日本大学医学部 内科学系 神経内科学分野

関東甲越地区スモン事務局

厚生労働科学研究(難治性疾患克服研究事業)スモンに関する
調査研究班・関東甲越地区事務局からのお知らせ

 

平成23年度の予定

1. スモン病の検診:22年度と同様に7月〜8月に実施予定です。
  各患者様には、その予定を昨年度と同様に発送する予定です。
2. 7月29日(金) ワークショップ・班構成員会議(名古屋市・ウインクあいち)
3. 10月30日(日) スモンの集い(名古屋市・ウインクあいち)
4. 平成24年2月3日(金) 班会議・研究報告会(東京・日本都市センター)


関東甲越地区の班員(所属)

亀井 聡 (日本大学医学部内科学系神経内科学分野)
小川 克彦 (日本大学医学部内科学系神経内科学分野)
大越 教夫 (筑波技術大学保険科学部保健学科)
中野 今治 (自治医科大学神経内科)
岡本 幸市 (群馬大学大学院医学系研究科脳神経内科学)
尾方 克久 (国立病院機構東埼玉病院臨床研究部)
朝比奈正人 (千葉大学医学部神経内科)
里宇 明元 (慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
上坂 義和 (虎の門病院神経内科)
大竹 敏之 (東京都保健医療公社荏原病院神経内科)
水落 和也 (横浜市立大学医学部附属病院リハビリテーション科)
長谷川一子 (国立病院機構相模原病院神経内科)
小池 亮子 (国立病院機構西新潟中央病院統括診療部神経部)
瀧山 嘉久 (山梨大学医学部神経内科)

 

スモン病のQ & A
1. スモンとは
英語の病名subacute myelo-optico-neuropathy(亜急性脊髄・視神経・末梢神経障害)の頭文字SMONから付けた病名です。

2. 原因は何ですか
胃腸症状のために服用していたキノホルム(chinoform, clioquinol)が原因で、薬害です。厚生省は昭和45年にキノホルムのわが国における製造販売および使用停止を決定しました。それ以降は新しい患者の発生はなく、患者数は年毎に減少しています。

3. 患者さんは何人位いますか
昭和30年代から40年代に日本各地でスモンが発生し、昭和47年までに全国で11,127人のスモン患者さんが確認されました。平成23年の時点で健康管理手当を受給しているスモン患者さんは全国で約2,000人です。

4. この病気ではどのような症状がおきますか
キノホルムの投与後に腹痛、下痢などの腹部症状が出現。更に2〜3週を経て両下肢に異常感覚(ものがついている、しめつけられる、ジンジンする)が出現します。下肢の筋力低下、視力障害なども生じることがあります。

5. スモンの認定基準を教えて下さい
1 必発症状
 (1) 腹部症状(腹痛、下痢など)が神経症状に先立って起こる
 (2) 神経症状

  @ 急性又は亜急性に発現する
  A 感覚障害が前景に立つ。両側性で、下半身ことに下肢末端に強く、上界は不鮮明である。特に、異常感覚(ものがついている、しめつけられる、ジンジンする、その他)を伴い、これをもって初発することが多い

2 参考条項
必発症状と併せて、診断上極めて大切である
(1) 下肢の深部覚障害を呈することが多い
(2) 運動障害

  @ 下肢の筋力低下がよくみられる
  A 錐体路徴候(下肢腱反射の亢進、Babinski 現象など)を呈することが多い

(3) 上肢に軽度の感覚・運動障害を起こすことがある
(4) 次の諸症状を伴うことがある

  @ 両側性視力障害
  A 脳症状、精神症状
  B 緑色舌苔、緑便
  C 膀胱・直腸障害


(5) 経過はおおむね遷延し、再燃することがある
(6) 血液像、髄液所見に著明な変化がない
(7) 小児には稀である

3 鑑別除外診断 ギラン・バレー症候群、亜急性連合性脊髄変性症、ペラグラ、急性間欠性ポルフィリン症、 癌性ニューロパチー、脱髄性疾患、抗結核剤ニューロパチー、脊髄炎、脊髄腫瘍、アミロイドーシス、 糖尿病性ニューロパチー

6. この病気はどのような経過をたどりますか
 スモンの臨床経過は急性期の悪化後にある程度は回復し、その後は後遺症を残します。後遺症としては、異常感覚、歩行障害、視力障害が多いです。白内障、高血圧、四肢関節疾患、うつ病などを合併することがあります。

7. 合併症の頻度はどのくらいですか
 スモンに関する調査研究班の2009年度の全国調査では、合併症の頻度は表1のようになっています。

表1 合併症の種類と頻度(2009年度)(SMON調査研究班)
合併症の種類 全国847例
合併症あり 826 (97.5%)
白内障 530 (62.6%)
高血圧 414 (50.1%)
脳血管障害 108 (12.8%)
心疾患 195 (22.7%)
肝胆のう疾患 121 (14.3%)
その他消化器疾患 2317 (27.3%)
糖尿病 100 (11.8%)
呼吸器疾患 85 (10.1%)
骨折 144 (17.0%)
脊椎疾患 328 (38.7%)
四肢関節疾患 280 (33.13%)
腎泌尿器疾患 159 (18.8%)
パーキンソン症状 232 (2.7%)
ジスキネジー 8 (1.0%)
姿勢動作振戦 28 (3.3%)
悪性腫瘍 57 (6.8%)
その他 430 (50.7%)

 

8. どのような治療法がありますか
残存症状に対する根本的治療法はなく、対症療法となります。下肢異常感覚にはノイロトロピン、抗うつ薬、鎮痛薬、ハリ治療、体操などが用いられます。

9. この病気は遺伝しますか
遺伝はしません。

10. 介護保険は使えますか
65歳以上では介護または支援が必要と認定されれば給付対象となります。40〜64歳では介護保険の給付対象外です。

11. 日本大学はスモンと関係がありますか
日本大学医学部神経内科の初代教授は高須俊明で、スモンが薬害であることを証明するのに貢献した医師です。スモンの原因がウイルスであるという説が広まっていた時代に、スモンの緑色舌苔(図1)を報告し、キノホルムが緑色舌苔の原因であることを証明しました。 高須教授は定年退職しましたが、高須教授の指導を受けた日本大学神経内科の多くの医師が現在でもスモン患者さんの診療に積極的に携わっています。

 

スモンに関する調査研究班・関東甲越地区チームリーダー
日本大学 医学部 内科学系 神経内科学分野
主任教授 亀井 聡
担当秘書 牧山夕子
住所:〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1
電話:03-3972-8111 (内線 2600)