原著

著者

池田　　敦　　今井　　忍　　高世　秀仁　　山路　聡志
八木　　洋　　久代登志男
日本大学医学部内科学講座循環器内科部門
駿河台日本大学病院循環器科

要旨

目的：洞不全症候群に対するシロスタゾール(CLZ) の陽性変時作用が長期間持続し得るか検討した．

方法・結果：CLZ 投与前，投与後 3 ヵ月目，その後 1 年毎にホルター心電図を施行するとともに，徐脈に基づく症状の有無を観察した．CLZ 投与直後 27/30 例で症状は消失した．症状が消失した 27 例を CLZ 投与下で平均33 ± 20 ヵ月経過観察した．ホルター心電図上，平均心拍数は CLZ 投与前 57.4 ± 9.8 (n = 27)，3 ヵ月後 72.2 ± 10.1(n = 27)，33 ± 20 ヵ月後 71.6 ± 10.4 /分 (n = 27)．2 秒以上の心停止回数は投与前 516.4 ± 980.3，3 ヵ月後 34.0 ±9.8，33 ± 20 ヵ月後 7.5 ± 3.5 個 /日．最長心停止間隔は投与前 2.8 ± 1.2，3 ヵ月後 1.4 ± 0.8，33 ± 20 ヵ月後 1.5 ±0.6 秒と CLZ の効果は維持された．26/27 例 (96.3%) で徐脈に基づく症状の再発はなかったが，1 例で投与 80ヵ月後に一過性心房停止を認めた．結語：洞不全症候群に対する CLZ 治療は長期間有効な治療法であると考えられた．

keyword

bradycardia, sick sinus syndrome, cilostazol, transient cardiac pause
徐脈，洞不全症候群，シロスタゾール，一過性心停止