日本大学医学部 形成外科学系 形成外科学分野

対象疾患

爪の変形

巻き爪、陥入爪とは主に母趾(足のおやゆび)の爪の端が皮膚にくい込んだ状態です。最初は無症状でもだんだん爪がくい込んでくることにより痛みが生じ、その部位が“じゅくじゅく”(潰瘍化)してきます。細菌感染を併発すると肉のかたまり(肉芽組織)が生じて、靴を履いたり、歩くことが困難な状態になります。

当科ではそのような患者さんに対して、状態に応じて手術や矯正用ワイヤーを用いた治療をしております。

手術による治療

陥入爪に対しては局所麻酔下にくい込んだ爪を根元まで切除し、爪の根である爪母を薬品(フェノール)で処理します。くい込んでいた部位の爪は生えてくることはありませんが、爪の幅が多少狭くなります。日帰り手術で所要時間は約20分程度です。手術の際、局所麻酔が痛いこと、手術後に多少痛みが生じる場合があることが欠点ですが、再発はほとんど無く、翌日からシャワーが可能です。

巻き爪に対しては、変形した爪を抜爪し、爪床を平坦化する形成手術を行います。爪は伸びるのに数か月を要することがあります。

矯正用ワイヤーを用いた治療

シャープペンシルの芯程度の太さの超弾性ワイヤーを、爪全体またはくい込んだ爪の部分にのみ挿入して爪の矯正を行います。矯正直後より爪はある程度広がり、痛みがほとんど無くなることが多いようです。1~2ヶ月おきにワイヤーの位置を入れ換えます。ワイヤーを入れる際、爪にだけ穴をあけるので痛みは全く生じません。所要時間は約5分程度です。また、細いワイヤーを用いるので日常生活にほとんど支障は生じません。ただし激しい運動をされる方にはお勧めしません。血をさらさらにするお薬(血液凝固阻止剤)を内服されている方や、糖尿病、下腿の血管に病気のある方など手術が比較的困難な方、手術に抵抗がある方にお勧めです。

健康保険が適用されないので自費診療となります。また、ワイヤー治療を止めると再発することがあります。

矯正用ワイヤーを用いた治療例

治療前 flow 写真 写真
治療前
爪の陥入による炎症、
発赤が著明です。
  細いワイヤーを装着して
2週間後の状態です。
母趾の痛みは消失しています。
爪の湾曲に沿ってワイヤーが
挿入されており、日常生活の
邪魔にはなりません。
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