日大医学雑誌

Lipopolysaccharide 存在下の高グルコース環境が
血管内皮細胞に与える影響

原著

著者

野田 彰浩  木下 浩作  櫻井  淳  丹正 勝久
日本大学医学部救急医学講座

要旨

厳密に血糖管理を行うと重症患者の転帰が 改善することが報告され,Sepsis の治療上重要視されている.本研究ではグルコース濃度の違う環境でそれぞれLPS 刺激下,非刺激下に血管内皮細胞 (HUVECs) の IL-8 産生を測定し,グルコース濃度が細胞レベルの炎症反応に及ぼす影響を検討した.高グルコース環境 (グルコース濃度 16.5 mM) ではグルコース濃度 5.5 mM 群に比して HUVECs から産生される IL-8 mRNA は 12 時間後,IL-8 は 24 時間後に有意に高値を示 した.LPS 刺激下の高グルコース環境ではグルコース濃度 5.5 mM 群に比して 12, 24 時間後で IL-8 mRNA と IL-8 が有意に高値を示した.高グルコース環境は HUVECs の IL-8 産生を増加させ,この反応は LPS 刺激下で促進された.以上より,Sepsis に高血糖が合併した場合は炎症反応を助長し,二次性組織障害の一因となる可能性が示唆される.

keyword

Glucose, Lipopolysaccharide, endothelial cell, Interleukin-8
グルコース,リポポリサッカライド,血管内皮細胞,インターロイキン-8