日大医学雑誌

静脈洞型心房中隔欠損症,部分肺静脈還流異常症
慢性心房細動,三尖弁閉鎖不全症に対する 1 手術経験

症例報告

著者

田岡  誠  畑  博明  飯田  充  添田 雅生
岡谷塩嶺病院心臓血管外科  

要旨

症例は 60 歳男性.静脈洞型心房中隔欠損症 (静脈洞型 ASD) に部分肺静脈還流異常症 (PAPVC) を合併し,三尖弁閉鎖不全症 (TR), 慢性心房細動 (Af) を伴う症例に対し外科的治療を施行した.術前の経胸壁心エコー検査で shunt flow が描出できず,経食道心エコー検査でも通常の view では欠損孔が描出されず診断に難渋した.自己心膜と余剰右心房壁を用いたパッチでの血行再建に加え,病悩期間の長期化した心房細動に対して高周波アブレーションを用いた maze 手術を施行し,良好な結果を得ることができた.原因不明の右心系拡大を診断する上で MRI も経食道心エコー検査と同様に有用であると考える.また高周波アブレーションを用いたmaze 手術は侵襲度の低さから今後も器質的心疾患に合併した心房細動に対し積極的に施行していく方針である.

keyword

venous sinus type ASD, PAPVC, maze procedure
静脈洞型心房中隔欠損症,部分肺静脈還流異常症,メイズ手術