日大医学雑誌
冬季都内感染の古典的ツツガムシ病の 1 例
症例報告
著者
森田有希子 隈部 威道 宮澤 拓也 鬼田 敬洋
入山 規良 井口 森智 西成田 進 岡田 清己
貞升 健志* 新開 敬行* 甲斐 明美*
公立阿伎留病院内科
*東京都健康安全センター
要旨
60 歳の男性が 2 週間持続する発熱のため入院した.診察で右上肢に 8 mm 大の黒色痂皮と顔面の紅斑が認められた.入院時検査では異型リンパ球を伴うリンパ球増多,血小板減少,トランスアミナーゼ上昇,腎機能障害,著明な CRP の上昇が認められた.ツツガムシに対する抗体 (Gilliam, Kato, Karp) の上昇がありツツガムシ病と診断した.当初,冬季の東京都内発生であることから「新型ツツガムシ病」と考えられたが,血清のDNA 診断で古典的ツツガムシ病と診断された.ミノサイクリン投与で症状は消失し,血液検査も正常化した.本症例の末梢血リンパ球サブセットの解析では majorHistocompatibility complex (MHC)-restrict の T 細胞とNatural killer 細胞の両者の増加があり,これらの免疫異常は感染後 6 ヶ月を経過しても持続していることが明らかになった.
keyword
Rickettsia tsutsugamushi, Celluler immunity, Subset of lymphocytes
ツツガムシ病,細胞性免疫,リンパ球表面マーカー
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