日大医学雑誌

乳癌に類似した画像診断を呈し,近傍に
乳頭状病変を伴った線維腺腫の 1 例

症例報告

著者

櫻井 健一  天野 定雄  榎本 克久  松尾 定憲
北島  晃  根本 則道*
日本大学医学部外科学講座乳腺内分泌外科部門
*日本大学医学部病理学講座

要旨

症例は 42 歳,女性.左乳房 C 領域に辺縁不整な腫瘤を触知した.マンモグラフィ検査では spiculation様の所見を伴う腫瘤として描出され,超音波検査では辺縁不整で内部不均一な腫瘤として描出された.造影 MRI検査でも悪性が示唆され,穿刺吸引細胞診では Class Vの診断であった.左乳癌の診断で乳房温存手術を施行した.病理組織診断では線維腺腫であり,線維腺腫近傍の乳管内に限局した乳頭状病変が観察され,low papillarycarcinoma に類似した所見であった.

keyword

breast cancer, fibroadenoma, papillary lesion
乳癌,線維腺腫,乳頭状病変