原著

著者

宇野　昭毅　　中島　典子　　岩崎　有良　　荒川　泰行
日本大学医学部内科学講座消化器肝臓内科部門

要旨

我々はヘリコバクターピロリ (H. pylori) 陽性の消化性潰瘍の患者 345 例を対象に除菌療法前後の血清ペプシノゲン値および抗 H. pylori IgG 抗体価の推移を検討した．除菌率は，81.7% (n = 282) であった．除菌成功群では，PG I と PG II は有意に減少し，PG I/II 比は，有意に低下し除菌療法後 3 年間この変化が持続していた．除菌成功群の抗 H. pylori IgG 抗体価は除菌後有意に低下し3 年間持続していたが，除菌不成功群では一時的に低下するものの，再上昇を示した．我々は抗 H. pylori IgG 抗体と PG が除菌療法後の長期間のモニタリングとして有用であると思われる．

keyword

Helicobacter pylori IgG antibody, serum pepsinogen, eradication therapy
抗 H. pylori IgG 抗体，血清ペプシノゲン，除菌療法