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対象疾患

【肝臓疾患】肝細胞がん、肝内胆管がん、転移性肝がん
肝臓にできるがんは大きく2つに分けられます。肝臓の細胞ががん化した「原発性肝がん」と肝臓以外の臓器のがんが肝臓に転移した「転移性肝がん」です。両者とも、治療は外科切除が基本です。肝細胞がん治療の特徴は背景肝の障害の有無・程度によって選択する治療法が変わることです。手術不能な症例でも経肝動脈化学塞栓療法(TACE)などの治療を組み合わせることにより、積極的に治療を行っています。肝内胆管がんは胆管にそって進展することがあるため、胆管の切除・再建が必要になることがあります。転移性肝がんは大腸癌からの肝臓への転移が多く、切除が根治を望める治療法であるため、積極的に切除しています。
高度進行肝がんの切除
肝細胞がんは肝臓の主要な血管である門脈に浸潤しやすい性質があります。この場合、他の治療法が効きにくく、また肝不全など致命的な状態に進展しやすいため、当科では積極的に手術を行っています。門脈の本幹に進展した肝細胞がんに対しては、肝切除と腫瘍栓の摘出を同時に行います。

巨大肝細胞がんに対する拡大右葉切除(手術前)

門脈腫瘍栓の摘出

拡大右葉切除の手術後

肝動脈化学塞栓療法(TACE)、肝動注療法
多発肝細胞がんや肝機能が悪い方には手術ができないことがあります。このような患者さんに対しては肝動脈塞栓療法(TACE)を積極的に行っています。肝がんを栄養する動脈を選択的にスポンジで閉塞させ(塞栓)、肝細胞がんを壊死させることができ、手術が受けられない肝機能の悪い方に対しても大きな効果を上げ、手術と匹敵する患者さんも多くいらっしゃいます。1回の治療のために3~5日程度の入院が必要ですが、腫瘍が大きかったり、多数ある場合には複数回の治療を行います。当科では年間約400件の治療数があり、血管内治療のスペシャリストが治療を行っており、年間350例のTACEを施行し、日本一の治療数を挙げています(病院の実力、読売新聞)。
【膵臓疾患】膵臓がん、膵嚢胞性腫瘍(IPMN、MCN)、膵内分泌腫瘍
膵臓にできる悪性腫瘍の多くは通常の膵がん(浸潤性膵管がん)です。その他にも膵嚢胞性腫瘍や膵内分泌腫瘍などさまざまな腫瘍があります。
通常型膵癌は黄疸で発症する症例が多く、消化器内科と連携して診断や黄疸の軽減処置をした後に手術を行っています。膵嚢胞性腫瘍は検診の超音波検査などで偶然発見されることが多く、良性の段階のものと悪性の段階のもの混在しています。ガイドラインの治療法選択や組織検査結果により治療方針を決定していますが、良性の段階の膵嚢胞性腫瘍に対しては手術を行わず慎重に経過観察しています。初診時に肝臓や腹膜に転移のある転移性膵がんも増加傾向で、最も有効な化学療法も当科で担当しており、迅速な導入により効果を上げています。
【胆道疾患】胆管がん(肝門部領域、遠位)、胆嚢がん
胆管は肝臓から十二指腸までつながる、胆汁の通り道です。胆管は肝臓でつくられた胆汁を十二指腸まで排出する通路であり、胆管の途中には胆嚢があります。胆管と胆嚢をまとめて胆道と呼び、胆管は肝臓内の胆管から十二指腸にいたる過程で膵臓を貫通しています。この胆道にできたがんを胆道がんと呼び、胆管がんと胆嚢がんに分けられます。
肝臓の近くにできた胆管がん(肝門部胆管がん)には胆管と肝臓の切除が必要となります。膵臓や十二指腸の近くの胆管がん(遠位胆管がん)には胆管と膵臓、十二指腸、胃の一部の切除(=膵頭十二指腸切除)が必要になります。胆管がんの広がりの診断に関しては消化器内科と連携して行い、術前診断に基づいて最適な手術を行っています。
【胃疾患】胃がん、胃GIST
胃がんはヘリコバクターピロリ菌の除菌療法や胃がん検診の普及により、その発生率は減少傾向です。当科では検診で発見される方以外にも、腹痛や食物の通過障害などで近隣の医療機関から紹介される方がいます。内視鏡やCT検査で正確に進行度を診断し、治療方針を決定しています。胃がん対する切除術は適切なリンパ節郭清と合併症の少ない安全な手術を実施しています。
一方、肝臓や腹膜に転移のある転移性胃がんの患者さんに対しては積極的に化学療法を行っています。転移性胃がんに対する抗がん剤治療は当科では豊富な実績があります。また、消化器外科医が化学療法を行うため、腫瘍が縮小した際の切除術や通過障害に対する緩和的な手術(バイパス術など)に遅滞なく移行でき、同じ担当医による診療が継続して受けられるのが強みです。

胃癌肝転移に対する化学療法(治療前)

(治療後)

【食道疾患】食道がん
食道がんは大きく扁平上皮がんと腺がんに分けられ、高齢者男性を中心に増加傾向のがんです。食道の扁平上皮がんは喫煙や飲酒が発生のリスク因子として知られ、リンパ節転移や近くの臓器に浸潤しやすく、難治がんのひとつです。食道がんに対する標準的な治療法は術前化学療法+手術ですが、手術は胸部から腹部に及ぶため高齢で臓器機能の低下した患者さんに対しては手術を行うことが難しい場合があります。そのような患者さんに対しては化学放射線療法(放射線照射と抗がん剤治療の併用)を行っており、良好な結果が得られています。
【一般外科疾患】胆石症、胆嚢ポリープ、ヘルニア、痔核、痔瘻、急性虫垂炎、消化管穿孔
これらの良性疾患に対する手術も行っています。大学病院である強みを生かして、血液透析や抗凝固療法中の方などリスクの高い症例に対しても、他科と連携して手術に臨むことができます。また、胆石症、ヘルニア、急性虫垂炎に対しては腹腔鏡下手術を標準としており、創の大きさを最小に治療しています。

腹腔鏡下虫垂切除

【大腸疾患】大腸(結腸、直腸)がん
短い入院期間での手術治療は、医療費負担の軽減や早期の社会復帰、高齢者においても術前の生活を早く取り戻すことを可能にしますが、手術後の合併症が少なく経過良好でなければ成し得ません。当科では体への負担が少なく、早期回復を期待できる腹腔鏡手術を高い安全性のもとで、より積極的に行うため、結腸悪性腫瘍手術の『在院日数が短い病院ランキング』で2016年から2年連続全国1位となった実績がある関連病院(春日部市立医療センター※)から招聘した専門医が手術を担当します。そして、術後回復促進プログラムを含めた代謝栄養管理のもとで術後合併症ゼロを目指します。更に、大腸癌手術後の初発再発部位で最も多いとされる肝転移をきたした際も、肝切除数日本一の専門医スタッフが対応します。
結腸の悪性腫瘍 在院日数が短い病院ランキングトップ10
結腸切除数 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍切除等
2016年 2017年
病院名 患者数 日数 病院名 患者数 日数
春日部市立医療センター※ 40 10.6 春日部市立医療センター※ 38 9.9
松波総合病院 39 11 所沢明生病院 28 10.6
静岡県立静岡がんセンター 258 11.1 横浜市立大学付属市民総合医療センター 152 10.9
横浜市立大学付属市民総合医療センター 139 11.3 静岡県立静岡がんセンター 232 11.2
洛和会丸太町病院 28 11.6 済生会新潟第二病院 56 11.4
医療法人社団シマダ 嶋田病院 11 11.6 埼玉医科大学国際医療センター 247 11.9
東京都立駒込病院 205 12.4 市立旭川病院 42 12.0
手稲渓仁会病院 128 12.5 福島県立医科大学会津医療センター 73 12.0
熊本赤十字病院 116 12.5 春日井市民病院 81 12.2
新潟県地域医療推進機構魚沼基幹病院 28 12.5 済生会熊本病院 107 12.3
(全国平均在院日数 21.0) (全国平均在院日数 20.6)
【出典】「病院情報局」https://hospia.jp/dpc DPC全国統計より抜粋改定

腹腔鏡手術の様子

小さな腹部手術創 (手術2週間後)