日大医学雑誌

頻脈性不整脈に対する高周波カテーテル・アブレーション療法

総説

著者

渡  辺  一  郎
日本大学医学部循環器内科部門

はじめに

頻脈性不整脈に対するカテーテル・アブレーション療法の始めての臨床報告は,1982 年,Gallagher ら,Scheinmann らが心不全を繰り返す難治性頻脈性心房細動症例に対し,経皮経カテーテル的に直流通電を用いて房室結節を破壊し,完全房室ブロックを作成した論文である1, 2).その後,直流通電を用いた WPW 症候群に対する副伝導路のアブレーション,房室結節回帰性頻拍症に対する速伝導路あるいは遅伝導路アブレーション,心房粗動に対する三尖弁―下大静脈間峡部アブレーション,心室頻拍に対するアブレーションなどが報告された.更に直流通電に変わり,高周波エネルギーが用いられるようになり,カテーテル・アブレーション治療の適応となる疾患が飛躍的に増加し,また合併症も著明に減少したことで,現在では,頻脈性不整脈の多くで,高周波カテーテル・アブレーション療法は第一選択の治療法となっている (Fig. 1).Table 1 に現時点における高周波カテーテル・アブレーションの対象となる不整脈を挙げる.

keyword

supraventricular tachycardia, ventricular tachycardia, atrial flutter, atrial fibrillation, catheter ablation
上室性頻拍,心室頻拍,心房粗動,心房細動,カテーテル・アブレーション