症例報告

著者

飯田　　充　　南　　和友　　塩野　元美　　秦　　光賢
瀬在　　明　　吉武　　勇　　依田　真隆　　舟橋　道雄
和久井真司　　野畑　一郎　　斉藤　　穎*　　本江　純子*
高山　忠輝*　　猿谷　忠弘*　　根岸　七雄
日本大学医学部外科学系心臓血管外科学分野
*日本大学医学部内科学系循環器内科学分野

要旨

急性心筋梗塞後合併症である左室自由壁破裂(Left ventricular free wall rupture: LVFWR) は死亡率も高く，極めて重篤な病態に陥り，治療に難渋することが多い．症例は 83 歳の男性で，急性心筋梗塞のため当院に搬送され，経皮的冠動脈インターベンション (PCI) を行い，その直後に blow-out 型心破裂を発症した．一時心肺停止となったが，経皮的心肺補助装置 (PCPS)， 大動脈内バルーンパンピング (IABP) を挿入した後に，集中治療室 (ICU) で直ちに開胸し，フェルトのストリップを用いて直接閉鎖し，フィブリン・グリューを使用して止血を完成させた．内科医と外科医の迅速な対応と協力により， 緊急手術にて救命した症例を経験した． LVFWR とその治療戦略につき， 若干の文献的考察を加えて報告する．

keyword

Left ventricular free wall rupture (LVFWR), blow-out type, Acute myocardial infarction
左室自由壁破裂，ブロウアウト型，急性心筋梗塞