日大医学雑誌

児童期に発症した統合失調症の特徴
─成人期発症例との比較─

原著

著者

箱崎 啓予  高橋 彰久  小島 卓也  横山 英世*
日本大学医学部精神医学講座
*日本大学医学部公衆衛生学講座

要旨

初発年齢という視点から統合失調症の特徴を検証する目的で,29 施設から集積された 7,922 例の統合失調症患者のデ-タを解析し,15 歳以下で発症した児童期発症群と,それ以降で発症した成人期発症群に分け比較を行った.その結果,(1) 児童期発症群は全体の 7.5 %であった.(2) 女性の遅発性は児童期以降に出現し,児童期における性比は同等であった.児童期発症群には(3) 家族性遺伝負因,分娩時合併症,両手利き,左手利きが多く,病型では破瓜型が多く,妄想型が少なかった.(4) 治療形態で終始入院が多かった.(5) 分娩時合併症,利き手の項目で,性差がみられた.統合失調症は初発年齢,性別によりその特性に差異が存在することが示された.

keyword

childhood onset, schizophrenia, family history, obstetric complications (OCs), handedness
児童期,統合失調症,家族性遺伝負因,分娩時合併症,利き手