日大医学雑誌

多発性骨髄腫の治療中に骨髄異型性症候群を合併した一例

症例報告

著者

金丸 峯雄  上野川久美  古市 祥子  服部 知洋
東十条病院血液内科

要旨

患者は,68 歳,男性で,5 年以上にわたり多発性骨髄腫で治療を受けていた.治療法は,MP 療法とサリドマイドであり,5 年以上安定期にあった.しかし,5 年 6 ヵ月後に,2 次性発癌である骨髄異型性症候群を合併した.赤芽球の形態異常が著しく,赤白血病様であった.長期にわたりアルキル化剤であるメルファラン投与を受けたことが原因と考えられた.異常な赤芽球系細胞が骨髄の大部分を占め,細胞表面マーカーでは GPA(グライコフォリン A) が発現していた.CAG 療法を行なったが,早期に永眠した.

keyword

myelodysplastic, syndrome (MDS), thalidomide, erythroleukemia, multiple myeloma, alkylating agent
骨髄異型性症候群,サリドマイド,赤白血病,多発性骨髄腫,アルキル化剤