日本大学医学部小児科学教室の板橋病院、日本大学病院(旧駿河台日本大学病院)の2病院で行われている各専門診療の御紹介です。
各附属病院はそれぞれ一般的な小児疾患の診療および救急医療はもちろんのこと、高度な専門医療や研究に至るまで、ほぼ全ての分野にわたる小児医療に対応しております。
各附属病院間で各専門医が連携を取り合い、あらゆる専門疾患に対して最高の診療をお届けできるよう、日々努力しております。
他の附属病院での入院専門診療が必要な場合は、転院を御依頼させていただく可能性がございます。
 
血液腫瘍班
付き添いなし化学療法の開始について

現在、当院小児科では化学療法や造血幹細胞移植を常時10-15人の患者さんに行っております。従来、小学生以上は付き添いなしの入院治療(面会のみ)、小学生以下は付き添い(通常、母親)の上の入院治療を行ってきました。
しかし、母親が常勤で雇用されている場合、長期の付き添い入院は困難です。祖父母に頼める場合でも、長期間の付き添いとなると、高血圧など健康上の問題が生じます。どうしても頼める人がいないと母親が定職から離職するなどその影響は極めて重大です。現下の経済・雇用情勢を考えると、このような状況が改善するとも思えません。
  そこで、今回小児の看護体制を大きく見直し、付き添いなしで化学療法を実施できる体制を整備することにしました。本年3月以降、付き添いができない状況でも化学療法が必要な児の入院をお受けしておりますので、どうかご紹介のほどお願いいたします。ご家族が安心して治療を受けられるよう、小児科一同引き続き体制の充実に取り組んで行きたいと考えております。


診療する病気
小児がん(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、横紋筋肉腫、肝芽腫、腎芽腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、PNET、胚細胞腫瘍、脳腫瘍、網膜芽細胞腫など)、ランゲルハンス細胞組織球症、再生不良性貧血、先天性赤芽球癆やファンコニ貧血などの遺伝性骨髄不全症候群、溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、血小板減少性紫斑病、血友病、フォン・ビルブラント病、血球貪食症候群、顆粒球減少症、原発性免疫不全症、先天性代謝異常症など

診療内容

1)血液の病気    
白血病、悪性リンパ腫、血球貪食症候群などの治療は、私たちが参加している日本小児白血病リンパ腫研究グループや小児癌・白血病研究グループで作った治療法を使って行います。これは日本中の小児の血液や腫瘍の病気を治療している多くの病院で統一して行われる治療で、世界的にも標準的な薬物療法(抗がん剤などを使用する治療=化学療法)です。また必要な場合には速やかに造血細胞移植(骨髄移植や臍帯血移植)を行っています。遺伝性あるいは後天性の再生不良性貧血や先天性赤芽球癆あるいは骨髄異形成症候群などの病気には、免疫抑制療法や同種造血細胞移植を行っています。そのほか、溶血性貧血や鉄欠乏性貧血などの色々な貧血や、血小板減少性紫斑病や血友病やフォン・ビルブラント病などの出血しやすい病気、顆粒球減少症や先天性免疫不全症などの感染症にかかりやすい病気についても外来および入院で適切な治療を行っています。

2)かたまりのできる小児がん 固形腫瘍    
当科は全国でも数少ない小児の体の中にかたまりができる病気=固形腫瘍の治療を行っている病院です。固形腫瘍には神経芽腫、横紋筋肉腫、肝芽腫、腎芽腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、PNET、胚細胞腫瘍、脳腫瘍、網膜芽細胞腫などがあります。私たちは、小児外科、整形外科、脳外科、眼科、放射線科と協力して、複数の専門医による総合的な治療=集学的治療を行っています。それぞれの病気は、日本中の専門家が集まって作られた治療グループ(私たちは日本神経芽腫研究グループ、日本ウイルムス腫瘍研究グループ、日本小児肝腫瘍研究グループ、日本ユーイング肉腫ファミリー腫瘍研究グループ、日本横紋筋肉腫研究グループ、日本小児脳腫瘍コンソーシアムなどに所属しています)による標準的治療にもとづきながら、一人一人の患者に最適な治療を計画し、対応しています。また通常の化学療法では治りにくい方=難治性固形腫瘍には自家造血細胞移植も積極的に施行しています。

3)先天性代謝異常症    
先天性代謝異常症の中には、ハンター病やハーラー病あるいはクラッベ病、副腎白質ジストロフィーなどのように診断された後速やかな同種造血細胞移植を行うと症状の進行を改善できる可能性がある病気があります。これらの病気では特に拒絶反応や移植に伴う重症な合併症の克服が移植治療成功の鍵となっています。私たちは、これまでの経験を生かしより安全で確実性の高い移植療法の開発を目指して努力しており、2009年には、1か月齢の乳児先天性代謝異常症への臍帯血移植を行っています。

4)造血細胞移植    
当科は全国でも数少ない小児科としての骨髄バンクおよび臍帯血バンクに認定されている施設です。骨髄移植、臍帯血移植などを積極的に施行し難治性の病気の治癒を目指しています。小児病棟には2床の無菌室が有ります。最近では2005年から2008年までに40例の同種移植と25例の自家造血細胞移植を行っています。

5)入院患児、家族の生活の質    
小児がんの治療成績は向上したとはいえ、入院期間は長期におよびます。患児や家族の方の生活の質=QOLの改善を目的とした当科の取り組みを紹介します。
入院時に中心静脈カテーテルを留置し、採血や薬剤の投与を快適で安全に行えるようにします。また、病初期からペインクリニックや痛みの治療チームと協力して痛みを和らげる医療も行っています。
リハビリテーション科との協力により、長期間の臥床や外科手術により低下した運動能力や関節の動きの回復のために積極的にリハビリを行っています。
入院中は定期的に病状説明の時間を確保し、安心して治療を継続できるよう配慮しています。
治療中も可能な限り外泊や短期退院を行い、患児や家族の方の肉体的・精神的苦痛を軽減できるよう配慮しています。
長期の入院が必要な小中学生に対しては、都立北養護学校による訪問学級での学習が可能で、入院中の勉学と退院後速やかに学校への復学が行えるよう支援しています。病院8階には今年、小児科専用のゴールドリボン学習室が新たに用意され、利用されています。
病棟保育士が常勤しており小さい子どもの保育を行っている他、ボランティアの方の援助も得て、毎月の行事としてお誕生会、七夕祭り、すいか割り、運動会、クリスマス会、映画会や本の読み聞かせや人形劇などが開催されています。
当科で入院治療を受け、退院された患児とその家族の会(げんきの会)主催のサマーキャンプ、クリスマス会、講演会も開催され、入院中のご家族の方達への支援も行っています。

6)終末期治療    
種々の治療にもかかわらず終末期を迎えらなければならない方のために、患児と家族の終末期の治療やサポートを行っています。

7)長期フォローアップ外来    
当科は血液や腫瘍の病気で治療を受けた方々に対して、長期フォローアップ外来を設けています。治療終了後のいろいろな問題や合併症については、全身の臓器に出現する可能性があります。また精神的な問題も起こる心配があります。当科では大学病院の特色を利用して、全ての問題に院内で対応ができるように体制を整えております。当科で治療を受けていらっしゃらない方にもご利用いただけます。


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循環器班

診療する病気

不整脈、電気生理学、先天性心疾患、胎児心疾患、成人先天性心疾患、心筋疾患(心筋炎、心筋症)、感染性心内膜炎、肺高血圧症、川崎病の急性期治療及び心血管後遺症、急性心不全、慢性心不全など、各循環器疾患の管理・長期フォローアップ

診療内容

1. 小児科医のチームで不整脈に対するカテーテルアブレーション(年間約40症例)を、最新のCARTO XPシステムを導入して行っています。徐脈性不整脈に対するペースメーカの植え込みや拡張型心筋症への心臓再同期療法(CRT)などのデバイス治療を行っています。
2. 様々な心疾患に対し、超音波、核医学、MRI検査、マルチスライスCTなどで最新の画像診断を行います。先天性心疾患の管理は、胎児期から成人まで長期フォローアップを行っています。
3. 産科との協力のもと、胎児心エコー法によって、胎児の心疾患に対する診断と適切な対応を行います。
4. 川崎病に対する最新の検査と治療によって、乳幼児から成人までトータルケアを行います。
5. 劇症型心筋炎などの緊急性の高い心疾患の管理・治療を積極的に行っています。
6. 学校心臓検診で発見される心疾患に対する適切な診断と管理指導を行っています。
7. 小児循環器専門医制度の開始に伴って、十分な症例数と指導医を確保しています。
8. 川崎病長期フォローアップ外来では、川崎病後心臓後遺症に対して、心臓一日検査を実施しています。詳しくは、小児画像診断・核医学の項を御覧ください。
   
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新生児班

診療する病気


全ての新生児疾患。


診療内容
  
小さく生まれた赤ちゃんや、何らかの問題があり経過観察や治療を必要とする赤ちゃんを対象に診療しております。また妊娠中におなかの中の赤ちゃん(胎児)に異常が疑われた場合は、生まれてきた赤ちゃんがより良い医療を受けられるように産科医をはじめとして小児循環器科、小児外科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、麻酔科、形成外科などと一緒に出生前から相談して分娩時期を含めて出生後の治療方針を決めています。 退院後も赤ちゃんの発育、発達を外来で小児神経科、臨床心理士と共に定期的に診察していきます。
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精神神経班

診療内容
  
ひきつけた、意識がおかしい、体の一部が動きにくい、といった急ぎの症状から、他のお子さんに比べ発達が遅い・学校で友達と同じことができない、といったゆっくりの症状まで、“脳、神経、筋肉、発達、精神”に問題を疑う症状に対応しています。当科は小児救急と新生児医療を担っている性質上、けいれんや意識障害を主とする疾患や、重症心身障害児の医療には実績があります。初診は診療日11時まででしたら予約不要です。最近は発達や精神に関わる心配で受診される方が大変増えています。それぞれ最低限必要な検査や処方を行いつつ、心理士による発達・知能評価やカウンセリングを行う場合が殆どですが、検査の一部と心理士による面談は予約が必要で、需要が多いため現在は1-2か月お待ちいただいている状況です。
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腎臓班

主な診療病院


日本大学病院病院小児科(毎週月曜と火曜の午前・午後で診療を行っております。午後外来は要予約です。初診でも電話で予約可能です)
日本大学板橋病院(第3金曜日午後のみ。要予約です)

担当医

高橋 昌里
(教授、小児科専門医、腎臓専門医・指導医)
森本 哲司
(助教、日本大学病院小児科病棟医長、小児科専門医、腎臓専門医)
齋藤 宏
(助教、日本大学板橋病院・医局長、小児科専門医)

対象疾患


学校腎臓検診、腎生検、病理診断、急性糸球体腎炎、IgA腎症、膜性増殖性腎炎、膜性腎症、無症候性血尿、無症候性蛋白尿、二次性糸球体腎炎・腎症(紫斑病性腎症、溶血性尿毒症症候群、ループス腎炎、糖尿病性腎症、その他膠原病に伴う腎症)、遺伝性腎炎、先天性ネフローゼ症候群、若年性ネフロンろう、特発性ネフローゼ症候群、二次性ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症、尿路感染症、尿細管間質性腎炎、Fanconi症候群、遠位尿細管性アシドーシス、遺伝性腎症、急性腎不全、慢性腎不全の治療管理、腎低形成の管理、夜尿症など。

特色

あらゆる腎疾患に対する診断と治療、乳幼児から成人までの長期フォローを行っております。
学校検尿で発見される無症候性蛋白尿、無症候性血尿が続くなどの症状に対して、適切な診断と指導および治療を行っております。慢性腎炎の診断などのため、年間で20件以上の超音波下で経皮的腎生検を施行しております。腎生検の入院は約1週間で、退院時には生検結果をご説明いたします。
ネフローゼ症候群に対する治療全般を行っており、患者さんと御相談しながら最適な治療を提供できるよう、日々の診療を重ねております
慢性腎炎全般に対するARB、ACEI療法、ステロイド療法、免疫抑制剤療法、ステロイドパルス療法、血液浄化療法など、さまざまな治療を行っております。
その他、急性腎不全、敗血症性ショック、先天性代謝異常症等に対する急性血液浄化療法や膠原病に対する免疫吸着療法を行っており、他院からの転院治療も随時承っております。
  
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内分泌・糖尿病班

対象疾患

成長ホルモン分泌不全性低身長症をはじめとする低身長。
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症):新生児マススクリーニングで発見されます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病):喉が腫れてドキドキします。
性腺機能低下症(2次性徴の遅れ)。
Turner症候群:女性で低身長、2次性徴の遅れなどを認めます。
思春期早発症(性早熟症、2次性徴が早すぎる)。
先天性副腎過形成症:新生児マススクリーニングで発見されます。
Cushing症候群:満月顔貌、肥満、低身長、高血圧などを認めます。
尿崩症:著しい尿量の増加を認めます。
1型糖尿病、2型糖尿病、軟骨無形成症やくる病などの骨疾患


診療内容


1) 身長が低い(低身長)
低身長の原因は内分泌の病気だけではありません。低身長を持つ患者さんについて、的確な診断と診断に合った治療、そして生活のアドバイスなど行っています。現在成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断した患者さんを中心に90名以上の患者さんに成長ホルモン療法を行っています。内分泌の検査は患者さんおよびご家族の希望に合うよう、年齢の小さい人以外は入院せず主に外来で検査しています。
2) 新生児マススクリーニングで発見された疾患
新生児マススクリーニングで発見された先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、先天性副腎過形成症の患者さんを多数治療しています。出生した産院、病院で再検査を指示された方は受診してください。
3) 2次性徴の悩み
同年齢の他のお子さんに比べ、思春期が早い(乳房が早く大きくなった、陰茎が早く大きくなった、陰毛が生えている)、思春期が遅い(年齢に比べて幼い、生理が来ない)ことでお悩みの方は受診してください。
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代謝班

現在、毎週金曜日に専門外来を行っています。(状況に応じて金曜以外の診察も可能ですのでご相談ください)。初診の際は、急いで受診して頂く必要があるか医師が判断しますので、日本大学病院小児科外来にお電話ください。

診療する病気

アミノ酸代謝異常症(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、高メチオニン血症など)、シトリン欠損症、ガラクトース血症、脂肪酸酸化異常症(MCAD欠損症、VLCAD欠損症、カルニチン欠損症など)、有機酸代謝異常症(プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症など)、尿素サイクル異常症(OTC欠損症など)、糖原病、ムコ多糖症(ハンター病、ハーラー病など)、金属代謝異常症(ウイルソン病など)、Lowe症候群、ビタミンD抵抗性くる病、ケトン性低血糖症、各疾患に対する遺伝相談など

診療内容


出生時に産院で採血されたマススクリーニング/タンデムマススクリーニング検査で異常が認められた場合の再検査や精密検査を行っています。マススクリーニングでは、病気の見逃しを防ぐため基準をかなり厳しく設定しており、初回検査で異常がみられた場合でもすぐに病気と診断されるわけではありません。しかし、中にはごく少数ですがただちに治療を開始しなければ合併症や後遺症が残る場合もあります。初回検査の結果から赤ちゃんとご家族に最適な対応を考え、必要な治療を遅れず開始し、不要な検査・治療を行わずに済むよう最大限の配慮をしています。
里帰り出産で診断されて関東にもどられた方への治療や相談も行っていますので、遠慮なくご相談ください。

管理栄養士により、低蛋白食・低脂肪食・少量頻回食を始めとするそれぞれの代謝疾患にあわせたきめ細やかな栄養指導を行っています。離乳食や幼児食、成人食、学校給食時や外食時の対応なども含め、それぞれの実生活にあわせて具体的な献立や作り方を指導しています。多くの疾患用特殊ミルクを扱い、その使用法について細かな指導を行っています。
食事は毎日のことであり、ご家族の悩みも非常に多いところですが、具体的な栄養指導・栄養相談により、日々の疑問が解消し食事療法の継続が容易となります。

当科では先天代謝疾患の赤ちゃんから成人まで長期にわたる一貫したフォローアップを目指し実践しています。
フェニルケトン尿症やメープルシロップ尿症では、日本で有数の患者さまが通院されており、成人後及び妊娠・出産に対する治療・指導にも力をいれています。
糖原病では、食事療法と薬物療法により合併症の発症を極力抑えるとともに、成人後は小児科のみならず内科や外科を始めとした多くの診療科と連携して診察を行っています。これにより、合併症の早期発見・早期治療と生涯にわたり安心して治療を継続できる体制を提供しています。

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