交差適合試験

 
1.原理と目的
 交差適合試験は輸血前検査として,溶血性輸血副作用防止の最後の砦となる重要な検査である。交差適合試験には主試験と副試験とがあり,主試験は患者血清と供血者血球の反応,副試験は患者血球と供血者血漿との溶血や凝集反応を試験管内でみる。
 
2.方法
 不適合輸血を防ぐために,ABO血液型の不適合を検出でき,かつ37℃で反応する抗体を検出できる適正な方法で交差適合試験を行う。
一般的に行われている交差適合試験の方法には次のようなものがある。
1)主として完全抗体(IgM)を検出する方法
 生理食塩水法
2)主として不完全抗体(IgG)を検出する方法
 血清法,ブロメリン法,フィシン法,アルブミン法,ポリブレン法,
 低イオン強度溶液(LISS)法,ポリエチレングリコ−ル(PEGクームス)法,
 間接抗グロブリン法
 
3.検体準備と留意点
1)血液型と交差適合試験に用いる検体は同一であってはならない。
2)採血後72時間以内の検体を用い,血清は不活性化してはならない。
 また溶血した検体は使用しない。
3)被検血球3〜5%生食浮遊血球とする。
4)検体(患者血液,供血者血液)は血清と血球に分離してしばらく保存しておく。
 
4.交差適合試験の結果と解釈                    

主試験
 

副試験
 

自己対照
 

判定
 

     解     釈
 

  −

  −

  −

適合

輸血可


  +
 
 


  −

 


  −

 


不適合

 

輸血不可
・ABO不適合
・受血者血清中に不規則抗体が存在する
・供血者の直接抗グロブリン試験が陽性


  −

 


  +

 


  −

 


不適合

 

やむなく輸血する場合,監視しながら行う
・ABO不適合
・供血者血漿中に不規則抗体が存在する
・受血者に汎凝集反応がある

  +
 

  +
 

  −
 

不適合
 

輸血不可
・ABO不適合

  −

 

  +

 

  +

 

判定保留

 

精査する
・受血者の直接抗グロブリン試験が陽性
 


  +


 


  −


 


  +


 


判定保留


 

精査する
・寒冷凝集,連銭形成,汎凝集反応,
ブロメリン非特異反応などが疑われる

 



























 



























 

 

5.交差適合試験の限界
1)Rh(D)型誤判定および不適合は検出できない。
2)ABOとRh(D)型以外の血液型抗原による免疫は予防できない。
3)遅延型溶血性副作用を防止できないことがある。
4)白血球,血小板,血漿蛋白などに対する抗体は検出できない。
5)検出法が適切でなければ抗体は検出されず,またすべての赤血球抗体が検出されるとは限らない。
6)赤血球の平均寿命は保証(測定)できない。
7)供血者間の適合性は検査できない。
8)検査の術式,操作の誤りは発見できない。