症例報告

著者

田村　正人*　　長沼　朋佳　　兼子　尚久　　佐川知雅子
水谷　智彦
日本大学医学部内科学講座神経内科部門
*現　長岡西病院神経内科

要旨

患者は 67 歳の女性．黄視，回転性眩暈および左上肢から全身にひろがるけいれんで発症し，頭部 MRI 所見から右前大脳動脈領域梗塞と診断した．黄視は前頭葉てんかんでみられる幻視，かすみ，錯視などの視覚症状あるいは後頭葉の梗塞巣によると考えられた．本例における early seizure は，上肢における部分発作が全般化したものであり，回転性眩暈は上側頭回の vestibular cortexあるいは前庭神経から視床を介して投射線維をうける頭頂葉中心後回における刺激性障害あるいは一過性血流障害によると考えた．

keyword

xanthopsia, vertigo, early seizure, anterior cerebral artery territory infarction
黄視，回転性眩暈，早期痙攣，前大脳動脈領域梗塞