日大医学雑誌

乳癌と鑑別が困難であった末梢性乳管内乳頭腫の 1 例

症例報告

著者

櫻井 健一  天野 定雄  榎本 克久  松尾 定憲
北島  晃  根本 則道*
日本大学医学部外科学講座乳腺内分泌外科部門
*日本大学医学部病理学講座

要旨

症例は 46 歳,女性.主訴は右乳房腫瘤.右乳房B 領域に直径 1 cm の腫瘤を触知した.マンモグラフィ検査ではカテゴリー 4 と診断され,超音波検査,造影MRI 検査では悪性の診断であった.穿刺吸引細胞診ではclass V の診断であり,右乳癌の術前診断で手術を施行した.病理組織所見では病変周囲に著明な乳腺症を伴う乳管内乳頭腫の診断であった.腫瘤として触知する乳管内乳頭腫はまれであり,癌との鑑別のために針生検を施行する必要があると考えられた.

keyword

Intraductal papilloma, Mastopathy, Breast Cancer
乳管内乳頭腫,乳腺症,乳癌