自己血輸血

 
1.自己血輸血の意義
 同種血輸血は感染症,同種免疫,免疫抑制作用およびGVHDなどのリスクを伴うことがあるため,これらを防ぐ目的で自己血輸血が行われるようになってきた。しかし,自己血輸血には以下のような利点を有する一方,血液の確保量の限界,患者の循環動態への影響などの不利な点もある。
 
2.利点と適応
  1)利点
@輸血感染症の予防(HBV,HCV,HIV,HTLV−T,CMV,梅毒など)
A血液成分による同種免疫がない
B同種血による免疫抑制反応を防ぎ,GVHDの予防
C手術や輸血に対して安心が得られる
D不規則抗体など適合血が得られないとき,直ちに使用が可能
E資源の節約
  2)適応
@術前状態が良好で,緊急手術を要しない症例
A輸血を行うことが確実である手術患者(輸血する可能性が30%以下の術式では,T&Sを勧める)
B手術予定日が決まっており,貯血する期間があるとき
C術中出血量が600〜1200mlの症例
D稀な血液型やすでに免疫抗体を有する症例
E輸血副作用の既往歴がある症例
F宗教的信条から同種血輸血を拒否する症例
 
3.種類と特徴
  1)術前貯血式自己血輸血
    貯血式自己血輸血には凍結保存法と液状保存法の2種類がある。

@凍結保存法・・・赤血球,血小板および血漿をそれぞれ分けて凍結保存する方法で,貯血期間が長いため貯血量を多くできる。

A液状保存法・・・保存血あるいは濃厚赤血球として2〜6℃で保存するため,貯血期間が短い。また液状保存では貯血量が少ないため,多くの血液を集めるにはカエル跳び法,またはスイッチバック法を行う。

  2)回収式自己血輸血
 手術中に出血した血液を回収して,洗浄赤血球として患者に輸血する方法である。
 
4.術前貯血式自己血採血
  採血基準
@年齢:特に制限はない。10歳以下の小児,70歳以上の高齢者はご相談下さい。
A体重:50Kg以下の場合はご相談下さい。
B血液検査所見:採血前の血色素量は10g/dl以上。
C血圧:最高血圧は100〜170mmHgを一応の基準とする。
D全身所見:疾患の状況に伴う判断のほか,採血により循環動態等に影響を与えぬよう注意する。循環器疾患の患者では,NYHA−W度以上,不安定狭心症を伴う場合は原則として除外する。
EABOおよびRh0(D)血液型,感染症マ−カ−等必要な諸検査を行う。
5.申し込み方法
   手術予定日と希望貯血量を輸血室へご連絡下さい。