日大医学雑誌

頚椎 Kinematic MRI の診断的価値について
―空気圧式頚椎用デバイスを用いて―

画像診断

著者

元島 清香  斎藤 明義  平松 万明*  加藤 和之*
日本大学医学部整形外科学講座
*日立メディコ

はじめに

頚椎は全脊椎の中で最も動的な変化が大きい部分であり,ダイナミックに狭窄症を生ずることが知られている.しかしながら,日常診療における頚椎 MRI の撮像は静止,中間位で行われる.実際に中間位では症状の訴えがない症例でも,頚椎後屈位にすると症状が現れることは多くの臨床家が経験するところである.そこで今回われわれは,頚椎の動的動態を客観的に画像で把握することを目的に Kinematic MRI を用いて撮像することを試みた.また,短時間で多段階の撮像を可能にするためエアバルーンを用いた部分昇降マット機構を有する頚椎用ジョイントモーションデバイス (以下,空気マット) を開発した.本稿では,健常者と有症状者の撮像を行った結果とともに,頚椎 Kinematic MRI の有用性について述べる.