  2)IgG抗体の解離に適するもの
   エ−テル解離法
   DT(ジクロロメタン,ジクロロプロパン)解離法
  3)赤血球の使用に適するもの
   クロロキン解離法(IgG抗体),ZZAP処理法(IgM,IgG抗体)