日大医学雑誌

喀血を呈した潰瘍性大腸炎に伴う気管支炎の一例

症例報告

著者

佐藤 真紀1, 2)  高橋 典明2)  宮嶋  剛1)  清水 哲男2)
辻野 一郎2)  橋本  修2)  赤柴 恒人2)
1)板橋区医師会病院内科
2)日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野

要旨

症例は 40 歳,男性.2001 年より潰瘍性大腸炎にて加療を受けていたが,2006 年 3 月,喀血を認め当院入院となった.気管支鏡検査で左気管支の粘膜に広範囲な炎症を認めた.気管支炎の原因検索として行なった各種検査では有意所見がなく,潰瘍性大腸炎に伴う気管支炎と考えられた.ステロイド剤の内服を開始したところ喀血は見られなくなり,気管支鏡検査でも気管支粘膜の炎症の著明な改善を認めた.潰瘍性大腸炎に合併した気管支病変,とくに本例のように喀血を呈した症例は,稀である.治療としてはステロイド剤が有効であった.

keyword

ulcerative colitis, respiratory complication, bronchitis, hemoptysis, steroid
潰瘍性大腸炎,呼吸器合併症,気管支炎,喀血,ステロイド