日本大学医学部

生理学分野

血液凝固第九因子は止血に必須のタンパクであることが知られています。我々は、このタンパクが凝固止血以外に、細胞に対する種々の作用を持つことを明らかにしてきました。第九因子のEGFドメインは、凝固反応の過程で活性化され、アポトーシスを誘導する作用があります。このペプチドをコードするDNAを用いて担癌モデルマウスの遺伝子治療を行ったところ、腫瘍増殖は抑制され、生命予後も改善しました。一方、凝固反応時に切除されるペプチドには、内皮細胞の透過性を抑制する作用があることがわかりました。敗血症、脳梗塞、脳外傷等の動物モデルでは当該ペプチドの投与により組織の浮腫が減少し、予後が改善したり、梗塞巣が縮小したりしました。これらのペプチドは元来人体に存在するため、化学物質のような副作用は現れません。今後はこれらのペプチドを治療剤として実用化するべく、研究を続けています。