日大医学雑誌

Phyllodes tumor と鑑別が困難であった乳癌の 1 例

症例報告

著者

北島  晃  天野 定雄  櫻井 健一  根岸 七雄
根本 則道*
日本大学医学部外科学講座乳腺内分泌外科部門
*日本大学医学部病理学講座

要旨

症例は 36 歳,女性.約 20 年の経過を有する右乳房腫瘤が急速増大してきたため,当科受診.右 AC領域に 9 cm 大の腫瘤を認めた.超音波検査では分葉状の辺縁を持つ腫瘤として描出された.穿刺吸引細胞診では class IIIa であった.造影 MRI 検査の Time intensitycurve は peak and plateau pattern であり,悪性が示唆された.Malignant Phyllodes tumor と診断し,腫瘤摘出術を施行した.病理組織所見では Invasive ductal carcinomaの診断であったため,乳頭温存乳房切除術,腋窩リンパ節郭清術施行を付加した.摘出検体に癌の遺残を認めなかったが,Level I リンパ節は 3/9 で陽性であった.ホルモンレセプターは ER, PGR ともに陰性,HER2 スコアは 0 であった.

keyword

Phyllodes tumor, breast cancer, MRI examination
葉状腫瘍,乳癌,MRI 検査