日大医学雑誌

侵襲患者におけるエネルギー代謝調節機構としての腸管グルカゴンプロセッシング

教授就任講演

演者

丹正 勝久
日本大学医学部救急医学講座

はじめに

生体侵襲下のエネルギー代謝動態を明確に把握することは,重症患者の管理を行う上に重要である.エネルギー代謝動態を規定する因子として,膵ホルモンであるインスリン,グルカゴンが非常に重要であるが,インスリンに比べグルカゴンの動態については十分検討されていないのが実情である.
筆者は,侵襲下のグルカゴンの動態およびエネルギー代謝動態とこれらの関連性をより明確にする事を目的とし,緊急手術を施行した外傷および急性腹症症例について術後早期の血中グルカゴン動態およびそのプロセッシングの特異性について検討を行うとともに,間接熱量測定によるエネルギー代謝動態の検索を行い,グルカゴン動態との関連性について検討を行った.