日大医学雑誌

乳癌との鑑別が困難であった特発性血小板減少性紫斑病に合併した非外傷性乳房内血腫の 1 例

症例報告

著者

北島  晃  櫻井 健一  榎本 克久  松尾 定憲
天野 定雄
日本大学医学部外科学講座乳腺内分泌外科部門

要旨

症例は 46 歳,女性.左乳房腫瘤触知を主訴に当科初診.既往歴に慢性 C 型肝炎,特発性血小板減少性紫斑病 (以下,ITP) があり定期的に経過観察されていたが,明らかな外傷の既往は認めなかった. 細胞診では悪性を疑うものではなかったが,画像診断上,完全に悪性を否定できず,外科的生検を予定した.経過観察中に,腫瘤の縮小傾向がみられ,生検は中止,ITP に併発した乳房内血腫が病変の本体であると判断した.以後,再発を認めていない.

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Idiopathic thrombocytopenic purpura (ITP), breast cancer, atraumatic intramammary hematoma
特発性血小板減少性紫斑病 (ITP),乳癌,非外傷性乳房内血腫