日大医学雑誌

臀 部 巨 大 脂 肪 腫 の 1 例

症例報告

著者

鵜之沢泰裕1)  川崎 篤史2)  三松 謙司2)  荒牧  修2)
久保井洋一2)  桂  義久3)  大井田尚継2)
1) 社会保険横浜中央病院臨床研修医
2) 社会保険横浜中央病院外科
3) 社会保険横浜中央病院病理

要旨

症例は 53 歳,女性.7 年前より右臀部に無痛性の腫瘤を自覚.腫瘤増大に伴い座位困難及び圧迫感増強にて当院受診.MRI にて T1 及び T2 強調画像とも内容は脂肪組織と同程度の高信号を呈し典型的な脂肪腫と考えられた.巨大臀部脂肪腫の診断にて摘出術を施行した.病理組織学的には成熟脂肪細胞が密に増生し脂肪芽細胞は認めないことより,典型的な脂肪腫と診断された.本例における摘出腫瘍の重量は 800 g であった.臀部に発生した巨大脂肪腫としては本邦では 5 例目ではあるが,皮下に限局した脂肪腫では最大であると思われた.巨大脂肪腫はその大きさの為,摘出の際には周囲臓器の損傷を回避すべく愛護的な手術操作を心がけると同時に摘出後の術後出血および死腔へのリンパ液貯留を念頭に入れ,陰圧式ドレーン等の留置が確実な治療につながるものと考えられた.

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Huge Lipoma
臀部巨大脂肪腫